[講演]広瀬隆(作家)二酸化炭素地球温暖化説は根拠のまったくないデマである〈中編〉
社会・経済※本稿は、雑誌「季節」2022年秋号からの転載記事である。
2022年1月27日、広瀬隆さんが「二酸化炭素によって地球が温暖化しているという説は、科学的にまったく根拠がないデマである」と題したネット公開講演を行った。
6時間に及ぶお話の前編は弊誌春号に掲載したが、今回はその続きを文意・骨子そのままに編集部で再構成し、中編として掲載する(取材・構成・文責=編集部)。
・寒波と土石流と森林破壊
8年ほど前、朝日新聞(2014年12月13日付記事)は、このまま温暖化が進むと「世紀末には雪が降らなくなる」「降雪量が半減する」などと気象庁と環境省の大嘘をそのまま報じています。実際にはその予測の逆でした[図表1]。
2021年1月7日~8日、日本海側と東北などは豪雪でした。青森県の酸ヶ湯では全国でこの年初めて積雪量が3メートルを超えました。各地の12時間降雪量の最大値は富山県高岡市で59センチ、福井県大野市で56センチ、富山市で48センチ。いずれも観測史上最多の降雪量でした。この記録的な豪雪は三八豪雪(昭和38年=1963年)を上回る大雪でした。それでも温暖化のデタラメキャンペーンに熱中する気象庁は、おかしなことにこの時、「大雪特別警報」を出しませんでした。
同じ頃、アメリカも大寒波でした。トランプからバイデン大統領になった米国は2021年2月19日、地球温暖化のパリ協定に正式復帰しました。
まさにその時、2月15日~19日にかけて、全米は大寒波に襲われた。どの新聞も書いてなかったけれど、2021年2月16日にはアメリカ本土の73%が雪に覆われました。普通ならば日中気温が20度を超える温暖なテキサス州でも、ダラスやオースティンといった都市部で-15度近くまで気温が下がった。テキサス州北部のアマリロでは-23度まで下がり、水道管破裂が相次ぎ、アラスカより寒くなった。
この時、南国メキシコとの国境付近でも24センチの積雪を記録した。アメリカ全土が平年の気温を25度も下回る寒気と大雪に襲われ、シカゴの国際空港では9日間連続で雪が観測され、観測史上最長の降雪記録となりました。この一週間で最低気温の記録が全米地点で塗り替えられたのです。
同じ頃、欧州も同じく大寒波でした。2021年1月6日、スペインでは-43.1度まで気温が下がった。これがスペイン国内観測史上最も低い気温です。1月8日には首都マドリードが1971年以来50年ぶりの大雪に見舞われた。1月14日にはシベリアが猛烈な寒波に襲われた。6月には38度だったのに1月には-56.2度。その温度差はなんと94度でした。
日本では2021年7月3日、静岡県熱海市で土石流災害が起こり、死者行方不明者27人の大惨事が起こった[図表2]。7月11日のTBS『サンデーモーニング』をたまたま見ていたら、当時法政大学総長だった田中優子は「盛り土が原因でもあるでしょうが、そんなことより地球温暖化のために、こんな大惨事が起こった」と、人災の原因などどうでもいいような発言をしていた。びっくりしました。
このことは大事だからお話ししますけれど、日本ほど土砂崩れや土石流災害の多い国はないという常識を、大学の総長が知らないらしいのです。この人はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)や気候ネットワークといった詐欺師たちの言葉を信じきっているから、テレビで「温暖化の危機」を平気で話したりしているのでしょう。
実は日本全国にある山間の湖はその多くが土石流が作った天然ダムなのです。代表的なものとしては、栃木県・日光男体山の薙崩、長野県・八ヶ岳の山体崩壊、大月川岩屑なだれ。長野県・天竜川沿いの伊那谷の土石流大災害。長野県・信濃川上流の梓川上流のトバタ崩れ、鹿児島県・桜島の海岸にある竜ヶ水崩壊など、数え上げればきりがない。
これらは土石流が作って川を堰き止めた天然ダム。美しい湖だけど、それがどうしてできたのかを地元の人はみんな知っています。奈良県・十津川流域では大規模な崩壊・地滑りが起こったところだけで1146か所ある。つまり、私たちが普段見慣れている美しい山河の光景とは、1枚剥がせば、そのような傷だらけの歴史を背負っている。それを知らない東京に住んでいる人間たちが、テレビや新聞の報道ででたらめな解説をしているわけです。
[図表3]は私の家からの風景です。美しいでしょ。「私の家」と言っても東京ではなく、長野県富士見町。そば畑のあるこの地に私は40年間、小さな家を構えています。目の前には甲斐駒ヶ岳、家の背後には八ヶ岳山麓があって、毎月1度は東京の自宅を離れてここで過ごしています。ですが、この大自然の土地でも地元の人によれば、昔から大雨による土石流をたびたび経験しているそうです。中央線が土砂で埋まった現場を私も目撃しています。
土石流で有名なのは、江戸時代ならば静岡県と山梨県境の大谷崩れ(1707年)、富山で起きた鳶山崩れ(1858年)、長野県で起きた稗田山崩れ(1911年)が日本三大崩れと呼ばれる土石流です。富士山の大沢崩れでは、1日あたり10トン積み大型ダンプカー28台分に相当する275トン近くの崩壊が現在も毎日続いています。
奥越豪雨は1965年(昭和40年)9月14日から15日にかけて福井県の奥越地方を襲った記録的な集中豪雨です。まるで福井県が海になったかのような凄まじい記録映像が残っています。この時、前線の活動により、9月14日から15日までの36時間で1444ミリの降雨量を記録し、9月14日の1日の降雨量は844ミリ。最大1時間雨量が89.5ミリでした。このため、九頭竜川など各所で河川が氾濫し、特に西谷村は全域で土石流による破滅的な被害を受け、建物全壊が370戸、半壊が201戸で廃村となりました。その後、18日までの10日間に台風23号、前線による集中豪雨、台風24号と連続して豪雨に見舞われ、記録的な雨量となりました。
翌年の1966年9月25日には静岡県御前崎西方に台風26号が上陸した。梅ヶ島(静岡市)では豪雨のため降雨量が1時間135ミリとなって安倍川が大氾濫し、土石流のために温泉街が土砂で埋まって、26人が死亡しました。それだけじゃない。山梨県・足和田村(現・富士河口湖町)では土石流で死者・行方不明者94人の大惨事となりました。この豪雨による関東・東北全域での死者・行方不明者は317人に達しました。
いま、それぞれ年代を入れました。この年代がとても大事なのです。なぜか。1965年~1966年のとてつもない土石流の恐ろしい大記録が起こった年代は、(『季節2022年春号』49頁)の「地球の寒冷期」(1963年~1977年)の出来事なのです。だから、温暖化被害じゃない。その逆なんです。
[図表4]は2021年7月3日の熱海、土石流現場の記事です。新聞では崩落した土石流の発生場所をこのような写真で説明しているが、この上には何があったのか? この上には巨大なメガソーラーと崩落した盛土の部分が見える[図表5]。
つまり、熱海の大災害の原因は、巨大なメガソーラー設置のために森林を伐採したことにある。このメガソーラー設置工事で木を伐採し、一帯の補水能力を奪ったため、そこからほんの100メートル南に積まれた盛り土に大雨が流れ込み、一気に土石流が発生したことは、現地の人ならみんな知ってますよ。
つまり、メガソーラーが原因です。しかし、その真相を隠そうと必死の抗弁を続けてきたのが「地球温暖化教信者」たちです。彼らは「自然破壊連盟」です。彼らの犯罪についてはここでは詳しく述べません。私の資料を読んでください。
株式会社鹿砦社が発行する季刊誌。「死滅したジャーナリズムを越えて、の旗を掲げ愚直に巨悪とタブーに挑む」を標榜する。