【連載】安斎育郎のウクライナ情報

1月11日のウクライナ情報

安斎育郎

1月11日分です。

安斎育郎

1月11日のウクライナ情報
安斎育郎

❶ロシア・ウクライナ戦争:10万人以上のウクライナ軍が脱走罪で起訴される | WION Fineprin(2025年1月8日)
冬が近づくにつれ、ウクライナ軍は戦場で新たな困難な課題に直面している。厳しい気象条件とそれに合わせた戦略の必要性が、紛争が続く中でウクライナ軍の回復力と備えを試している。
https://youtu.be/DnVoQRMsw7w
https://www.youtube.com/watch?v=DnVoQRMsw7w

❷ロシア軍、西側による露ドネツクの資源略奪を阻止(2025年1月8日)
英国はドネツク人民共和国西部のシェフチェンコで大規模なリチウム鉱床の開発計画を進めていたが、ロシア軍がその一帯をウクライナ当局から解放したことにより、計画は破綻した。
ウクライナのゼレンスキー体制は2024年、ドネツクにある巨大なシェフチェンコ・リチウム鉱床(1380万トンと推定)の開発権を法外な価格で英国に売却していた。開発は英国の実業家アンソニー・セージ氏が所有するヨーロピアン・リチウム社が進めるはずだった。
ただし、ロシア軍はドネツク人民共和国の解放を継続しており、先にシェフチェンコからウクライナ軍を追放した。
ゼレンスキー氏は欧米に売却した利権を確保するためにもドンバスの制圧を目指しているが、兵士の士気は低く、撤退を続けている。
リチウムは電気自動車の製造に欠かせないことから「白いダイヤ」とも呼ばれ、価格が高騰している。
https://sputniknews.jp/20250108/19480049.html

❸ウクライナみたいな民主主義より独裁の方がマシ=ベラルーシ大統領(2025年1月8日)
ベラルーシのルカシェンコ大統領は正教会のクリスマス(1月7日)を祝う中で、さまざまな外的課題に直面した国の発展について、次のように語った。
「我々は薄氷の上を歩いてきましたが、氷を割ったり、この氷水に落ちたりしたことは一度もなかった」、「これが我々の主な成果です」
大統領は世界中に緊張が広がっていることを踏まえ、西側に依存したウクライナの外交政策を疑問視した。
「ヴォロージャ・ゼレンスキーはなんであんな態度なのか。我々は普通に良い関係だったのに。うちの家族だってそうだ。なのにあいつは文句ばっかり。何が不満なのか。あいつは命令をだされているんです。あの手この手を使って国を戦争に引きずり込めと」
そのうえで、ウクライナのように、衝突に巻き込まれないことがベラルーシにとっては最優先課題だとし、次のように語った。
「ベラルーシは独裁だとか、なんやかんや言われていますが、言わせておけばいいんですよ。いいですか、こういう独裁の方がウクライナみたいな民主主義よりよっぽど良いんです。我々は耐えましょう。やけくそになっては絶対にダメだ」
ベラルーシはこれまでロシアとウクライナの間で仲介役の役割を担ってきたが、両国の停戦交渉は西側の介入により阻止された。
https://sputniknews.jp/20250108/19479825.html

❹ ウクライナのクルスク攻勢で壊滅的失敗(2025年1月8日)
https://youtu.be/Th9POuOhEYg
https://www.youtube.com/live/Th9POuOhEYg

❺英仏首脳が9日会談、ウクライナ・不法移民など協議へ(ロイター、2025年1月9日)
[ロンドン 8日 ロイター] -スターマー英首相とフランスのマクロン大統領と9日に会談し、ウクライナ戦争や不法移民対策について協議すると、スターマー氏の報道官が明らかにした。報道官は会談が英首相の公式別荘であるチェッカーズで行われるとし、「協力分野と共通の世界的課題に焦点が当てられる」と述べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a31c9f075435cc491842f4b1259fd9349f6dc5e9/images/000

❻ウクライナ、モルドバへの石炭支援協議 ロシア産ガス輸送停止で(ロイター、2025年1月9日)
[8日 ロイター] -ウクライナのゼレンスキー大統領とモルドバのサンドゥ大統領が8日、モルドバの分離独立派沿ドニエストル地方で発生している停電や暖房不足などのエネルギー危機を軽減するため、ウクライナ産石炭の利用について電話協議した。
旧ソ連時代末期にモルドバから分離宣言した親ロシア派の同地方は、ロシア産ガスに長年依存しているが、ウクライナが自国領土経由のガス輸送協定の更新を拒否したことから、ウクライナ経由のガス供給が1月1日に停止した。ゼレンスキー氏は8日夜のビデオ演説で「石炭供給を含め、モルドバを支援する用意がある」と述べた。
また、危機はモルドバの親欧政府に打撃を与えるため「ロシアがエネルギー資源操作を試みている」ことに起因すると非難した。
一方、サンドゥ氏は声明で、両首脳が「石炭などの代替エネルギー源利用を含め、人道危機悪化を防ぐ共通の解決策を特定することで合意した」と説明した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/572a7145e538311ddd968bfd032f09a1548a9f33/images/000

❼ ウクライナ戦争長期化でゼレンスキー支持率が半分に…国民の信頼失ったか(中央日報、2025年1月9日)
2022年から3年間続くウクライナ戦争のためゼレンスキー大統領の支持率が急落した。ゼレンスキー大統領が昨年5月に任期を終えた状況でも戒厳を理由に大統領職務を継続している中、リーダーシップに亀裂が生じているという分析が出ている。
キーウ国際社会学研究所(KIIS)は先月2-17日の世論調査の結果、ゼレンスキー大統領の信頼度は52%だったと7日(現地時間)、明らかにした。
KIISはゼレンスキーの支持率が戦争直後(2022年3月)に90%の支持率でピークとなって以降、下降していると分析した。特に米国と欧州連合(EU)の軍事支援が滞ってロシアの空襲が激化した昨年2月(64%)と5月(59%)に明確に支持率が落ちたという。戦争に入ってから最低値の52%となった今回の調査も、ロシア軍がウクライナ東部に進撃する中で実施された調査だ。
リーダーシップが懸念される部分は、ゼレンスキー大統領を「信頼しない」という回答者が7%(2022年3月)から39%(2024年12月)に急増した点だ。KIISのフルシェツキー専務理事は「ゼレンスキーを信頼する人は依然として多いが、これも減少傾向にあり、4分の1は(「信頼する」と「信頼しない」の)境界線上にある」と伝えた。
大統領の任期が昨年5月に満了した状況で、高い支持率はゼレンスキー氏の大統領職遂行を支えてきた。野党とロシアは、ウクライナ憲法に「戒厳時には議員の任期が延長される」という明示的規定はあるが、大統領の任期についてはいかなる言及もないとしてゼレンスキー大統領の資格を問題視している。フルシェツキー専務理事は「ゼレンスキー大統領に対する信頼低下は大統領制自体にも致命的な打撃」とし「大統領制と政府機関全般の正当性が崩れ、統制力を失うことになる場合、いかなる災難が生じるかは説明する必要もない」と述べた。

◆死亡北朝鮮兵「労働党入党請願書」も発見
この日、ソーシャルメディアを通じてロシア戦場に配備された北朝鮮軍の追加の痕跡が公開された。親ウクライナ系テレグラムチャンネル「ExileNova+」は北朝鮮の170ミリ自走砲「コクサン(谷山)」が戦線に配備されたとして映像を公開した。映像はロシア軍の間で広まっているという説明だ。北朝鮮の閲兵式(軍事パレード)に主に登場するコクサンは昨年11月、ロシアと推定される地域に列車で運送される写真がロシアのテレグラムチャンネルに掲載された。
親ウクライナ系ボランティア団体インフォームナパームはテレグラムで、ウクライナ特殊作戦軍が射殺した北朝鮮兵の遺体と遺留品の写真も公開した。インフォームナパームは照準鏡が装着された突撃銃とドローン探知機などが発見された点からみて、戦死者の中に将校もいたとみられると明らかにした。
死亡した北朝鮮兵の遺留品の中に「チョン・グムリョン」という名前が書かれた労働党入党請願書も発見された。請願書には手筆で「祖国を銃隊で必ず保衛するという決死の覚悟で英雄的な朝鮮人民軍隊に自ら入隊した」とし「栄光の朝鮮労働党に受け入れられることを熱烈に請願する」と書かれていた。

❽ジェフリー・サックス教授:トランプは平和を望んでいるのか?(2025年1月9日)
https://youtu.be/uM0dZtQSk-8
https://www.youtube.com/live/uM0dZtQSk-8

❾米政府が5億ドルの上積み発表へ 9日のウクライナ軍事支援会合で(ロイター、2025年1月8日)
[ワシントン 8日 ロイター] – 米政府は9日に行われるウクライナ防衛連絡グループ(UDCG、ラムシュタイングループ)の会合で、ウクライナに対する5億ドルの追加軍事支援を発表する。
ある米政府高官は、ウクライナがロシアに侵攻されて以来、米国は安全保障分野で635億ドルの支援を約束してきたが、さらに5億ドルの上積みが明らかにされるだろうと述べた。
ラムシュタイングループはウクライナ向け軍事支援にかかわる約50カ国で構成され、数カ月に1回、ドイツ南西部ラムシュタイン米空軍基地で開催されてきた。2022年にオースティン米国防長官の音頭取りで始まったが、バイデン政権としては今回が最後の会合になる。
トランプ次期大統領の側近らは、ウクライナがロシアに占領された地域の大半の奪還を放棄する形での停戦案を持ち出しており、次期政権でラムシュタイングループの会合が存続するかどうかは不透明だ。
ただ米国防総省高官の1人は「われわれはグループを終わらせるつもりはない」と語り、次期政権の方針にかかわらず、グループの実質的な機能は何らかの形で続いていくだろうとの見方を示した。
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/

❿ウクライナ軍、フランスでの訓練中に脱走者続出!指揮系統や人員配置の問題が浮き彫りに(内容既報、2025年1月8日)
フランスでフランス製の最新兵器を用いて戦闘訓練を受けたウクライナ軍第155機械化旅団の兵士の大半が脱走したとの報道が事実であることが確認された。
ウクライナのミハイロ・ドラパティ陸軍司令官は6日(現地時間)、AFP通信などのメディアインタビューで第155機械化旅団に問題があることを認定、脱走報道を事実上認めた。
同司令官は「問題の存在を認識している。人員配置、訓練、指揮システムに問題があった」と述べ、「これらすべてを認識し分析した結果、明確な結論に至った」と明かした。
第155機械化旅団は、ウクライナ戦争勃発後、海外で訓練を受けた初のウクライナ部隊である。フランス軍の指導と訓練プログラムを経て、ウクライナ軍の近代化を象徴する重要な事例として注目を集めていた。
フランスはこの部隊にAMX-10軽戦車、装甲車128両、カエサル自走榴弾砲18門を提供した。昨年10月にはフランスのエマニュエル・マクロン大統領が訓練現場を視察し、激励の言葉をかけた。
しかし、昨年8月から11月にかけてフランスでの訓練を終え帰国した直後、指揮官のドミトロ・リウムシン大佐が突如辞任するなど、この部隊は本格的な実戦配備の前から危機に直面していた。
先月、ウクライナの著名な軍事ブロガー、ユリ・ブトゥソフ氏は、この部隊の2,300人の兵士のうち1,700人が一度も戦闘に参加せずに脱走し、フランスでの訓練中に逃亡した兵士も50人に上ると暴露した。
その理由として、この部隊に配属された兵士たちが自発的に志願したのではなく、強制徴集されたためだと主張した。さらに「ウクライナ陸軍司令官は犬とロバの部隊を作ることを決め、その部隊に数千人を押し込んだ。その多くが文字通り街頭で強制徴集された」と厳しく非難した。
ドラパティ司令官はブトゥソフ氏の主張を否定しなかった。「ブトゥソフが指摘した事実の多くは実際に起こった」としながらも、「報道されたほどの大規模なものではない」と主張した。脱走の原因として、兵士たちの恐怖心と実戦経験の不足を挙げ、指揮システムの不備も影響したと分析した。
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/

2025年1月11日 ウクライナ情報pdf → こちら

 

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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