【連載】週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!

第26回 安倍政権が狙い撃ち?関口さん、大丈夫?あなたの番組ですよ!!/その前に、年を取るってこんなこと/なんだなあ!身体のあちこちが全面的に壊れてくる〜抗い難い運命

鳥越俊太郎

さて本題である。

2日立憲民主党の参議院議員、小西洋之氏が総務省の内部文書をすべて曝け出し、3日には参院予算委員会で政府を追及した。岸田政権、特に総務省関係の政治家と官僚は逃げようがない、本当に久しぶりに大ヒットだ。

まず、メデイアはどう報じたのか?

朝日、毎日、東京の3紙を見ると、いずれも3面トップ。朝日、毎日は社説でこの問題を論じている。

安倍政権時の話である。

次に毎日新聞のオンラインの記事を少しだけ冒頭部部分だけを引用させてもらう。

・・・・・
高市氏「捏造だ」 放送法の「政治的公平」巡る文書で参院予算委紛糾

https://foimg.com/00190/GcslCT

首相補佐官(参院予算委員会で立憲民主党の小西洋之氏の質問に答える高市早苗経済安全保障担当相。奥左は松本剛明総務相=国会内で2023年3月3日午後1時31分

参院予算委員会で3日、立憲民主党の小西洋之氏が放送法の「政治的公平」に関する総務省作成とされる「内部文書」を基に、安倍晋三政権が「個別番組を狙い撃ちする政治的な目的で放送法の解釈を変えた」と追及した。政府側は文書の信ぴょう性に疑義があると主張。当時総務相だった高市早苗経済安全保障担当相は「捏造(ねつぞう)文書だ」と断言し、自身に関する記述が事実なら議員を辞職する意向を示した。

政府は放送法上の政治的公平性について「放送事業者の番組全体を見て判断する」との解釈を採用している。2015年、当時総務相だった高市氏が「一つの番組のみでも極端な場合は一般論として政治的に公平であることを確保していると認められない」と国会で答弁し、事実上の解釈変更だと受け止められた。
・・・・・

これは3日夜に配信された毎日新聞のネットの記事だ。冒頭の部分だけ引用させてもらった。

実はこの総務省の内部文書(A4で80ページ)を全てぶちまけたのは立憲民主党の参院議員、小西洋之氏だ。

小西議員は2日に記者会見をして3日には参院予算委員会で質問に立った。

この様子は4日の各紙にかなり詳しく報じられた。先に述べたように朝日、毎日両紙が社説でこの問題を論じている。

しかし、新聞社がこの問題に触れるのは4日だけで5日には関連記事は全く見られない、と書いたが、一つだけあった。東京新聞19面。「本音のコラム」(前川喜平)「勇気ある内部告発者」と言うタイトルだ。

この問題の内部文書は総務省職員から小西議員が入手したものだ。前川氏のコラムの内容にいく前に、なぜこんな重要な総務省の内部文書が小西議員の手に入ったのか?その背景について少しここで述べておこう。

小西議員は東大教養学部卒で郵政省に入り、その後アメリカコロンビア大学修士課程に入学し、帰国後は総務省に復職。2010年、総務省情報流通行政局衛星・地域放送課課長補佐を最後に退官。2010年民主党公認の参議員当選。3期目。

小西議員は「この文書は総務省の職員から入手したものだ」と明言しており、もしそうであるならばかつての同僚か先輩、後輩の総務省職員から入手したことになる。全く見ず知らずの人からではないのだ。その意味で信用性の高い文書だと言えるだろう。

さて前川さんは「本音のコラム」ではこの問題についてどう述べているのか?短いので全文引用したい。

「勇気ある内部告発者」(前川喜平)

「2014年から15年にかけて、安倍首相官邸がTBSの『サンデーモーニング』といった個別の番組を問題視し、総務省に圧力をかけて番組の『政治的公平』をめぐる放送法の解釈を変えさせた。その経緯に関する総務省の内部文書をもとに、立憲民主党の小西洋之参院議員が2日に記者会見し、3日に参院予算委で質問した。

『政治的公平』は『一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する』としていた解釈を『一つの番組でも、極端な場合は政治的公平を確保しているとは認められない』と変えたことで、政権が個別の番組を『政治的公平』に反すると狙い撃ちできるようになり、放送の自由を萎縮させた。

首謀者は当時の磯崎陽輔首相補佐官だった。総務省出身の山田貴子首相秘書官は『ヤクザに絡まれたって話』と評したという。

当時の高市早苗総務相と安倍首相の電話会談の記録について高市氏は『捏造文書だ』と主張。『捏造文書でなければ大臣も議員も辞職するか』と問われて『結構ですよ』と答弁した。 今後文書が本物だと分かったら、高市氏は本当に議員辞職するのだろうか?

文書を提供した総務官僚は『国民を裏切る違法行為を見ぬふりをすることはできない』と語ったと言う。この勇気ある内部告発者こそ真の全体の奉仕者である」。

この内部文書ではTBSの日曜朝の番組「サンデーモーニング」が槍玉に上がっているが、新聞各紙はどう取り上げているのか?

先ず朝日新聞から。3面に大きく「放送法『内部文書』真偽は」の見出しで特集をしている。もちろん文書を公開したのは小西議員と書いてある。しかし社説では小西議員の名前はカット、単に立憲民主党の議員としか書いていない。内部文書の中で「政権に批判的」として「サンデーモーニング」が取り上げられているが、朝日の報道では一切具体的な話はカットらしい。

毎日新聞は3面に5段組みの大特集。

「当時の礒崎首相補佐官がTBSの『サンデーモーニング』を政権に批判的だと認識し解釈変更を主張。安倍氏も『現在の番組にはおかしいものがあり、ただすべきだ』などと発言したとした。安倍氏と高市氏との電話協議とされる内容も記されている」。

一方東京新聞はどう報じたか?こう言うくだりがある。

「官邸がTBS系の情報番組『サンデーモーニング』でコメンテーター全員が同じ主張をしていたと問題視し、事実上の解釈変更に至った流れとして記述されている」。

結局前川さんの「本音のコラム」が一番的確に問題の本質を捉えていたように思う。

小西議員からメールで送られてきた内部文書は大量で全部は読みきれない。ただチラチラと見ていて気になるくだりがあったので、そこだけ抜き出したい。

文書の21ページ目だ。タイトルは総理レクの結果について。平成27年3月5日(木)夕刻

山田総理秘書官→電話→安藤局長。

「礒崎補佐官から、サンデーモーニングはコメンテーター全員が同じことを述べている等、明らかにおかしいと発言。これに対し総理から『放送番組全体で見る』とするこれまでの解釈は了解するが、極端な例をダメだと言うのは良いのではないか」。

TBSのサンデーモーニングは自民党にとってはどうにも癪でたまらないらしい。

では当の「サンデーモーニング」の面々は今日5日の放送でこの問題をどう受け止めたのか?

それこそ出演者のコメントを取ろうとペンを持ったが、ペンでは追いきれないのだ。結局スマホでコメント一つ一つ撮影した。時代は変わったなあ!では3月5日日曜日朝の「サンデーモーニング」はこの問題をどう報じたか?内部文書の中身の説明はもういい。問題は番組のコメンテーターがどう反応するかだ。自分達のコメントが皆同じで反政権である、と安倍政権では捉えられ、今にも何か攻撃を受けそうな感じだったが。

関口(司会者)「なんでこの話が今また出てきたのかなあ」。

少しのんびりした反応だった。

またコメンテーターの常連組、松原耕二氏はこう述べた。

「小西議員が入手したと言う内部文書、この文書自体の評価は難しいんですけれども、安倍政権下で番組の政治的公平を巡って政権側からメディア側にいろんな働きかけがあったと言うのは報じられていますので、少なくとも当時何があったかについて政治の側はちゃんと説明すべきだと思います。いろんなことがまだはっきりしない状況の中一つだけぜひ確認しておきたいのは放送法という法律がなぜできたのか、どんな精神でできたのか、戦後ですね、確認しておきたい。

これがどうも曖昧になっているんですね。つまり、放送法というのは戦時中にメディアが政府と一体になって戦争に突き進んだ、大本営発表をそのまま流してきたという、その反省から、つまり政治の介入を排除して放送局が自由に放送することを保障するものである。これが放送法の本質であるということを多くの専門家の見方としてありますし、私自身もそう思っています」。

(2023年3月6日)

 

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鳥越俊太郎 鳥越俊太郎

1940年3月13日生まれ。福岡県出身。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、同社を退職。1989年より活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」キャスターやコメンテーターとして活躍。山あり谷ありの取材生活を経て辿りついた肩書は“ニュースの職人”。2005年、大腸がん4期発覚。その後も肺や肝臓への転移が見つかり、4度の手術を受ける。以来、がん患者やその家族を対象とした講演活動を積極的に行っている。2010年よりスポーツジムにも通うなど、新境地を開拓中。

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