【連載】週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!

第17回 読者の皆さん!明けましておめでとうございます/今年もご愛読の程を!!/一発目はやはりこのことを!!/朝日の記者は「秘密保護法違反」となるのを知っていたのか??

鳥越俊太郎

私は自分の原稿の中に朝日新聞12月23日金曜日、13面全面オピニオン・ページで取り上げられた「防衛費増額への警鐘」と題するインタビュー記事をしっかり読み込んでいたからだ。

読者の方で興味のある方は先週の原稿を読んでみてください。

インタビュアーは朝日新聞記者 西尾邦明さん。

インタビュイー(インタビュー受ける人)香田洋二さん。

https://foimg.com/00190/1iifgu

香田さんは1949年ギリギリ戦時中生まれの73歳。第36代の海上自衛隊自衛艦隊司令官。ウィキペディアによれば、海上幕僚長の有力候補だったが、2001年の海自インド洋派遣決定に際し、当時海上幕僚監部防衛部長の地位にあった香田さんと当時防衛庁の天皇とまで呼ばれた守屋武昌防衛庁防衛局長との間で政策立案上の齟齬が生じるなどの事態となり、残念、香田さんもここまで。

しかし、テレビや新聞・雑誌、講演などで幅広く活躍されている。

この朝日新聞のオピニオン・ページの直球が岸田自民党政府の腹にドスンと来たんだろうなあ。トップの見出しが「防衛費増額への警鐘」だもんなあ!

本文の見出しは計6本。

「5年間で43兆円」
「身の丈超えている」
「現場のにおいなし」

「『2%』が先行」
「政治からの声に」
「悪乗りはないか」

これだけ見ると43兆円防衛予算にNO!と言ってるだけのようだが、私はこの部分には「これは単なる軍事評論家じゃねーな」と思いましたよ。

すみません、一部引用させてもらいます。

以下西尾記者と香田さんとの一問一答。

──では何が問題なのですか。

「身の丈を超えていると思えてなりません。反撃能力(敵基地攻撃能力)の確保に向けた12式ミサイル(地対艦誘導弾)の改良、マッハ5以上で飛ぶ極超音速ミサイルの開発・量産、次期戦闘機の開発、サイバー部隊2万人、多数の小型人工衛星で情報を集める衛星コンステレーションなど子供の思いつきかと疑うほどあれもこれもとなっています。全部本当に出来るのか、やっていいことなのか、その検討結果が見えず、国民への説明も不十分です。絵に描いた餅にならないか心配です」。

「例えば12式ミサイルは射程を200キロから1,000キロに延ばしますが、搭載燃料を5倍にしてエンジンを含めて再設計することが不可欠で、簡単にできるとは思えません。米国製巡航ミサイルのトマホークとの使い分けはどうするのでしょう。極超音速ミサイルは米国が2兆円かけても配備計画にいたらず、衛星コンステレーションは米国もやろうとしています。防衛産業の基盤が厚く、同盟国である米国との共同開発・運用を効率と効果の面から選択肢とするべきではないでしょうか。サイバー部隊も、人員確保に悩む自衛隊で他の部隊を維持したまま2万人も集められるか疑問です」。

なるほど、なるほど!こりゃあ防衛庁が軋む訳ですよねえ。

全ては元海上自衛官。それもとびっきり優秀な自衛艦隊司令官がことの始まりだったという訳ですか!?

私は香田さんや防衛庁など裏は取り切れていません。あくまで私の職業的な勘です。

追伸:あああああ2023年か──。20世紀を60年も生きて21世紀もあと10年で3分の1か?

いやいやっそれはむりむりむりむり

私もうっかり見逃しそうになったのだけど、一番大事なのは今回香田さんが朝日新聞の西尾記者に語ったのは、懲戒免職になった井上高志1等海佐(54)から聞いたほんの一部の情報に過ぎないだろう、ということである。

井上1等海佐は香田さんに仕えたことあり「強い畏怖の念を抱いていた」という。またNHK WEB NEWSによれば、「井上1佐は情報業務群の指令を務めていた一昨年(2020年)3月、すでに退職していた元自衛艦隊司令官に対して最新の安全保障情勢に関する説明を行った際、特定秘密保護法で定められた「特定秘密」見あたる日本周辺の情勢に関する情報の他、自衛隊の運用状況に関する秘密の情報などを漏らしたということです」。

こういう流れからすれば香田さんはかつての部下から朝日新聞には載らなかった、もっともっと深い機密情報を得ていた可能性があるだろう。

我々はそのほんの一部を知り得ただけかもしれない。いやきっとそうだろう。

だからこそ、防衛省はこれ以上の機密漏洩を防ぐ意味も込めて1等海佐の懲戒免職という処分に踏み切ったのだろう。同時にそれは香田さんへの警告なのかもしれない。いやきっとそうに違いない。

どうですか?外してはいないと思うんですが……私の見立て。

問題は肝心の朝日新聞はこのオピニオン・ページのことについては一言も言及なく機密漏洩の記事を載せているんですよね。

どういうこっちゃ、これっ!!!

(2023年1月2日)

 

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鳥越俊太郎 鳥越俊太郎

1940年3月13日生まれ。福岡県出身。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、同社を退職。1989年より活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」キャスターやコメンテーターとして活躍。山あり谷ありの取材生活を経て辿りついた肩書は“ニュースの職人”。2005年、大腸がん4期発覚。その後も肺や肝臓への転移が見つかり、4度の手術を受ける。以来、がん患者やその家族を対象とした講演活動を積極的に行っている。2010年よりスポーツジムにも通うなど、新境地を開拓中。

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