メールマガジン第24号:危機の真実見極め、反対の声上げよう
ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会メルマガ琉球・沖縄通信5月10日付琉球新報、同社と毎日新聞社の「復帰50年世論調査」で「中国や台湾に近い沖縄への自衛隊配備」の質問に、県民の回答は「配備を強化すべきだ」が55%と、「強化すべきでない」16%を大きく上回った。「中国が軍事強化、東シナ海などへの進出していること」については「不安に思う」が91%の多数を占めた。
中国の軍事強化に県民が不安を抱き、対抗する自衛隊の配備強化を過半の県民が容認しする実情を世論調査は示した。新報記事は「ウクライナ情勢を受けて台湾有事への懸念の高まりもあり、自衛隊の配備を過半数が容認した形」と分析した。
自衛隊の南西シフト、米軍も一体となる「台湾有事」対処の南西諸島軍備強化を進める政府にとっては喜ばしい世論調査結果であろう。日米軍備強化に反対する私たち「ノーモア沖縄戦の会」にとっては厳しい世論動向である。
しかし、あきらめるわけにはいかない。自衛隊、米軍の軍備強化は再び沖縄を戦場とする誤った軍事路線であること、真実を見極める情報を県民に伝え、危機意識を高め、日米の軍備強化に反対する世論をいかに高めるかが問われている。
新聞、テレビなどメディアはウクライナ情勢も影響し、中国脅威論、日米軍事強化、防衛費の拡大、敵基地・中枢攻撃論、核共有論と前のめりの論調にあふれている。
安倍政権以来の米戦略に同調する中国敵視・軍拡路線は、国民を守る安全保障政策なのか。かえって中国との戦争に国民を巻き込む誤った針路ではないのか。国民的な議論は置き去りのままだ。
18日、那覇市で開かれた「沖縄が直面する戦争危機ーウクライナからの教訓」学習会では、「ノーモア沖縄戦の会」の石原昌家共同代表(沖縄国際大学名誉教授)ほか会員3氏が、戦争の危機を回避する沖縄の針路を議論した。
木村朗氏(鹿児島大学名誉教授)は「権力とメディアの情報操作に惑わされぬ情報リテラシー」が重要と指摘した。石原氏は、ロシアのウクライナ侵攻の不当さの一方、ゼレンスキー・ウクライナ大統領の「徹底抗戦」の国民誘導を、沖縄戦で日本軍が県民に強いた「軍官民共生共死」の軍事方針にだぶらせた。
宮城恵美子氏は、政府の米国追従姿勢を「米国の中国敵視政策を肯定・受容し、沖縄・琉球弧を戦場にし沖縄戦以上の凄惨さをもたらすもの」と批判した。
与那覇恵子氏(元名桜大学教授)は「沖縄を戦場にしないために何ができるか」を自問自答し、「今何が起きているかの危機認識」、「中国との戦争に向かう日米政府にNOの声を上げ、抵抗する」ことを提起した。「戦争になれば自衛隊が沖縄を守る」と妄信せず、県民を犠牲にした沖縄戦の教訓、「住民避難は自治体の責任。自衛隊に余力はない」と自衛隊が認めていることなど、危機認識の重要性を強調した。
フロアから辺野古新基地建設反対運動に関わる男性は、「日常的な学びと連帯の場が足りない」と問題提起した。
新報世論調査は55%が「自衛隊配備強化」を容認する姿勢を示した。しかしミサイル部隊配備が進む宮古、石垣、与那国、(鹿児島県奄美を含め)の現地は反対の声が根強い。新報社の記事も「宮古、石垣の回答率は低く、地域の意思が反映されたか評価が難しい」としている。
配備強化を容認する人の多くはミサイル配備の実態を知らぬまま、「戦争になれば自衛隊が守ってくれる」と安易に依存してはいまいか。
4月から5月、うるま市内の4公民館で「南西諸島ミサイル要塞化の危機写真展」が開催された。琉球弧(南西諸島)の島々の陸自部隊配備、米軍も一体となるミサイル要塞化の実態を写真・イラスト・動画で伝え、筆者は説明要員として立ち会った。
うるま市勝連の陸自分屯地に配備される地対艦ミサイルは、中国にも届く射程延長の開発が進んでいること。防御不能な高速滑空弾の開発が進み、「離島防衛用」として配備する計画であること。米軍も超高音速ミサイルや核搭載可能な中距離ミサイルの沖縄(南西諸島)配備を計画していること。参観者は説明に驚き、「戦争になれば、ここが中国ミサイルの標的になりかねない」と恐怖におののく。
勝連分屯地にはすでに地対空ミサイルが配備されている。その現実すら知らない方が多い。平敷屋地区には復帰前、メースB地対地核ミサイルが配備され、周辺には地対空のハーキュリーズ核ミサイル、ホークミサイルも配備されるミサイル要塞地帯だった。
参観者は「攻撃拠点は、敵国の攻撃対象になる」と危機認識を深め、「多くの人に伝えてほしい」と声をそろえた。うるま市の実行委員会は写真展で気運を高め、ミサイル配備に反対する市民の会を立ち上げることにしている。
「ミサイル要塞化写真展」は各地で継続開催を予定する。
※いずれも午前10時~午後4時の開催
▽5月21(土)、22日(日)北谷町・上勢(かみせい)区公民館
▽5月29日(日)北谷町・宮城区公民館
▽6月4日(土)、5日(日)うるま市・米原公民館
▽6月10日(金)、11日(土)、12日(日)北中城村中央公民館
資料提供は東アジア共同体研究所 琉球沖縄センター。同センターは国内各地で写真展を開催している。北谷町内2公民館の開催は、「ノーモア沖縄戦の会」が共催する。
県民の多くが自衛隊、米軍のミサイル配備・計画の実態を知らない。実態を知り、目の前にある危機の真実を見極め、反対の声を上げることが大事だ。
新垣邦雄(「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」発起人)
「ノーモア沖縄戦の会」は「沖縄の島々がふたたび戦場になることに反対する」一点で結集する県民運動の会です。県民の命、未来の子どもたちの命を守る思いに保守や革新の立場の違いはありません。政治信条や政党支持の垣根を越えて県民の幅広い結集を呼び掛けます。