【特集】沖縄の日本復帰50周年を問い直す

岡田充氏講演録まとめ(その5):日米首脳会談後の動向

宮城恵美子

・岸田・バイデン会談の内容

2022年5月23日、アメリカのバイデン大統領がアジア歴訪中に訪日し、岸田首相を行った。バイデン大統領のアジア歴訪の目的は、中国との戦いを有利に展開する上でアジア太平洋地域を「主戦場」にすることにあった。

アメリカのバイデン大統領と岸田首相、首相夫人によるお点前(写真提供:内閣広報室)。

 

会談後に発表された共同声明のポイントは、以下の3点に集約される。

①日米の統合抑止力の早急な強化と対処力の早急な強化

ほぼ1年であっという間に「戦争シナリオ」が完成した。

②日本の防衛力を抜本的に強化し、5年かけて防衛費を倍増する。

2022年末に改訂する国家安全保障戦略では、「敵基地攻撃能力」の保有を明記したうえで、「相当な増額」との表現を用いて防衛予算のGDP比2%増額に含みを持たせた。防衛予算は現在のGDP比1%程度から5年で1.5倍増にする方針である。

防衛費増額して一体何に使うのか。その大半は、これまで日本がロッキード社など米国の軍産複合体から購入した兵器の未払い分の返済に充てられる。そのことを頭に入れておく必要がある。

③米国は日本防衛関与を表明し、核を含む拡大抑止を約束した。

・バイデン大統領の台湾「軍事関与」発言

2022年5月23日の日米首脳会談後の記者会見でバイデン大統領は、中国が台湾を攻撃した場合は「軍事的に関与する」と明言した。さらに同年9月18日、アメリカTV局の女性記者が「中国が台湾を攻撃したら、アメリカはどうするのか?」と質問したのに対して、「軍事的に関与する」と再度述べた。アメリカは従来、中国の武力行使への対応を明らかにしないという「曖昧戦略」を採ってきた。

ところが、バイデン大統領は「軍事的に関与する」と述べ、「曖昧戦略」を事実上否定した。その直後に、米国務省や国防総省はともに、「アメリカ政府の政策変更ではない」と火消しに追われた。実はバイデン大統領は同様の発言を就任以来少なくとも3回行っていることから見ても、失言ではなく、意図的な発言だと思う。

発言直後に役人が「政策変更ではない」と否定すれば、大騒ぎにならないと踏んだと捉えることができる。

その狙いは何だろうか。アメリカは、ウクライナ危機でウクライナに「軍を派兵しない」という方針を示した。これがアメリカの台湾有事に対する台湾側の疑念を高めた。2022年3月、台湾の世論調査(TVBS)では、「もし(台中)両岸で戦争が起きた場合、米国は台湾に派兵し、防衛すると信じるか?」という質問に、55%が「信じない」と回答している。「信じる」は30%(「強く信じる」12%、「まあまあ信じる」18%)に留まった。

2011年の調査結果と比較すると、「信じる」は27%減少し(当時57%)、「信じない」が28㌽(同27%)増加したことになる。アジア諸国を初めて歴訪したバイデン大統領としては、台湾にあるこうした疑念を打ち消したいのではないだろうか。

バイデン大統領は、「軍事的に関与する」と述べたが、「米軍を投入して台湾とともに中国と戦う」などとは発言していない。私はここがポイントだと見ている。

・中国vs台湾・日本「アジア人同士」が戦うシナリオ

台湾でも米国はおそらく軍を投入しない。「代理戦争」をやらせる。それを裏付けるように、米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は2022年4月7日の米上院公聴会で「台湾は防衛可能な島であり、中国軍の台湾本島への攻撃・攻略は極めて難しい。最善の防衛は、台湾人自身が行う。米国はウクライナ同様、台湾を助ける」と述べている。

マーク・ミリ―米統合参謀本部議長

 

ミリ―発言を読み解くと、台湾有事でも米軍を投入せず、ウクライナ同様の「代理戦争」をやることを示唆しているのではないか。それなら米国は自分の手を汚さずに済む。中国と台湾、それに日本という「アジア人同士」を戦わせるシナリオが描かれている。

アフガニスタンから完全撤退した米国にとり、海外派兵はもはや現実的選択しではなくなっている。米国は台湾有事でも直接参戦せずに、日本が「ハシゴ外し」にあうかもしれない危機感を持った方がいいのではないかと思う。

【その5についての宮城の感想】

戦場をアジアに釘付けさせる戦争シナリオである。中国と対立させて台湾・日本などの「アジア人同士」に戦争させると、岡田氏は見抜いている。

アメリカの軍産複合体や国際金融資本家たちのお金儲けの為に、アジア人同士が血を流し合うように仕組まれた許せない行為である。米国作「戦争シナリオ」の脚本に便乗している無知な外務・防衛たちと政治家たちはもはやモラルを喪失している。

ウクライナ戦争に関する報道の多くは「攻めた」だの「陣地拡大」だのと専門家が話題を提供しています。人々の尊い命の無駄死にや事の本質をほぼ語りません。メディアも同罪でモラル喪失状態で日本中が大政翼賛会になっています。軍備増強の思考停止こそ怖いものはありません。そもそも、なぜ今のような事態に至ったのか考えるべきです。

最近ドイツ誌の『DIEZEIT」で、ドイツのメルケル前首相が「ミンスク合意はウクライナに兵器を供給し、ロシアとの戦争に備える為の時間稼ぎだった」と告白した。

2014年と15年のミンスク合意は、プーチン大統領、ウクライナのポロシャンコ大統領、ドイツのメルケル首相。フランスの大統領のオランド大統領が調印した。ウクライナ戦争(2022年2月)の以前からウクライナ東部のドンバスでは戦闘が起きており、ドンバス地方のウクライナ人をウクライナ軍が殺害していた。これを止めるためにミンスク合意が成立した。合意内容は、戦闘の停止、ドンバス地方住民への一定の自治権付与、早期の選挙実施で、ドンバス住民には好ましい流れであった。

ところが今、メルケル前首相の告白から明らかなことは、実際にミンスク合意が成立したにもかかわらず停戦せず、アメリカは7年間もウクライナに兵器を与えてウクライナ軍の強化を行ってきたことである。ウクライナ軍を強化するための「時間稼ぎがミンスク合意の正体だった」のである。オランド大統領も「メルケル首相の言う通り」と証言している。

米欧は平気で国際法違反を平気で続け、ミンスク合意に参加しなかった。ロシアを弱体化するために、時間を使ってウクラウイナの兵力を強化した。西側は誰もウクライナの和平には関心がなかったというのだ。西側の戦争犯罪に日本人の多くが加担して、まるで日本は体制翼賛会の状態である。

西側は「プーチン大統領を騙した」という告白について皆さんはどう考るだろうか。戦争をしたかったのは西側だったのであり、プーチン悪・ゼレンスキー善とのレッテルを貼っていることについていかがお考えだろうか。なお、ポロシェンコ大統領は当時、東部住民のロシア語を禁じて西側と戦争を起こした側であった。

上記の内容は及川幸久氏が丁寧に解説している。私は及川氏と同じ立場ではないが、彼の情報は比較的真実に基づいていて、旧メディアよりも正しく伝えていると思う。どうぞ検索してください。

各人で情報を取って考える時代である。決してNHK報道などの旧メディアの情報を鵜呑みにしてはならないとつくづく思う。メルケル前首相が思い切って告白したために西側から現在は批判と攻撃にさらされているそうだ。

今こそ真実の情報を手に入れて自ら考える主体に変わっていかねばならないと思う。「台湾有事」の戦争シナリオについても同様な課題が存在するのである。

 

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宮城恵美子 宮城恵美子

独立言論フォーラム・理事。那覇市出身、(財)雇用開発推進機構勤務時は『沖縄産業雇用白書』の執筆・監修に携わり、後、琉球大学准教授(雇用環境論・平和論等)に就く。退職後、那覇市議会議員を務め、現在、沖縄市民連絡会共同世話人で、市民運動には金武湾反CTS闘争以来継続参加。著書は『若者の未來をひらく』(なんよう文庫2005年)、『沖縄のエコツーリズムの可能性』(なんよう文庫2006年)等がある。

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