【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第6回 コロナ騒ぎがめざしている世界 ―マスク、「三密」回避、世界のデジタル化で、ひとを管理するWHOを支配するWEF(世界経済フォーラム)、その設立者クラウス・シュワブ ―

寺島隆吉

前章では、テドロスWHO事務局長について次のような事実を紹介しました。

(1)医学博士でない人物がWHO事務局長になった初めての例だった。

(2)テドロスは、WHOの財源やGAVIアライアンス「ワクチンと予防接種のための世界同盟」を見れば分かるように、これまでにビル・ゲイツとの深い付き合いがあった。

(3)それ以前にも、エチオピア保健相時代にビル・ゲイツと出会い、ゲイツ関連のGFATM「エイズ・結核・マラリア対策の世界基金」理事会役員を務めたことがある。

(4)以上の経歴を見れば分かるように、テドロスは、ビル・ゲイツとの出会いがなければ、おそらくWHOの事務局長になれなかった人物である。

ところがインターネットで調べてみると、オカルト系のサイトや「ネット右翼」と呼ばれる人たちのサイトには、次のような記事が多いことに驚かされます。

(1)WHO事務局長テドロスと中国共産党総書記の習近平(シー・チンピン)は極めて親しい。だからテドロスは中国のコロナウイルス対策を激賞した。

(2)現在のコロナ騒ぎは中国共産党による陰謀である。コロナウイルスは中国の細菌研究所から出てきたもので、それは過失ではなく意図的なものだった。
(3)コロナ騒ぎのあとに予定されている「グレート・リセット」とは、世界を「共産化」させることであり、これは中国が世界を支配しようとしている現れだ。

代々の自民党による親米政策で、日本は「反韓」「反中」の雰囲気が渦巻いていますから、このような意見が出てくるのは当然かも知れません。

コロナ騒ぎの中で失業したりすれば、その不満を誰かにぶつけたくなりますから、その相手として中国が選ばれるのも納得できます。

しかしテドロス事務局長とビル・ゲイツの深い関わりを考えると、上記のような「コロナ騒ぎは中国による陰謀だ」という説は、即座に崩壊します。

そもそも「グレート・リセット」という考えはダボス会議すなわちWEF(世界経済フォーラム)の大きなテーマになっていますし、WEFの設立者クラウス・シュワブには『Great Reset』という著書もあります。

だとすると、先の説によれば、クラウス・シュワブは共産主義者(または、その賛同者)ということになりますし、WEFを財政面で積極的に支えているビル・ゲイツも共産主義者(または賛同者)ということになります。

こういう荒唐無稽な考え方は普通の人には到底受け入れがたいものです。

ダボス会議に集う世界の超エリートたちは、「コロナ騒ぎ」を利用して、今や崩壊寸前の資本主義社会を「一気にどう大改造したらよいか」を真剣に考えているわけです。いわば「ショック・ドクトリン」であり、それが「グレート・リセット」でしょう。

にもかかわらず、これを中国共産党の陰謀だと考えると真実を見失い、このコロナ禍から抜け出す道が見えてきません。

前章では、次のような考え方があることも紹介しました。

(1)ビル・ゲイツは、TEDでの講演「ゼロへの革新」で「ワクチン接種やその他の医療措置で人口を10%~15%削減できる」と言っている。

(2)そのためには国際機関であるWHOを利用してコロナ騒ぎを演出し、全世界全国民に対する「ワクチンの強制接種」が必要である。

(3)しかし、ゲイツが求めているのは、単にワクチンで大儲けしたり、人口を削減したりすることだけではない。その一環として考え出されたのがWEF(世界経済フォーラム)が主導する「ID2020」という組織と運動である。

この「ID2020」はウィキペディアでは次のように説明されています。

<ID2020は非政府組織NGOであり、世界中の10億人の文書化されていない人々や、難民などのサービスの行き届いていないグループのデジタルID(電子化された身分証明書)を提唱しています。陰謀論者によるCOVID-19のパンデミックに関連する誤った情報のため、このNGOは比較的知られていませんでした>。

しかしWB(世界銀行)で30年以上も仕事をしてきたピーター・ケーニッヒは、「コロナウイルスCOVID-19パンデミック。しかし真に危険なのは『ID2020』だ」という論文で、これについて次のように説明しています。

これは何年も前から計画されていたことだった。今すぐ着手するという最終決定は、2020年1月にダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)で下された。

ゲイツ財団、GAVIアライアンス(ワクチン接種促進世界同盟)、ロックフェラー財団、ロスチャイルド家などは、全員この決定――ID2020の実施――を支持している。

パンデミックが公式に宣言された後、次のステップは、WHOまたは各国の勧告に基づいて、警察や軍の監視下で「ワクチン接種を強制する」ことである。拒否すれば罰せられる。罰金か刑務所行きか。どちらにしても強制的ワクチン接種ということになる。

http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-596.html(『翻訳NEWS』2021-06-20)

多くの国では、このワクチンについて疑念をいだく国民が少なくなく、アメリカでは半数以上がワクチンを受けたくないと言っています。

そこでオバマ、ブッシュ、クリントンなど、元大統領がテレビに出演して「ワクチンができたら真っ先に接種してもらう」とすら言うようになりました。

「ワクチン接種を受けるぞ」、宣伝に駆り出された元大統領たち
https://www.rt.com/usa/508556-former-presidentsobama-
vaccine-covid19/

 

しかし、そのような演出をすればするほど、国民の間では「元大統領が登場しなければならないほど危険なワクチンなのだ」という意識が広まり、逆効果でした。

ですから、全員にワクチン接種ということになれば、警察や軍の監視下で「ワクチン接種を強制する」ということになりかねません。実際、イギリスやアメリカで「マスクをしていない」という理由だけで警官に警棒で打ちのめされたり、罰金を払わされたりという事件が頻発しています。

それはともかく、全員へのワクチン接種を強く支持しているのが、ゲイツ財団、GAVIアライアンス(ワクチン接種促進世界同盟)、ロックフェラー財団、ロスチャイルド家など、WEF(世界経済フォーラム)を支えている億万長者の一団であることに注目してほしいと思い
ます。

「ID2020」を推進する名目上の理由が、「身分証明書をもたないため医療サービスを受けられない難民・貧困者・発展途上国の人々に、全員強制のワクチンをサービスする」ということなのですが、アフリカなどの発展途上国が貧困なのは、先述のように、北半球の先進国が南半球の国々から豊かな資源を略奪するからです。

だとすれば、それをやめさえすればよいだけです。したがって「ID2020」の理由が良心的な動機から出ているとしても、世界中の国民にワクチンを強制する理由はないことになります。

もちろん、世界中の国民にワクチンを強制することになれば、これはもちろん巨大製薬会社がまた大当たりするということになるわけですが、全員強制には別の理由があります。

それはワクチンの強制接種は国民を監視する手段として利用できるということです。これについて以下で項を改めて説明することにします。

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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