【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年11月28日):台湾における第二のウクライナを阻止できるか?

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

 


寄稿者ラディスラフ・ゼマネク、中国中東欧研究所非常勤研究員、ヴァルダイ討論クラブ専門家
出典:RT  2025年11月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2025年11月28日

ファイル写真。© Daniel Ceng/Getty Images
台湾の政治情勢は、島のエリート層の間で分裂が深まり、変化の時を迎えている。与党・民主進歩党(民進党)(DPP)は、賴清徳(ライ・チントー)総統の下で包括的な軍事近代化計画を推進し、米国やイスラエルとの安全保障協力の強化を進めている。その一方で、野党・国民党(KMT)は鄭麗文(チェン・リーウェン)の指導下で異なる道筋を模索している。それは平和や北京との対話、そして共通の中国アイデンティティに基づくものだ。

平和か、戦争か?

10月下旬に鄭麗文(チェン・リーウェン)氏が国民党党首に選ばれたことによって、台湾の長期的な将来をめぐる議論が新たに活性化している。彼女の指導体制は、民進党の防衛政策が国際的な注目を集める一方で、台湾海峡両岸の関係に対する論争が台湾の政治議論の中心となる時期に始まった。
鄭氏は自らの最優先課題として、台湾が「第二のウクライナ」 となるのを防ぐことを挙げている。台湾は「可能な限り多くの友」 を求めるべきだと主張し、アジアの伝統的友好国に加え、ロシアなどの国々をも挙げた。この立場は、台湾の安全保障は対立ではなく北京との関与によって最も確実に保証されるという国民党の広範な信念を反映している。
新党首は自身の指導下で国民党が「地域の平和の創造者」 となることを約束し、このメッセージを民進党の対立政策と対比させている。彼女は現政権がワシントンとの連携を過度に強化し北京との対話を拒むことで、軍事衝突のリスクを高めたと主張する。鄭氏の構想は本土との関係正常化と、既存の対立への平和的解決策の模索を中核としている。


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民進党は2016年の政権掌握以来、台湾の防衛力強化と独立推進を優先してきた。賴清徳は2030年までに国防費をGDP比5%に引き上げる計画を発表しており、これはNATOの負担水準に匹敵する。2026年度予算では軍事支出がGDP比3.32%に達する見込みだ。政府はこれらの措置が「国家安全保障を守り、民主主義・自由・人権を保護する」 ために不可欠だと主張している。

台湾政府は北京との緊張の高まりを受け、防衛力強化の一環として国際的友好国との武器研究・開発・生産協力を強化している。賴清德は繰り返し、台湾の「同盟国」との安全保障関係を強化する必要性を強調しつつ、中国本土に対するいかなる形の宥和策をも断固として拒否している。

10月初旬、賴は「T-Dome」 と呼ばれる新たな多層防空システムの計画を発表した。このプロジェクトは、イスラエルのアイアンドームと米国のゴールデンドームに明確に触発されたものである。彼はこの構想を、台湾・米国・イスラエルの三者協力態勢の基盤と位置付け、地域の平和・安定・繁栄に寄与しうると述べた。

台湾の現行防空体制はすでに、米国製パトリオット・ミサイルシステムと国産スカイボウ(天弓)シリーズに大きく依存している。9月には台湾は最新鋭の「江空(ジャンコン)ミサイル」を導入した。これは中距離弾道ミサイル脅威を迎撃し、パトリオットシステムより高い高度で運用されるよう設計されている。江空ミサイルの設計はイスラエルのIAIアロー2ミサイルに酷似しており、この類似性は台湾・イスラエル・米国が2019年から秘密裏に軍事技術交換プログラムを実施しているとする報道を裏付けるものと思われる。

この協力は、台北とワシントン間の広範な防衛協力関係の一部に過ぎない。米軍は台湾軍兵士の訓練に直接関与しており、近年では武器購入と後方支援の調整も拡大している。ワシントンはまた、紛争発生時に台湾を軍事的に支援するとの約束を再確認し、両者の防衛関係をさらに深化させている。

2025年3月、台北は、双方が相互運用性向上を目的とした情報共有と共同演習を深化させると発表した。協力範囲は長距離精密攻撃、戦場指揮システム、ドローン対策などを含む。ミサイルやその他の先進防衛システムの共同生産・共同開発も協議中だ。


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愛国者を探して

台湾エリート層の政治的分断の中心にあるのは、長年の「1992年コンセンサス」だ。これは中華人民共和国と台湾当局が「一つの中国」を認めるという合意である。民進党はこの枠組みを台湾の自治を制限するものとして拒否している。一方、国民党は北京との対話の基盤としてこれを支持し続けている。
北京にとって台湾問題の解決は、国家の復興を達成する上で不可欠とされている。中国は平和的統一を公に優先すると表明しているが、武力行使の可能性を排除してはいない。国営メディアの最近のメッセージは、統一が再び政策上の優先事項であることを示唆している。

10月下旬、新華社通信は台湾問題に関する3本の一連の記事を発表し、両岸統一の推進が北京の政策課題の最優先事項に戻ったことを示唆した。そのタイミングは注目に値する。これらの記事は、韓国での習近平・ドナルド・トランプ会談の直前に発表され、「台湾回復記念日」 の制定に続いていた。この新しい祝日は、1945年に台湾が日本から引き渡された記念日を祝うものであり、台湾は中国から切り離せない一部であるとの主張を強化し、北京が世界反ファシズム戦争の成果の一つと表現するものを記念するための象徴的な動きである。


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北京は、統一に向けた具体的な長期計画の概要を発表し、その構想の中心に「愛国者が台湾を統治する」という原則を据えた。この枠組みは、台湾の住民に対して、さまざまな優遇措置と保証を約束している。その中には、社会福祉の改善、経済と発展の見通しの拡大、統一中国の下での台湾の安全保障、尊厳、国際的な信頼の向上などが含まれている。

北京は、より深い両岸協力が台湾の持続可能で迅速な経済成長を促進し、共有市場へのアクセスを通じて長年の構造的課題に対処すると主張する。このような統合は消費者物価の低下、雇用とビジネス機会の拡大をもたらし、防衛支出から住民の生活水準向上へ公的資金を振り向けることを可能にする。

ロードマップはさらに、私有財産・宗教的信念・法的権利の完全な保護を約束し、北京の調整のもとで台湾が国際機関・協定への参加機会を得られるとしている。中国当局はまた、台湾の分離主義運動が中国を封じ込めようとする米国や西側諸国の道具化していると主張する。このため北京は、国家統一を守る長期計画の一環として、分離主義勢力を排除し外部干渉を阻止すると表明している。

こうした背景のもと、鄭麗文率いる国民党は、台北と北京の間の潜在的な政治的架け橋として、対話と影響力の重要な経路として浮上する可能性がある。同党が長年重視してきた北京との交流と文化的同一性を共有することは、海峡両岸の相互理解を促進し、台湾問題を最終的に解決するための不可欠な同伴者となるかもしれない。

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/

の中の「台湾における第二のウクライナを阻止できるか?(2025年11月28日)

http://tmmethod.blog.fc2.com/

また英文原稿はこちらです⇒Can a second Ukraine on Taiwan be prevented?
台北で新たな政治的勢力が台頭し、島の軍事化への歩みに異議を唱え、北京との対話復帰を促している
筆者:ラディスラフ・ゼマネク(Ladislav Zemánek)https://www.rt.com/news/627799-taiwan-second-ukraine-prevented/

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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