【連載】週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!

第21回 我が、京大合唱団同期のエース指揮者 村井真一が死んだ!/コロナ5月8日に感染症法5類へ/マスク外すか?いや、外したくない?問われるんだよ、我ら日本人は!

鳥越俊太郎

うーん、ここからはマスクの話だよ。

新型コロナウイルス、感染症法上の位置付け変更の話から入ろう。

現在コロナの位置付けは感染症法2類とされている。

分かり易く言うと戦争である。

戦争は国が全て判断し,戦闘を国が指揮する。もちろん戦費も国の負担である。

感染症法2類と指定されている新型コロナウイルスは、国─厚生労働省─保健所が全て戦いを仕切り、治療や入院は国指定の所のみ。したがって検査、治療費は全て公費負担。

それだけに国─役所、政治家、感染症専門家、一部メディア。この4者が寄って集って「大変だ、大変だ」と騒ぎ立て、国民を恐怖に陥れた。

そ結果、この3年間、私たち国民はじっと我慢の生活を強いられてきた。それは経済活動を破壊し,学校教育も捻じ曲げてしまった。その中で生まれてきたのが「コロナはマスクで戦える」という奇妙な信仰だ。

もちろんコロナの当初から「コロナは5類相当にすべきだ」と指摘する医師や専門家がいたのを私は知っている。また「マスクではコロナを100%予防できないよ」と「100%マスク国民」に走り始めた日本人に覚醒を呼び掛ける専門家やメディアの関係者いたことも知っている。

コロナ禍の3年となる2023年初頭流石にこのままでは立ち行かない、と判断したのかどうかは知らないがまず政治が動き始めた。

1月21日の東京新聞の1面トップ記事がこう報じた。

「コロナ 4月にも5類」「首相表明『平時』へ転換」

「公費医療 段階的縮小の方針」「屋内マスク『原則不要』検討」

前文にはこうある。

「岸田文雄首相は20日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを、今春に季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げると表明した」。

3月~4月には統一地方選があり、4月末~5月初めには大型連休がある。岸田さんも迷ったらしい。で、最後に出たのがこれだ。3紙の見出しを並べて見ると、

「コロナ5類移行 5月8日に」(東京新聞、1月28日朝刊)

「コロナ5類移行 5月8日」(毎日新聞同)

「5類へ コロナ政策転換」「5月8日から 特別対応を段階縮小」(朝日新聞同)

問題はマスクの取り扱い判断だ。

新聞では1月27日、東京新聞は朝刊でこう伝えた。

「マスクの着用は、屋内外を問わず、原則として個人の判断に委ねる方針だ」

「政府は着用が効果的な場面を周知する方向で検討しており、早期の提示を目指す」

朝日新聞の1月28日はこう報じている。

「マスクは、屋内での着用を推奨していたが、『個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本として検討する』とした。どんな場面で着用すればよいか判断しやすくするため、政府として着用が効果的な場面を周知するという。足元の感染状況や専門家の意見も踏まえ、前倒しで方針を示すことも視野に入れる。大規模な感染拡大が起きた場合は、一時的にマスク着用を呼びかける可能性もあるとした」。

東京、朝日両紙のマスクに関する記事の基本は次の2点である。

① マスク着用は屋内外を問わず個人の判断に委ねる。
② どんな場面が効果的か政府が専門家などの意見を踏まえ周知する

しかし、一見新しいように見えるこの意見も実は何も変わってはいないことに気付かれた方はいるだろうか?

はい、マスクに関してはこれまでと何んら変化はないのだ。

皆さん、錯覚をしているようだ。これまでもマスク着用は個人の判断だった。

マスク着用が強制されたこともない。「マスク着用は個人の判断に委ねる」と改めて言われると、そうか、これからはマスク着用は自分で決めていいんだ。そう錯覚してしまう。実はこれまでだって個人の判断に委ねられていたのだ。

実はこのマスク問題は人間がウイルスとどう向き合っていけばいいのか?私たちがちゃんと知らなければならないテーマが潜んでいる。

小難しい理屈を考える前に、ある大事な事実をここで考えてもらいたい。

コロナウイルスが地球上で発生し,人類はどう対処してきたか?

パターンは3つぐらいある。

パターン1:ウイルスから、つまり感染から逃避することは止める。ウイルス感染による呼吸器系疾患には最大限医療で対処する。自己免疫プラスワクチンによる免疫力でウイルスと戦う。欧米を中心に国々。集団免疫によって感染症ウイルスは自然消滅するという考え方。

パターン2:中国のケース。共産党権力で人間の生活そのものを完全に封じ込める。いわゆるゼロコロナ政策。人間の社会、経済活動を完全にストップさせることで感染を封じ込める。

パターン3:日本のケース。人間の社会、経済活動は一定程度認め、コロナウイルスからはなんとか逃げようとする。どちらも中途半端に終わり、国民の不満も残る。その代表的な例がマスク政策だ。マスクではコロナウイルスの感染を完全に封じることはできない。

医学的にはそう、証明されているにもかかわらず、国民は100%マスクを着用している。世界でただ一つの珍しい国。総理大臣が新しい政策として「マスク着用は個人の判断に委ねる」と改めて宣言することの可笑しさに国民、中でもメディアのだれも気づいていない。

コロナウイルスの分類はおそらく5類に引き下げられるだろう。個人の治療費は増え、国の負担は減る。「マスク着用は個人の判断に委ねる」と言われても、「感染が怖い」「他人の目が怖い」という2つの「怖い」のせいでマスクの日々は今後も続くだろう。映像的にはイランのヒジャブと並んで、ただ1箇所、非常に珍しい国として珍重されるにちがいない。

(2022年1月30日)

 

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鳥越俊太郎 鳥越俊太郎

1940年3月13日生まれ。福岡県出身。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、同社を退職。1989年より活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」キャスターやコメンテーターとして活躍。山あり谷ありの取材生活を経て辿りついた肩書は“ニュースの職人”。2005年、大腸がん4期発覚。その後も肺や肝臓への転移が見つかり、4度の手術を受ける。以来、がん患者やその家族を対象とした講演活動を積極的に行っている。2010年よりスポーツジムにも通うなど、新境地を開拓中。

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