【連載】ウクライナ問題の正体(寺島隆吉)

第12回 ゼレンスキー演説の嘘 「原発」編

寺島隆吉

もうひとつ、ここで忘れてならないのは、ドイツを共通の敵として同盟国であったはずのアメリカが、すでに第2次世界大戦中にソ連を核攻撃する計画を立てていたという驚愕すべき事実です。これを詳細に暴露したのが次の論考です。

(1)Targeting the USSR in August 1945「1945年8月のソ連をターゲットにした核戦争計画」( 『翻訳NEWS』2022/06/14)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-846.html

(2)Today the Threat of Nuclear War is Real: “Wipe the Soviet Union Off the Map”, 204 Atomic Bombs against 66Major Cities, US Nuclear Attack against USSR Planned During World War II When America and the Soviet Union Were Allies「今日、核戦争の脅威は現実の問題である: 『ソ連を地図から抹消しろ!』204個の原爆を66の主要都市へ!米ソが同盟国であった第2次世界大戦中に計画された米国の対ソ核攻撃」( 『翻訳NEWS』2022/13/31)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-859.html

この論考 (1)は、 「戦争が正式に終わる前の1945年8月に行われた、米国のソ連に対する戦争準備」の記録をもとに、アレックス・ウェラーシュタイン教授(アメリカ、スティーブンス工科大学)が書いたものです。

論考 (2)は、その論考 (1)の冒頭に、ミシェル・チョスドフスキー名誉教授(カナダ、オタワ大学)が長いメモを加筆したものです。そしてチョスドフスキー教授の長い解説のあとに論考 (1)が再掲され、それは次のように始まっています。

「ソ連を地図から抹消しろ!」204個の原爆を66の主要都市へ!

米ソが同盟国であった第2次世界大戦中に計画された米国の対ソ核攻撃

1945年9月15日付の秘密文書(機密解除済み)によると、「ペンタゴンは、ソ連を吹き飛ばすことを想定していた、主要都市部に対する核攻撃で」

ソ連の主要都市はすべて、66の「戦略的」目標リストに含まれていた。次に示す一覧表は、各都市の面積(平方マイル) と、その住民を全滅させるのに必要な原爆の数を分類したものである。この表によると、 モスクワ、 レニングラード、 タシケント、 キエフ、 ハリコフ、 オデッサといった大都市をそれぞれ破壊するために、6個の原爆が使われる予定であった。

国防総省(ペンタゴン)は、 「ソ連を地図から消す」 ために必要な原爆を合計204個と見積もっていた。核攻撃の標的は66の主要都市であった。

この作戦を実行するために必要な「最適」な原爆の数は466個であった(下記資料参照) 。

広島に投下された1発の原爆は、 最初の7秒間で10万人を即死させた。想像してみてほしい。もし、第2次世界大戦中に米国が秘密裏に立てた計画に従って、204個の原子爆弾がソ連の主要都市に投下されていたらどうなっていたか。

広島と長崎への原爆投下(1945年8月6日と9日)からわずか1カ月後、すなわち冷戦勃発(1947年)の2年前の1945年9月に、この極悪非道な軍事計画をまとめた文書が出されていたのである。

 

この論考から分かるとおり、ナチスドイツを倒すためにアメリカはソ連と協力して戦ったはずなのに、 日本が正式に降伏する9月15日に上記の機密文書を策定していたのです。

このことを考えると、ヒトラーを「バルバ ロッサ作戦」でソ連侵攻に向かわせたのは、やはり欧米の大企業・金融資本の意図的行動だったのかと疑わざるを得ません。つまりヒトラーはソ連を潰すための道具に過ぎなかったのです。

その証拠に、欧米の財界は、裏でヒトラーやムッソリーニ(当時のイタリア独裁者)を支援していたのです。このことを私はすでに第6章で明らかにしておきました。詳しくは次の通りです。

(1)「英米はムッソリーニのファシズムを支援していた」( 『翻訳NEWS』2021/02/21)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-509.html
(2)「戦勝記念日!ロシア人は2600万人戦死の記憶をもってはいるが、 米国資本主義がナチスドイツの戦争を金銭面で支えていた事実は知らない( 『翻訳NEWS』2021/02/16)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-507.html

ヒトラーはソ連を潰すための道具に過ぎなかったのではないかと疑わせる第2の証拠は以前にも紹介した次のような事実です。

ヒトラーの奇襲攻撃「バルバロッサ作戦」では、ドイツはソ連攻撃に310万人を投入、西側には約90万人を残すだけでした。ドイツには約
90万人しか残っていなかったのですから、英米仏がドイツを攻撃する絶好の機会だったはずです。

ところが以前にも紹介したように、 西側の国々はドイツ軍と戦わず、ナチスと戦っていたのは地下での抵抗運動(レジスタンス)だけでした。英米が慌てて有名なノルマンディー上陸作戦を企画したのは、ナチス軍がソ連軍に敗北し、ソ連軍が南下しはじめてからです。

以上の事実を考えると、今度のウクライナ危機もネオナチやゼレンスキー大統領を道具に使ってロシア潰しを図っているにすぎないのではないか。私はウクライナ問題を調べれば調べるほど、そう思うようになりました。

マッキンダーの「ハートランド理論」に従えば、 「ロシアを制するものは世界を制する」のです。戦国時代には「美濃を制するものは天下を制す」と言われたそうですが、この「美濃」にあたるのが「ロシア」だと言えるのかも知れません。

繰り返しになりますが、そういう意味では、ゼレンスキー大統領は、アメリカが世界の支配者としての地位を維持するための「使い捨ての駒」となっている、と思われてなりません。

可哀想なのはウクライナ国民であり、8年間も悲惨な生活を強いられたドンバス2カ国の住民です。ゼレンスキー大統領が「ウクライナを売った男」と言われるのも無理はないでしょう。

* The Man Who Sold Ukraine「ウクライナを売った男――ゼレンスキー」( 『翻訳NEWS』2022/03/23)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-841.html

ここで、もうひとつだけ確認しておきたいことは、 「神に許された国」と自認し、他国や他国の人間を支配し服従させても(時には殺しても)それを当然と考えるアメリカの支配者の考え方・冷酷さです。

先に私は、アメリカ国防総省(ペンタゴン)が「ソ連を地図から消す」ために必要な原爆を合計204個と見積もっていたことを紹介しました。核攻撃の標的は66の主要都市でしたが、その都市名と原発の必要数が書かれた一覧表も載せられていました。

広島と長崎に原爆を落として、一瞬にして何十万人もの無辜の命を奪うことだけでも十分恐ろしいのに(これは明らかに「戦争犯罪」です)、ソ連の66もの都市に原爆を落とす計画を立てる人間の神経が信じられません。

アメリカの支配者は、自分たちの国は「例外的な国」 「神に許された国」と考えているからこそ、できる行為です。

しかし、アメリカの恐ろしい姿勢は、この66都市に留まりませんでした。何と当初計画の66都市は1956年に更新され、ソ連と東欧のソ連圏諸国の約1,200都市が含まれるようになりました。

しかも、 使用予定の爆弾は、 広島 ・ 長崎に投下されたものよりも爆発力が強力な水爆だったのです。先述の論考では、そのことが次のように書かれています。

 

1956年6月に作成され、 2015年12月22日に初めて国家安全保障アーカイブ(*1)によって公開されたSAC(*2)は、これまでに機密解除された核標的および標的システムの最も包括的かつ詳細なリストである。

SACの調査には、恐ろしい内容が含まれている。その著者によると、目標の優先順位と核爆弾の戦術は、 「近くの民間人」と「友好的な軍隊」を高レベルの致命的な放射性降下物にさらすものであった。

さらに、この著者はソ連圏の都市・産業目標を「組織的に破壊」する計画を立てている。

北京、モスクワ、レニングラード、東ベルリン、ワルシャワなどすべての都市で「住民」を具体的かつ明確にターゲットにしてこのように意図的に民間人を標的にすることは、人そのものへの攻撃(近くに民間人がいる軍事施設とは異なる)を禁止する当時の国際規範に直接に抵触する。

*1 国家安全保障アーカイブwww.nsarchive.org
*2 SA : Strategic Air Command C(Atomic Weapons Requirements Study for 1959)

 

そして、この論考には次頁のような地図が載せられていました。

2015年に初めて暴露された核攻撃の対象都市

 

地図には英文で「冷戦時代の核兵器の標的リストが初めて機密解除された。東ベルリンを含むソ連圏の主要都市は、核爆弾投下における『組織的破壊』の優先順位が高かった」と書かれています。

繰り返しになりますが、 「ロシアの独裁者、プーチンの軍隊は何の大義名分もない、火付け強盗の類いの軍隊でしかない」と言う鎌田慧氏の眼には、今までアメリカの軍隊やCIAが行ってきた、このような数多くの戦争犯罪は、 一つも映ってこなかったのでしょうか。

アメリカが「核兵器を使った先制攻撃も辞さない」と言っているのを鎌田氏は聞いたことがないのでしょうか。ロシアが西側国境のほぼ全てをNATO軍で包囲されていることを知らないのでしょうか。

アメリカは遠く離れたキューバにソ連がミサイル基地を作っただけで恐怖したのに、カナダやメキシコの近辺にロシア軍が駐留したり、そこに軍事基地・ミサイル基地 ・ 生物兵器研究所を作ったとしたら、ア メリカはどのように反応するでしょうか。

以前にも述べましたが、 元財務次官のポール・クレイグ・ロバーツ博士は、プーチンとロシア軍を次のように揶揄していました。

「プーチンは馬鹿か、お人好しか」
「世界最高レベルの軍事力をもっているのに何というザマだ」
「民間人の被害をさけるという戦術を優先しているかぎり戦争は長引き、結果として核戦争になる恐れもある」

このように元アメリカの財務次官にすら「馬鹿か、お人好しか」と揶揄されているプーチンが、どうして「独裁者」になるのでしょうか。

(寺島隆吉著『ウクライナ問題の正体1—アメリカとの情報戦に打ち克つために—』の第11章から転載)

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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