【特集】ウクライナ危機の本質と背景

改めて検証するウクライナ問題の本質 :Ⅵ 忘れられたドンバスの苦悩(その3)

成澤宗男

ウクライナの「アフガニスタン化」

これについて、ロンドンスクール・オブ・エコノミクス国際開発学部学教授のロバート・ウェイドは、今回の戦争について「ロシアを軍事的泥沼に沈めるために十分な武器や他の資材をウクライナに送り込み」、「ロシアでの政権打倒(regime change)を実現するための長期的戦略」を反映していると見なした上で、次のように述べている。

「米国やNATOの戦略家たちは、ロシアに対して二段階の『ウクライナの罠』を考えていたようだ。最初が、侵攻させること。2番目が、(侵攻後にウクライナ軍の)長期的な反乱でロシアを泥沼に沈めさせること。

この2番目は、(80年代の)アフガニスタンの再現に他ならない。介入した旧ソビエト軍と戦ったアフガニスタンの反乱勢力が、旧ソビエト連邦の打倒に寄与したように、欧米の戦略家たちは、泥沼にはまったロシア軍と戦うウクライナの戦闘員がプーチン体制の終焉をもたらすよう望んでいる。

米国からすれば、ウクライナ軍が抵抗し、ロシア軍を泥沼にはまり込ませる期間が長くなればなるほど、プーチン体制を終わらせる可能性もより確実となるのだ」(注9)

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成澤宗男 成澤宗男

1953年7月生まれ。中央大学大学院法学研究科修士課程修了。政党機紙記者を経て、パリでジャーナリスト活動。帰国後、経済誌の副編集長等を歴任。著書に『統一協会の犯罪』(八月書館)、『ミッテランとロカール』(社会新報ブックレット)、『9・11の謎』(金曜日)、『オバマの危険』(同)など。共著に『見えざる日本の支配者フリーメーソン』(徳間書店)、『終わらない占領』(法律文化社)、『日本会議と神社本庁』(同)など多数。

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