【連載】安倍晋三の射殺と三代の腐れ縁(藤原肇)

第2回 安倍晋三の射殺と三代の腐れ縁①

藤原肇

だから、安倍晋三は祖父の岸信介以来、統一教会との関係は三代目で、彼が自民党総裁に選ばれて首相になったし、長期政権を維持した背景にも統一教会による支援があった。だから、祖父の岸と父親が統一教会に親密で、三代にわたった関係は朴東宣が仕切っていたから、米国通の朴に晋三青年が世話になり、生活を楽しんでいたのは当然の成り行きだった。その頃は安倍晋三はロスに英語の習得で留学しており、その頃のロス周辺での取材が『小泉純一郎と日本の病理』に収録してある。

「・・・安倍晋三が遊学していた1970年代末のカリフォルニアは、一言でいえば浪人や出稼ぎ人で賑わう戦前の満州のようで、日本からの流れ者が腐るほど集まっていて、安倍のような遊学生や放浪青年も数多くいた。つまり、この時期から経済大国になったジャパン・マネーが米国に大量に流れ込み、それと共にあらゆる日本人が流入した。

日系企業の駐在員たちに混じり、不動産を買い漁る投機屋が肩で風を切っていたし、ひと目でヤクザとわかる男たちがロスの街を闊歩していた。事実、東声会の町井久之をはじめ半島系のヤクザたちも、サンタモニカに投資事務所を開いたし、ラスベガスのカジノやゴルフ場を買収するために、サラ金を始め住吉連合の筋が暗躍していた。

・・・だから、そんな環境の中で、ロスの金持ちの子弟が行く南カリフォルニア大学に安倍晋三が登録して、日本の有力政治家である岸信介の身内だと知るならば、コリアゲートで知られた朴東宣の他にも、いろんな人間が近づくことは想像するに難しくない。当のロスは韓国人の移民が激増して、オリンピック街にあるコリアンタウンは活況を呈し、韓国の有力政治家や閣僚経験者が亡命して住み着いていた。

そのせいで、彼らを監視する公安関係者やKCIAの出入りも頻繁であり、日本の新聞社よりも早く衛星版を使い、ソウル発行の新聞がその日のうちにロスで読めた。

もちろん、こうした中に統一教会 (UWC)関係者も多く、活発な布教活動だけでなく、ビジネスも盛んに行つていた。鮮魚の取り扱いは統一教会が握り、すし屋の仕入れはそこを通じてだし、ロスやNYの生鮮食料を支配して、財政的には非常に強力だったが、KCIAとの結びつきを韓国人から何度も私は聞いている。彼らの狙いは将来の布石として、有力者の若い子弟を集めて反共の闘士に育てることであり、その組織力の強靭さには目を見張るものがあった。

・・・しかも、晋三の父親の安倍晋太郎は下関の韓国ビジネスに密接な繋がりを持ち、朴東宣は安倍親子二代と親しく、政治資金作りに繋がつていたというではないか。・・・」

初校に書いていたが次の描写があったために、差別的な表現だとして『小泉純一郎と日本の病理』から削り取られた記述があり、重要なので復元しておきたい。なぜなら、日本人だけでなくてアメリカ人の多くが、米国の日本料理屋は日本人が経営すると思い込み、日本食を味わったと喜ぶケースが多いからだ。

確かに小規模な店の場合は、日本人が経営者で料理を出す処もあるが、大規模な日本料理店は統一教会が資金を出し、韓国人が経営を引き受け、板前が日本人のケースが多かった。なぜなら、統一教会は半分宗教で、残り半分は商社として金儲けを狙うビジネス財閥であり、単純な日本人とは違い半島系は、結束力を持ち投機的分野に強いからである。

しかも、韓国人は国を見限りアメリカ人になるため、移住した人が圧倒的に多く、故郷に錦を飾りたい出稼ぎ気分の日本人とは滞在目的が全く異なり、民族意識がとても強烈である。それは在日系移民も同じで、差別への怨念の気分から、日本的なものを支配して優越感を味わうことに満足を感じる人も結構いたので、ロス時代の安倍晋三は受け身的な体験をしていた。

1980年代前半期にはカンサス州のWichitaで石油開発会社を経営し、月に一度くらいの割合でロスに出かけて取材活動を行った私が、カリフォルニアに家を買ったのは80年代の半ば頃だった。ロスはアジア人が多すぎ大都会は住みたくないし、砂漠の自然が好きだったので、ロスの東180キロに位置するパームスプリングスを選び、ランチョ・ミラージュに居を構えた。

ロス周辺に住む日本人は数万人を数えていたし、『加州毎日』に寄稿して連載記事を書いてたから日本人の読者が多くいて、半数は駐在員関係だが残りは移民の家族だった。だが、コリア・タウンの住人の中に、関西に住む在日に属す韓国系米国人の読者がいて、テレビのディレクターとか新聞記者の経歴を持つ、半島系の知識人だったが、彼らは歴史について詳しかった。

だから、統一教会の情報の多くは、らから教えて貰ったが、文鮮明がイスラエル修道会で修業した話を始め、東学党との関係についも、元記者から聞いたが当時の私は聞き流していた。統一教会の信者はビジネスを営む関係から、韓国人のコミュニティ情報に精通していて、それを教えて貰ったのであり、そこに多民族が共存しているアメリカ的な面白さがロスにあった。

日系人が多く住んでいたガーデナ市の古本屋には、統一教会関係の書籍が山積みで、そこの主人から聞いた世界平和アカデミーを始め、寿司屋や日本料理店の実情も韓国筋から得た裏話である。だが、ガーデナの日系社会では統一教会より創価学会が、遥かに活動的だったので、「靖国カルト」の注目度では、創価学会、生長の家、統一教会の順位で当時の私の関心を引き付けた。

だが、世紀末頃の私にとっては1000万人に近い会員を持ち、「総体革命」を掲げていた創価学会の脅威の方が焦眉の急の懸念事項であり、同じ半島絡みのカルト集団でも統一教会より気懸りだった。その頃の創価学会は豊富な資金力を背景に、米国創価大学(SUA)の設立で派手な準備工作に忙しく、宣伝用のためだろうがサイモン・ウィゼンタル協会に接近していた。

1995年に文芸春秋社がマルコポロ事件を起こし、ロスのユダヤ組織に対し謝罪したスキャンダルがあり、私は創価学会の動きに必要以上に注意力を注ぎ、その方面の取材に取り組んでいた。特に、ノーベル平和賞を狙う池田大作の宣伝工作で、カリフォルニアの州立大学に対しサンディエゴ校やロス校では、図書館の蔵書の中に創価学会から寄贈の本が激増していた。

蔵書の配置と内容に対し関心を持っていたので、書架に並ぶ本の多くに国際創価学会(SGI)池田会長寄贈という、シールが貼ってあるので、実に巧妙な作戦だと思い周到な浸透工作に舌を巻いた。ザビエルが日本に来て布教をする時に使った、セミナリオとしての学校が信者獲得の手段になり、イエズス会が勢力を築いたが、キリシタン大名が続出して安土桃山文化が栄えていたのである。

それに似た現象を見た私は、カリフォルニアの状況がサブカルチャーの面で、戦国時代末期の日本に似た社会的な楽市楽座なら、歴史の相似象として実に興味深いと感じた。また、創価学会が教育面で浸透工作を進めていたが、統一教会は霊感商法を始め食材ビジネスを中心にして、合同結婚式にみるようなより通俗路線を使うのは、なぜだろうかと気になった。

韓国側からカルトを観察すれば、顕微鏡で細胞を観察し繁殖する様子を見たり、菌類がマクロファジーに食われ、細胞分裂する生態を拡大して理解する行為にも似てくる。それに対し宗教活動が、どんな教義を採用して行動様式を取るかを検討し、それを比較することにより、カルト的な発展段階と普遍宗教に至るものとが、識別できるのではないだろうか。

そのように思い当たって調べると、創価学会が日蓮宗に属し『法華経』を聖典にしており、世俗化する過程では「真善美」を「真善利」で置き換えて、大衆化した歴史的な変遷と構造が分かった。創価学会の創始者は教育者の牧口常三郎で、創価学会の源流として「大日本皇道立教会」があり、国家主義者が結集したことは、『ゾンビ政治の解体新書』に以下のように書いてある。

「・・・日本が没落した背景としては、自民党のゾンビ化があったし,政教一致を掲げるカルト集団と結んだ超国家主義運動が控えていたが、日本人はそれに気づかなかった。しかも、創価学会の源流は大日本皇道立教会で、それを示す証拠の記念写真には、創価教育学会創立者の牧口常三郎や後継者になった戸田城聖の他に、児玉誉士夫までが揃っており、意味の解読は学者に託されている 。」

だが、統一教会はシャーマニズムが源流で原始キリスト教と結ぶ精霊信仰だが、プリミティブな構造は不安が祟りに由来すると捉え、怨念は教祖の文鮮明が持つ強い被害者意識に直結していた。だから、悪霊の憑依からの解放が救済だと信じ、この集団は交信の仲介役に巫堂(ムーダン)がおり、それが巫子役として教義を作り指導をする。

しかも、ムーダンとしての教祖の文鮮明が、低俗な理念で練り上げた稚拙な教義が信仰の意識水準を規定し、限界を決定づけているので、それに気づいた信者が脱会を試みても困難に直面する。閉鎖的な結社においては、内部秘密を守るために数多くの妨害措置があって、簡単に脱会できない仕組みがあり、洗脳工作からの解放も非常に困難なケースも多い。

統一教会の教祖の文鮮明には、朝鮮民族に特有の家父長的な考えが根強く、荒唐無稽な反日感情が露骨な形で表明され、民族性が濃厚であるから、常識があれば直ぐに見破れるものである。しかも、半島は男性器だが島は女性器の象徴だとして、朝鮮は男のアダムで日本は女のイブだから、女が男に奉仕するのは当然だとする、酷い偏見に支配されているのである。

こんな幼稚な考えは人類学でも扱わないが、これは古代習俗に過ぎない呪術に属すVaudou教に近いもので、魔術の仲間に属しているし、カルトに分類される考え方である。ハイチのヴードウ教は奴隷貿易の名残りで、ダホメ王国の習俗に由来し、キリスト教と混交した奴隷の信仰と呼ばれ、セックスのシンボルを崇拝して、それを売り物にする精霊を敬う邪教である。

朝鮮半島においてはツングース族に伝わる、シャーマニズム(巫俗)が広く普及しているが、恐れ山のイタコや沖縄のユタのような、日本の僻地に残る習俗や太古の遺物の山陰地方の「狐持ち」に近い。だが、朝鮮半島ではキリスト教と習合し、精霊や復活信仰結びつき、地政学的な緩衝地帯に特有な、被害者意識を伴っているので、怨恨がカルト化を促進させた民間に広く根付く習俗である。

朝鮮半島では巫堂(ムーダン)と呼ぶ、シャーマンを主役にした民間宗教が、キリスト教と混交して幅広く普及しており、農村や山間地帯を中心に、多くの信者が存在している。だから、韓国でのキリスト教はシャーマニズム的であるし、その流れから生まれた統一教会の教義には、不安や虚しさの気分と結合した恨(ハン)の情念が生きており、それがカルト性を強めているのである。

崔吉城広島大名誉教授は『キリスト教とシャーマニズム』で、「…キリスト教は普遍的な世界宗教だが、地域によって民族主義的になり、土着化し易い韓国のキリスト教はシャーマニズムと混合している。…シャーマン的な大規模集会を行う「精霊運動」という集団が現れることは、韓国キリスト教会の特徴である。

キリスト教における復活は罪意識と倫理的救済に関連するが、シャーマニズムは死者による祟りと生死禍福が重要な問題になる。…巫堂(ムーダン)たちは被差別集団だったが、今では人間文化財とされ韓国では差別はなくなった。…韓国におけるナショナリズムが強まる中で伝統文化が注目され、シャーマニズムは国有文化として、称揚されるようになった。」と書くが、これは非常に示唆的である。

シャーマニズムを軸にキリスト教の外装を持ち、反共思想を強調しながら日本を集金の舞台として使い、詐欺商法を営む統一教会は宗教を装った集団であり、反社会的な拝金カルトである。

国粋派の上杉愼吉に師事した岸信介は、右翼政治家として反共思想を使うために、統一教会の利用を考えたのだが、娘婿の安倍晋太郎になると、資金集めを通じて世話になるために利用した。

だが、岸の孫の安倍晋三は統一教会の守護神として、自民党総裁から首相に選ばれたし、国政の運営に関しては反日カルトの思想に従い、売国路線の推進に励み長期政権の記録を作った。

だから、その弊害は前代未聞であり、政治は嘘と改竄騒ぎで汚れ切って、政権与党の議員たちは反社会集団に取り込まれ、国民の利益を叩き売った上にカルト思想に汚染され、嫌悪と蔑視の存在になり果てた。

近代社会においては政教分離が原則だが、自民党は清和会により靖国カルトの巣窟になり、国政がカルトの水準に堕ちてしまい、政府自体が反社会的だから、誰も信用しない存在になってしまった。

「朱に交われば赤くなる」が、首相がカルトの守護神として統一教会にべったりで、取り締まる公安委員長までが従えば、日本は反社会集団にとって、この世の天国の稼ぎ場になる。

 

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藤原肇 藤原肇

フリーランス・ジャーナリスト。『皇室の秘密を食い荒らしたゾンビ政体』『日本に巣食う疫病神たちの正体』など著書多数。海外を舞台に活躍する。

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