【連載】週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!

第17回 読者の皆さん!明けましておめでとうございます/今年もご愛読の程を!!/一発目はやはりこのことを!!/朝日の記者は「秘密保護法違反」となるのを知っていたのか??

鳥越俊太郎

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週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!
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読者の皆さん!明けましておめでとうございます

今年もご愛読の程を!!

1発目はやはりこのことを!!

朝日の記者は「秘密保護法違反」となるのを知っていたのか??

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年の瀬も押し迫る12月25日(あ、そう言えばクリスマスの日だ!)、新聞各紙に同じように1面左肩か社会面に3段見出しでこんなニュースが報じられた。

「『特定秘密』初の漏洩か」「防衛省 海自一佐を懲戒へ」(毎日)

「特定秘密 自衛官が漏洩容疑」「初の立件 あすにも書類送検(朝日)

「『特定秘密』初の漏洩か」「1等海佐、元海将が依頼」「防衛省、処分へ」(東京)

情報を漏らした側は明らかになっており、私が関心を持ったのはその大事な機密情報を受け取った側だ。今日のテーマはずばり、その秘密情報を入手しただけでなく、機密漏洩事件にしてしまった人物は誰だ?という話だ。

なぜだかわからないが、一連のニュース、特に防衛省側の発表でもその人物の名前はもちろん影さえも巧みに消されている。

先ず毎日新聞を見よう。

見出しが「漏洩か」とか「懲戒へ」という風に断定調を避けているのが特徴だ。

こういう場合は防衛省の正式発表はまだなく、何かをきっかけに当局(広報)をせっ突いていわば無理に書いたケースだ。

だから毎日新聞12月25日朝刊の書き出しの文章はこうなる。

「海上自衛隊の1等海佐が、安全保障上の重要機密に当たる『特定秘密』を外部に漏えいした疑いがあることが、防衛省への取材で判明した。防衛省は近く、1佐を懲戒処分する方針。特定秘密の漏えいが明らかになるのは初めて」

朝日はもう少し核心的な書き方だ。興味があるところだなあ。

「安全保障に関わる機密情報の『特定秘密』を漏洩した疑いが強まったとして自衛隊の捜査機関にあたる警務隊は、週明けにも海上自衛隊の1等海佐を特定秘密保護法違反の疑いで書類送検する方針を固めた。海自OBに対する安全保障情勢に関する説明に特定秘密が含まれていたという。同法違反の立件は初となる」。

ここで初めて漏洩の相手が「海自OB」だということが明らかになる。

実は毎日新聞も記事中にはこういうくだりがある。

「防衛省関係者によると、漏えいは海自OBからの依頼が発端とみられる」。

さらに東京新聞によると、このOBは単なる先輩ではなく「元海将」であることがわかる。

「漏えいは海自で要職を歴任した元海将のOBからの依頼が発端という」。

しかも、そのOBからの依頼はいきなり1等海佐の元に届いたわけではなく、「このOBが知人の現役隊員に接触し、複数の隊員経由で1佐の元に届き、漏えいにつながったという」(毎日新聞)。

以上で分かったこと。

①この機密漏えい事件のニュースは12月25日(日曜日)に各紙一斉に報じられた。

②防衛省の公式発表ではなく、「関係者」への取材。何かをきっかけに各新聞社が機密漏えい事件として取材に走り出したとみられること。

③このニュースの報道が25日日曜日なので、そのきっかけになったことが24日の直前に発生していたことがわかる。

④「特定秘密」とは安全保障に関わる情報のうち、外交、防衛、スパイ防止、テロ防止の4分野で、特に秘匿する必要があるものについては2014年施行の特定秘密保護法に基づき、政府が指定している。

⑤情報漏れは1対1ではなく、複数の現役隊員を経由している。

以上5点の整理だけでも事件の朧げながらの輪郭は見えてくる。

一番大事なのはここで明らかになった二ュースの日程だ。25日日曜日の朝刊の記事を出発点で考えると、前日24日土曜日は取材と執筆の時間として、逆算すると、23日金曜日に各新聞社の記者が、「あっ!これは何がなんでも後追いしなければ!」と思わせるような何かが起きていたことになる。

私がどこかの役所や人物を担当していて他社の記者にスクープされた(抜かれた)場合の対応は

①大したニュースではないとして無視する。

②抜かれたことを知らーん顔して追いかける。

この場合は何がなんでも追いかけなきゃならん何かが23日金曜日に起きていたことを明言せざるを得ない。

しかし、私は知っていた。

なぜなら先週(26日アップ)の原稿で私はその問題を取り上げていたからだ。

 

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鳥越俊太郎 鳥越俊太郎

1940年3月13日生まれ。福岡県出身。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、同社を退職。1989年より活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」キャスターやコメンテーターとして活躍。山あり谷ありの取材生活を経て辿りついた肩書は“ニュースの職人”。2005年、大腸がん4期発覚。その後も肺や肝臓への転移が見つかり、4度の手術を受ける。以来、がん患者やその家族を対象とした講演活動を積極的に行っている。2010年よりスポーツジムにも通うなど、新境地を開拓中。

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