第1回 韓国大統領選挙の結果と今後の動向について
国際今回の選挙で選出された尹次期大統領は、韓米同盟の強化を強調し、韓日関係の改善を主要外交政策として発表した。尹次期大統領は基本的に韓米日の協力枠組みで東アジア地域での外交問題に対応しようとしているとみられている。文大統領が米国と北朝鮮の会談を韓国が仲裁する形で問題解決を試みたのと違い、尹次期大統領は米国との緊密な協力とともに、韓国が主導する南北対話を通じて核兵器問題解決を模索する形になると予想されている。
また、マスコミの報道によると、米国政府は韓国に対してQuad(日米豪印戦略対話)への参加を勧めたが、文政権は断ったということのようである。韓米同盟の強化を公表した新政権がQuadに正式に参加するかどうかも重要な外交問題として浮上するものと思われる。
日本については、歴史問題の解決という二国間の大きな問題が残されているが、文政権と異なり、政治や経済などの民間領域を分離し、日本との民間交流を活性化することにより、協力を強化するものと考えられる。特にコロナが弱まったという医師協会の意見を受け、政府は隔離制限を4月から廃止する方針を発表した。韓日両国の民間交流が再び活性化し、両国関係も改善されると思われる。
経済政策も文政権と正反対の方向の政策を駆使するものと推定される。文政権は、最低賃金を急激に引き上げ、労働者らの所得を増大させることで経済成長を模索した。しかし、急激な最低賃金の引き上げは自営業者らの負担を増加させ、コロナ事態まで重なったため、多くの自営業者が倒産し、雇用が減少した。このため、新政権は労働関連制度を修正し、自営業者を支援する政策を展開するものと予想される。
また、尹次期大統領は候補だった時から若い青年人材を積極的に登用することを宣言した。実際、大統領選挙の期間中、保守系に若くて有能な青年人材が集中する現象が現れた。通常、改革派政党で若い青年人材が活躍してきたのとは正反対の姿だ。これについては様々な解釈があるが、当時の保守系野党が、文政権から疎外されてきた若者問題の解決策を提示し、若者が直接国家政策に参加する機会を保障したことが功を奏したと考えられる。
また注目すべき点は、尹次期大統領が大統領秘書室を縮小すると公約したことだ。今回の大統領選挙で与野党候補はいずれも「帝王的大統領制」と批判し、大統領権限の分散を主張した。一部の政治家は議院内閣制を主張しているが、世論調査の結果、国民の大部分は大統領制を好んでいるという結果が出た。これに対する代案として出たのが「責任首相」だ。まだ具体的な内容は公表されていないが、首相により多くの権限を与え、大統領に集中する権限を分散させるという構想である。
しかし現在の状況からみて、大統領に権限が集中しているとしても、大統領が単独で国政を運営することは難しい状況になっている。野党になった共に民主党が過半数の議席を占めているため、法案通過にも野党の協力が必要だからだ。したがって、今後野党との協力を通じた民主的問題の解決こそ、尹次期大統領のリーダーシップが必要な部分になるものと思われる。
もちろん、これはマスコミに公開された内容をもとに予想したものだ。 新政権は22年5月から国民の期待を受けながらスタートすることになる。文政権に対する評価は78%という高い投票率と政権交代が裏付けている。国民は文政権に失望し、政権交代を通じて共に民主党を審判した。選挙結果について賛否両論があっても、現状況で確かなことは、韓国の高い投票率と政治に対する関心は民主主義が機能していることを示していることである。
1992年1月10日生。国立釜山大学校 政治外交学科を経て ロースクール卒業。2018年 外交部長官賞および法務部長官賞を受賞。2020年 国民権益委員会長賞を受賞。2021年 国会法制司法委員長表彰、 金融投資協会長賞。高校で理科系を卒業し、家の事情によって政治と法律に興味を持ち始め、現在は弁護士試験後2022年の韓国大統領選挙と地方選挙で政策諮問の活動中。