【特集】沖縄PFAS問題とは何か

金武町でのPFAS汚染について

崎浜秀幸

・金武町でのPFASによる汚染の状況

金武町は沖縄本島中央部に位置する人口11,341名(2022年2月末現在)の小さな町である。金武町には5行政区があり、そのうち金武区と並里区の2行政区の水道水が汚染されている。

金武区には、1号水源から6号水源の6か所の水源があり、並里区には3か所、7号水源・8号水源・和留美原(ワルミバル)水源がある。金武浄水場は、1号水源から6号水源までの地下水を取水している。並里浄水場は7号・8号水源・和留美原水源の地下水を取水している。

1号水源から和留美原水源まで、全てPFASに汚染されている。19年10月に初めて有機フッ素化合物について河川、排水路で水質検査を行った。PFASが検出された場所は米軍港レッドビーチ訓練場に近い海上から見つかった。

Groundwater Monitoring well

 

そのことを受け、19年11月に再度水質検査を行った結果、300ng/l という高濃度で検出された。町長はこのことを受け同年11月末、国に「100%企業局水に切り替える予算措置」を要請した。しかし、いまだに実現していない。20年6月、厚生労働省が定める暫定目標値50ng/l を超える高濃度70ng/l が水道水から検出されている。3号水源からは、410ng/l 、4号水源からは190ng/l が検出された。

水質検査結果を公表しなかったことで、町はのちに町民の怒りと不安を増幅させることになる。最初にPFASが検出された河川でも、上流で165ng/l 、下流からも84ng/lが検出された。

21年9月金武町議会定例会で「金武町内における河川状況調査業務報告書」の資料を元に町長ら町当局をただした。資料は、金武町が一般財団法人沖縄県環境科学センターに委託した河川の水質調査結果報告書である。報告書は、「主なPFASの発生源は基地内にあると考えられる」と明記している。

金武町も沖縄県も基地への立ち入り調査を求めているが、米軍はいまだに許可していない。町長は公表の遅れを町民に謝罪した。

21年12月現在も1号水源から67ng/l、2号水源81ng/l、4号水源71ng/l、和留美原1号水源90ng/lと汚染の状況は続いている。金武区の2号水源以外は、すべて日本復帰後に各区が建設し、水道水として利用して来た。

1990年から97年まで各区から順次水道事業を町営に移管した。町民は、PFASの混入した水道水を長期間(35年余)に亘って利用したことになる。町営に移管した時期から米軍は金武町の水ではなく、安全といわれる県企業局の水を利用している。

米軍は自分たちの身を「安全地帯」に置きながら、フッ素化合物を垂れ流し金武町民・沖縄県民に被害を与え続けている。

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崎浜秀幸 崎浜秀幸

金武町議会議員

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