【特集】沖縄の日本復帰50周年を問い直す

米国の命令で集団的自衛権導入へ、日本は隷従関係に終止符を

宮城恵美子

私は1990年代、若者の雇用問題を研究していた。年々若者の雇用環境が厳しくなっていく事態に直面し、その要因と雇用拡大へ繋げるための解決策を模索していた。そんな折、小泉純一郎旋風が起こった。彼は「官から民へ」と叫び、郵政民営化を始めとする構造改革を行った。全国遍く存在する公的インフラが廃止されることに忸怩たる思いがあった。

Green Traffic signs with Private or Public sector – Socialist, Capitalist, privatization, school, health service

 

政府にとって何か不都合なことでもあるのか?後で分かったことだが、規制改革の撤廃や民営化路線は米国の要求であるということだった。年次改革要望書や後のアミテージ・レポートなどが対日要求書である。年次改革要望書は1994年に始まり2008年の鳩山政権で一旦終了した。要望書と言うが事実上の命令書だ。

Red color inserted label banner with word privatization on white background

 

同要望書が最初に出した要求は、商法関連で米国型企業統治の導入だった。米国の要求理由はM&Aで日本企業を買収・乗っ取りを容易にすることだった。そして労働者派遣法による人材派遣の自由化促進で、従来の終身雇用で定年まで安心して働き、退職金も出て、家も買える雇用形態を破壊した。大学を卒業しても正社員になれずボーナスも無い。それで若者の就業意欲は奪われたままである。

厳しい建築基準法も変えた。小売店舗を守っていた大店法廃止をして大型店出店が野放しになった。結果的に地元商店街は疲弊してきた。
米国の年次改革要望書における対日要求は後に国内法となる。それが今も続いているので農協・漁協などの金融や共済も危うい。行政の政策過程に外国人利害関係者の介入拡大も図られている。それによって政策決定過程の中で米国の対日要求は即反映できる仕組みになっている。

鳩山政権で年次改革要望書が廃止され、それに代わって出てきたものがアミテージ・レポートだ。彼は軍事命令をよく出している。国連平和維持活動(PKO)の法的権限を拡大し、自衛隊は海外に出ろと言うものだ。また、日米同盟の障害であるとして、米軍を助ける集団的自衛権行使容認を促した。日本の防衛産業輸出も促進させようとしている。

2012年のアミテージ・レポートが日本の軍拡を促したことを受けて、安倍晋三首相(当時)は安保法制などを成立させた。また、2022年12月には岸田文雄首相が安保関連三文書を閣議決定し敵基地攻撃能力を保有して戦争当事者に日本がなった。日本がトマホーク500発買えば、米国の軍産複合体は大儲けできる。全部が米国のためだ。

最も日米の矛盾を受けているのは沖縄だ。米国に従属して戦争の主役をさせられる「悪友関係」の「走り役」日本は勇気をもって米国に主張して、隷属関係に終止符を打つために議論を開始すべきである。政治家にも期待したい。

 

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宮城恵美子 宮城恵美子

独立言論フォーラム・理事。那覇市出身、(財)雇用開発推進機構勤務時は『沖縄産業雇用白書』の執筆・監修に携わり、後、琉球大学准教授(雇用環境論・平和論等)に就く。退職後、那覇市議会議員を務め、現在、沖縄市民連絡会共同世話人で、市民運動には金武湾反CTS闘争以来継続参加。著書は『若者の未來をひらく』(なんよう文庫2005年)、『沖縄のエコツーリズムの可能性』(なんよう文庫2006年)等がある。

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