第22回 少子化対策30年 見えぬ効果(朝日新聞2月4日付け朝刊)/では? フランスはなぜ?成功?/日本はなぜ本気で少子化対策やらぬのか?
メディア批評&事件検証4.世界で少子化対策に成功した実例集 ~フランス~(海老沢由紀さん調べ)
2)フランス
フランスは、1世紀にわたり少子化に取り組んできた国です。出産育児にかかわる問題をひとつずつ解決し、たえず家族政策の改革、改善に取り組むことにより、少子化問題に向き合おうとしています。
フランスの社会制度は、「産めば産むほど有利なシステム」になっています。
〇家族手当
所得制限なしで、2子以上を養育する家庭に給付される。20歳になるまで、こどもの数によって支給されます。日本の児童手当と近いですが、1子の家庭には支給されない点が違います。
〇N分N乗方式
子育て世代、特に3人以上の子どもを育てている世帯に対して、大幅な所得税減税がなされ有利な仕組みになっています。
〇家族補足手当
第3子から支給される。所得制限はありますが、制限は緩やかなので多くの世帯が受給しています。
〇年金加算
子どもを3人養育すると年金が10%加算されます。
〇職業自由選択補足手当
子育ての為に仕事を全面的に休むのか、週4日や3日勤務、午後3時までと言ったように時間短縮するかなど、個人に合わせて労働の有無や、労働時間数を選択することができる。
〇保育方法自由選択補足手当
保育ママに子どもを預ける場合に支給されます。
〇出産費用
産科の受診料、検診費、出生前診断、出産費用など妊娠出産から産後のリハビリテーションを含め無料。
〇父親の出産休暇
母と同様の有給扱いで賃金の80%が保されています。
〇不妊治療と人工中絶
治療は公費で行われていますが、43歳までと年齢制限があります。
〇高校までの学費は原則無料となっています。
公立大学の学費も、数万程度の登録手続き費と健康保険料のみで、ほぼ無料です。
また、多くの学生が奨学金を支給されています。
学費や教育費にお金がかかるから子どもを産まないという考え方は、ほとんど存在しないといえるでしょう。
〇事実婚と婚外子
フランスでは、ユニオンリーブル(自由縁組み)というカップルの生き方が一般化しています。
法律婚にとらわれないカップルが社会的に認知されるようになった背景には、フランス人の家族観とそれに伴う法の整備があげられます。
1970年に6%だった婚外子が、1980年代半ばから急速に増加し、2008年52%に達しました。
産まれるこどもの半分が婚外子となり、社会的な受容度は高くなっています。
婚外子の法律についても、自然子(非嫡出子)の権利は嫡出子と同じになり、嫡出子、自然子という用語そのものが民法から削除されました。
〇保育サービス
公立保育所の充足率は低いですが、3歳までは自宅で子どもをみてくれる認定保育ママや低額のベビーシッターが比較的簡単に利用できます。
3歳以上になると公立の保育学校に入学できるようになり、保育学校は初等教育体系に位置づけられている為、100%就学保障されています。
〇余暇保育
日本の学童に相当するものです。ほほとんど費用がかからない仕組みになっています
以上はフランスの事情に詳しい海老沢由紀さんの論文から一部引用させていただきました。ありがとうございます。
フランスは長時間をかけて、世界でトップレベルの自由な国のマイナスな部分をとり除こうと努力してきたのです。
安倍さんの国難発言や岸田首相の「異次元の少子化対策発言」のレベルでは日本は変わらないでしょう。
私がここで言えるのは少子化対策というのは
①種の保存という本能に頼る部分が半分
②今を生きる私たちが子や孫のためにフランスがやったような必死の努力をするのが残り半分
この2つ、「本能と努力」によってしか成し遂げられないのでしょう。
こうやってみてくると、国会で真面目な顔をして「異次元の少子化対策」などとほざいている岸田首相の顔がホントにアホ面に見えてくるのです。
以下はフランスの事例を調べる前に書いていた文章です。参考までに
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安倍政権下の選挙ではかつてこんなキャッチコピーが罷り通った。
「少子化は北朝鮮問題と並ぶ日本の」
「国難である」
安倍内閣は「国難」とまで言い放った。
それでも少子化の下降線は変わらず。
そして今度は「異次元の少子化対策」と来た。国難と異次元とはどう違うのか。そあたりを今語る、ならこの30年間、自民も民主(立憲)も「少子化」を呪文のように唱えながらもなぜ失敗の連続だったのはなぜか?
そこを検証してみなければ同じように一定の国家予算が投下されながら、日本人の生まれてくる数は年々減るばかりだ。
日本総研の調べによると、2022年の出生数は前年比▲5.1%減の77万人ほどになる見通しだという。
(2023年2月6日)
〇ISF主催トーク茶話会③(2022年2月26日):鳥越俊太郎さんを囲んでのトーク茶話会のご案内
※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
1940年3月13日生まれ。福岡県出身。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、同社を退職。1989年より活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」キャスターやコメンテーターとして活躍。山あり谷ありの取材生活を経て辿りついた肩書は“ニュースの職人”。2005年、大腸がん4期発覚。その後も肺や肝臓への転移が見つかり、4度の手術を受ける。以来、がん患者やその家族を対象とした講演活動を積極的に行っている。2010年よりスポーツジムにも通うなど、新境地を開拓中。