【連載】情報操作を読み解く(浜田和幸)

第3回 安倍元首相の国葬や旧統一教会問題の陰で進む国際的な金融危機

浜田和幸

であればこそ、国民の過半数が反対した安倍元首相国葬に隠された思惑について考えておく必要があります。実は、アメリカとの対比を持ち出すまでもなく、国論の二分化につけ込む中ロの“認知戦”という側面も否定できないからです。国葬を巡っては国論が二分されたと言っても過言ではありませんでした。

そうした風潮に押されてしまったように、肝心のテロの原因究明は棚上げされたままです。思い起こせば、9.11テロ直後、倒壊した世界貿易センターの瓦礫の上に立ち、「テロとの終わりなき戦い」を宣言し、国民の一致団結を呼びかけたのはブッシュ大統領でした。

その後、アメリカはテロの首謀者と断定したアルカイダのウサマビンラディンが潜伏するというアフガニスタンに対する全面戦争に突入したのです。

“New York City, USA – September 29, 2001: The World Trade Center site at Ground Zero, debris and vehicles seen spread around the area already 2 weeks after the September 11, 2001 disaster. Fires are still burning underground and smoke and haze fills the sky.”

 

安倍事件直後の岸田首相の発言にも「テロに屈しない」といった、ブッシュ発言と似たような表現が随所に見られます。問題は、2001年、ロシア、中国、イランから対テロ共同戦線を持ちかけられたアメリカでしたが、ことごとく拒絶したことです。イスラム過激派によるテロ活動に関する情報を共有し、協力して対処しようとする呼びかけをなぜアメリカは拒んだのでしょうか。

そもそもアルカイダはアフガニスタンにおける対ソ戦のためにCIAが資金提供し、組織化したものでした。ニューヨークの世界貿易センタービルがハイジャックされた旅客機によって倒壊した翌日に、犯人はアルカイダだと断定したのも、どう考えても腑に落ちません。

しかも、がれきの山の中からハイジャック犯のサウジラビア人の偽造パスポートが無傷のまま見つかったことで、「犯人に間違いない」と鬼の首を取ったようにビンラディン一派を名指しで糾弾したブッシュ大統領でした。その直後から始まったアフガニスタンへの戦争によって、アメリカの防衛産業は大儲けをし、トマホーク・ミサイルの特需によって製造元のレイシオンの株価は40%も急騰します。

そして、今、アメリカの世界戦略に従う日本は防衛費倍増と拡大NATO構想参加への道を走り始めているわけです。テロという劇薬によって通常であれば慎重な検討が求められるはずの状況でありながら、そのようなプロセスが省略されてしまった感があります。

そうした中で気になるのがCIAの存在です。世界各地で暗殺を実行してきたCIAは本年、創設75周年を向かえています。

現在はウクライナ戦争が進行中でもあり、CIAの最大の任務はロシアに対する“かく乱”工作に他なりません。プーチン大統領の暗殺計画も進行中と言われており、当然でしょうが、プーチン大統領も身辺警備を強化しているとのこと。

Katowice, Poland – July 11, 2015: Official Central Intelligence Agency website.

 

言うまでもなく、CIAの歴史はアメリカにとって都合の悪い、敵対国家の指導者に関する情報を収集し、タイミングを見て抹殺することです。イランなど中近東からアルゼンチン、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラなど南米諸国まで、様々な形で政権交代に関与してきました。

例えば、中国の周恩来首相を標的にした暗殺計画も繰り返されてきた模様です。本年は田中・周会談で実現した日中国交正常化50周年ですが、田中、周両者を共に葬り去ろうとしたアメリカです。

1955年に周恩来首相がインドネシアで開催されたアジア・アフリカ非同盟諸国会議に出席するために搭乗する飛行機の爆破計画が進められたことが明らかになっています。

この爆破計画は失敗したため、CIAは会場の食事に毒を盛る計画にも着手したとのこと。いずれの暗殺計画も中国が事前に察知し、周恩来首相一行は難を逃れた模様です。CIAの75年の暗殺の歴史の中で、CIAが最も悔やみ、反省材料としているのが、この周恩来暗殺未遂事件でした。

今、世界の諜報機関関係者の間で話題を呼んでいるのは現在79歳で、死を目前にするCIAの元工作員ハワード氏の告白です。余命数週間との宣告を受け、病床にある同氏は「9.11テロに際し、世界貿易センタービルの7号棟を爆破したのは自分たちの極秘作戦だった」と真相を吐露したのです。

36年間、秘密工作に携わってきた同氏曰く「ツインタワービルが倒壊することを見越して事前に関連株を買い漁っていた証拠が7号棟にあったCIAと軍の諜報機関のオフィスに保管されていた。要は、CIAによるインサイダー取引の証拠隠滅のためだった」。

岸田首相は触れようとしませんが、安倍元首相の暗殺を巡る海外諜報機関の関与の可能性は否定できません。とはいえ、現在の岸田政権は国葬問題に加えて旧統一教会問題に足をすくわれ、支持率の急落に歯止めがかからないため、到底、真相の解明に向き合う余裕はないでしょう。そうした隠された真実が明らかになるのはCIA創設100周年にあたる2047年を待つ必要がありそうです。

 

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浜田和幸 浜田和幸

国際未来科学研究所代表、元参議院議員

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