【特集】沖縄の日本復帰50周年を問い直す
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「沖縄対話プロジェクト」が発足!!

与那覇恵子

「沖縄対話プロジェクト」は10月15日、沖縄市民会館にて発足集会を開催した。筆者は共同代表の1人でもあり、本稿でその報告をさせて頂きたい。

「沖縄対話プロジェクト」発足集会のチラシ

 

そもそも「沖縄対話プロジェクト」とは何か?どのような背景から企画されたのか?その目的は何なのか?同集会当日に配布された資料では以下のように説明されている(要約のため若干修正)。

 

ウクライナ戦争以降、米中対立を背景に「台湾有事」を煽る言説が過熱している。中国の台湾侵攻が前提であるかのように、先島から奄美、九州南部にかけて日米の基地建設、軍備強化が急速に進んでいる。しかし、実際に戦争になった場合に戦場となり壊滅的な被害を受けるのは、沖縄と台湾である。

もちろん、日本本土も中国大陸も無傷どころか多大な損害を被ることになる。経済的な力と同時に軍事力を強める中国に対しては、ハイレベルでの交流と対話、外交を進めることこそ有事を防ぐ道だ。しかし、現状は日本・台湾両政府とも、対話、外交より米国依存の軍事的対処を優先させているようだ。

このままでは、軍事力以外の選択肢が狭められ、そこに暮らしている住民は避難と動員の対象となってしまう。それは、沖縄住民にとっては、77 年前の「沖縄戦」の再現に他ならない。

日本本土の「捨て石」となり、住民 4 人に 1 人が犠牲になった戦争の再現は、決して起こさせはならない。「捨て石」とされた沖縄住民にとってだけでなく、「捨て石」にした本土住民にとっても、二度と沖縄を戦場にさせないことが課せられた責任である。

私たちは、各国政府が平和的外交を行うよう強く要請していく。同時に、「対話」によって、沖縄と台湾、沖縄と日本(本土)、沖縄と中国、沖縄と米国の市民をつなぎ、交流し、「共通の利益」を見いだしていく。「共通の利益」とは、この地域で殺し、殺されることを絶対に防ぐことである。

 

従って、目標は「『台湾有事』『沖縄有事』を起こさせないという『あらゆる政治的な立場を超えた』共通意識を醸成し広げていく」ことにある。その方法は「政治的な立場や意見の違いはあっても、学者、ジャーナリスト、企業人、市民が様々なセッションで対話を実施することで、小異を捨て、戦争を起こさせないという『大同』で一致することを目指す」。つまり、戦争を防ぐ方法として「対話」を選んだということだ。「対話プロジェクト」では、「対話」を以下のように定義する。

「対話」とは、意見を異にする者同士が、(一個の人間として相手に向き合い)、相手の意見を尊重しつつ相互に共通点を見出し、意見の違いを乗り越えていく作業、また、相手の考えを理解し、自らの考えを理解してもらう相互作用を通して、新たな気づきが生まれるプロセスをいう。

発足集会は、以下のプログラムに沿って行われた。

<プログラム>

13時開場・13時半開会 ・16時半閉会

司会:与那覇恵子(沖縄対話プロジェクト共同代表、元名桜大学教授)

司会を務めた筆者

 

・開会挨拶:岡本厚(沖縄対話プロジェクト共同代表、前岩波書店社長)「対話プロジェクトの意味とは」

・基調講演: 丹羽宇一郎(日中友好協会会長、元駐中国日本大使、元伊藤忠商事会長)「中国とどう向き合うか」

・ファクト共有のための講演:
1. 岡田充(ジャーナリスト)「『台湾有事』はどう起こされるか」
2.本田善彦(ジャーナリスト、台湾在住)「台湾の世論は『台湾有事』をどう論じているか」

・台湾からのメッセージ(録画)
①林彦宏(Yenhung LIN)(国防安全研究院助理研究員)
②何思慎(天主教輔仁大学教授)
③張鈞凱(台湾ジャーナリスト)

・沖縄からの訴え:「台湾有事」「南西諸島有事」を起こさせないために
①宮城弘岩(沖縄物産企業連合会長)
②元山仁士郎(元「辺野古」県民投票の会」代表)
③玉城愛(元オール沖縄会議代表)

・谷山博史(沖縄対話プロジェクト呼びかけ人、日本国際ボランティアセンター 前代表理事)「対話の灯火を掲げよう:世界の現場から沖縄・台湾へ」

・質疑応答(会場)

・閉会挨拶:新川明(元沖縄タイムス社長)

 

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与那覇恵子 与那覇恵子

独立言論フォーラム・理事。沖縄県那覇市生まれ。2019年に名桜大学(語学教育専攻)を退官、専門は英語科教育。現在は非常勤講師の傍ら通訳・翻訳を副業とする。著書は「沖縄の怒り」(評論集)井上摩耶詩集「Small World」(英訳本)など。「沖縄から見えるもの」(詩集)で第33回「福田正夫賞」受賞。日本ペンクラブ会員。文芸誌「南瞑」会員。東アジア共同体琉球・沖縄研究会共同代表。

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