第19回 新春から岸田首相、G7首脳との「腹合わせ」の旅に出た。珍ネーミング「腹合わせ」に拍手/しかし、こちらは大拍手だよ。再掲、この新聞社説、大拍手!!皆さんも読んでみてください。
メディア批評&事件検証ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00190/20230116100000104418
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週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!
https://foomii.com/00190
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新年早々岸田首相はいい気なもんだなあ!朝日新聞9日の見出しはこうだ!
「岸田首相、欧州・カナダ・米国を歴訪へ G7サミットへ【腹合わせ】」
岸田首相は今年5月広島で開かれる「G7広島サミット」のメンバー国、フランス、イタリア、イギリス、カナダ、アメリカ。この5カ国の首脳に挨拶回りに出かけた。
昨年の議長国、ドイツは今回の旅からは外されているが、それはまぁいい。
面白いのが今回の欧米首脳訪問の趣旨は「腹合わせ」だそうだ。
「腹合わせ」ねえ、これまで政治ショーの中で、あんまり聞き慣れた言葉じゃないけど。朝日の作った見出しじゃないよね。まぁ、きっと政府のお役人、官邸筋の官僚の言葉に違いない。
5月のG7広島サミットに向けて有体にいえば、事前の根回しみたいなもんだろう。よく考えてみると、G7サミットでは毎回こんな事前の「腹合わせ」の旅が行われてたかなあ?
根回しの旅を事前にやったら、本番のサミットの意味が薄まってしまうよ。
岸田さん、本番前にゾロゾロお供を連れて、腹合わせとやらの一芝居、きっと25%(毎日新聞調べ)まで落ちた内閣支持率の向上に向けての小芝居のように見えてしょうがない。
それより岸田さん、あなたには国会と国民とちゃんと向き合って話をすべきじゃないですかね??
国民への説明は捨て置いてホイホイ「腹合わせ」の旅ですか?
こう言う疑問を抱かれる読者の皆さんに是非今読んでもらいたい一文がある。
昨年暮れ、12月30日の東京新聞社説
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「煽られた風の元を疑う年のおわりに考える」
少し長いけど読んでみて!
実に興味深い!
社説にしては実に分かりやすい!
以下は社説を正しく再現。
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ひと月ほど前でしたか。米メデイアを繰るうち、いかにも米国らしい記事に目が留まりました。
「長引くウクライナ戦争の余波で、米国から台湾向けの武器供与が滞っている。中国と対立する米政界で台湾防衛の遅れに懸念が募る」そんな内容でした。
ウクライナと台湾と。二正面の受注に追われ、米軍事ビジネスが活況に沸いているようです。
その次なる大口顧客に、近々日本も加わるのでしょうか。
そう連想したのはこの年末、日本の政治が軍事力の拡大策で見せた独走劇の危うさからでした。
平和憲法の矩さえ越える安全保障政策の大転換に、主権者が一切かやの外とは。防衛は「次代に対する現代の責任」というのなら、次代に責任を果たすためにこそ、私たちは求めたい。この政策を一から国民的議論に付し直せと。
今なぜ軍拡か。そもそもそこに疑念があるからです。ロシアのウクライナ侵攻に乗じて煽られた、疑わしい「風」の存在です。
「腰だめ『2%』の正体は」
一つは、2027年度に防衛費倍増を促す国内総生産(GDP)比「2%」への風でした。
自民党の安保調査会は18年から北大西洋条約機構(NATO)の目標値を参考に「2%」倍増案を提言。今春、ウクライナ戦争を受けて再提言したものを岸田文雄首相が丸のみし、年末、軍拡策の骨格にと据えたのでした。
だけど、この「2%」はもともと17年に就任したトランプ米大統領が NATO に求めた目標値でした。
だとすれば NATO とは直接関係のない日本の政権党が18年からあえて「腰だめ」の高い目標値を提言し続けたのはなぜか。
当時はそのトランプ氏に求められて、安倍晋三首相による米国製兵器の「爆買い」が加速したころです。後に装備の不備などで配備断念となった地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」=写真はルーマニアの施設、ロイター・共同も購入対象でした。
https://foimg.com/00190/NAbLXr
しかも、 これらの多くは米政府主導の値決めによる対外有償軍事援助(FMS ) での調達です。米国追従の色濃い安部政権下での FMS 激増は、防衛費を押し上げる要因にもなっています。
つまりは米国製の兵器を「爆買い」するためにも、予算の枠を確保しておきたい。これが「2%」の風の一部正体ではなかったか、という疑いです。
そしてもう一つ。煽られたのは「台湾有事」の風でした。
〈ウクライナ侵攻のロシアに協力的な中国が台湾を武力統合する日も近い。抑止力の備えに「敵基地攻撃能力の保有」の検討も急がねば〉といった筋立てです。
だが、この風の吹き始めもウクライナ戦争の前。節目は20年米大統領選の秋でした。
いわゆる軍産複合体の一翼を成す米軍・政府の安保専門家ら超党派の約五百人が、選挙向け書簡を発表。現職トランプ氏を「同盟国の信頼を損ねた」と非難し、バイデン氏支持を表明したのです。
「託す命は米国の掌中か」
こうして昨年就任したバイデン大統領は真っ先に中国を「最も深刻な競争相手」と指名。その3月に米軍司令官が議会で、台湾有事を「6年以内に可能性あり」と証言したのが、風の起点になりました。でも「6年以内」の客観的な根拠は曖昧なまま。疑わしい風は日米に拡散します。
その帰結がこの年末、日本では敵基地攻撃能力の「保有」決定と米国製巡航ミサイルの大量購入。米国では巨額の台湾向け軍事支援枠の予算措置。いずれも、風が吹いて「もうかる」先は、軍産複合体のもう一翼、米軍事ビジネスに集約される流れでした。
そこに浮かぶのが、日本の安保政策に託された日本人の「命と暮らし」が次第に、米国の掌中に握られかねないことへの疑いです。しかも、その政策決定に主権者の民意は反映されず、政治への疑念は極まりました。
疑わしい風にも乗って、今なぜ米国頼みの軍拡か。疑念を払うため、岸田首相にはこの原点を自分の言葉で説いてほしい。堂々と国民に議論を喚起し、選挙で信を問うのが民主政治の常道です。
このままでは、多くの国民が苦しい生活の中から絞り出す国費の一部が、みすみす戦争の危険を高めつつ国外に吸い取られていきます。そんな惨めな世の中を次代に残さぬよう、現代の私たちがしっかりと重みを自覚して果たすべき「次代への責任」です。
どうですか?お読みになった感想は?
最近与野党の政治家や新聞、テレビ上のコメンテーター、評論家が一致して、前置きで語る「安全保障が厳しくなった」という口上。こうしたいわば「風」の元が遡っていくと結局アメリカ軍産複合体の利益と結びついている。この社説はこの「風」の正体についてわかりやすく書いています。少し長い記事ですが、理解出来るところから丹念に読んでみてください。
うーん、この社説子に会ってみたくなったなぁ!!
(2023年1月16日)
〇ISF主催トーク茶話会③(2022年2月26日):鳥越俊太郎さんを囲んでのトーク茶話会のご案内
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1940年3月13日生まれ。福岡県出身。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、同社を退職。1989年より活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」キャスターやコメンテーターとして活躍。山あり谷ありの取材生活を経て辿りついた肩書は“ニュースの職人”。2005年、大腸がん4期発覚。その後も肺や肝臓への転移が見つかり、4度の手術を受ける。以来、がん患者やその家族を対象とした講演活動を積極的に行っている。2010年よりスポーツジムにも通うなど、新境地を開拓中。