日本を操る政治とカルトの蜜月、旧統一教会とCIA・KCIAの関係
政治・CIAにも協力していた統一教会
統一教会とKCIAやCIA(米中央情報局)との関係はよく語られるが、ネット上の間違った情報もあるので整理しておこう。
統一教会をKCIAやCIAが作ったというのは事実ではない。文鮮明教祖が「世界基督教統一神霊協会」をソウルで創設したのは1954年。KCIAの創設は1961年の軍事クーデター後だ。CIAの創設は47年だが、初期の統一教会は梨花女子大学事件の〝血分け儀式〟のようなセックス・カルト教団であり、CIAが興味を寄せる団体ではなかった。
アメリカが統一教会に関心を持つのは、1976年の韓国政府の米政界工作「コリアゲート事件」からだ。同年から1978年にアメリカ下院のフレイザー委員会が、文鮮明氏や統一教会を調査。当初、アメリカは、日本の極右勢力の関与を疑ったという。
統一教会の活動資金は日本から来ていた。しかし、日本の右翼や右派政治家と親密な統一教会は、反日思想のカルト教団だった。
統一教会に再びアメリカが興味を持つのは、脱税で服役中の文鮮明氏の釈放を要請する岸信介元首相の嘆願書が、レーガン大統領に送られた1984年だという。CIAは、統一教会が日本の政治家に大きな影響力を持っているのを知り、対日工作に利用することを計画する。CIAと統一教会が提携するのは、この頃からだ。
岸元首相が文氏の早期釈放を嘆願した2年前の1982年は、日米貿易摩擦が始まった年だ。アメリカ議会の公聴会で、日米貿易が不公正だと非難され、UAW(全米自動車労働組合)が日本車をハンマーで叩き壊すパフォーマンスを行なった。
同年6月には、FBI(米連邦捜査局)のおとり捜査で、日立製作所や三菱電機の駐在員が産業スパイ容疑で逮捕され、後ろ手錠で連行される姿が世界に中継された。その翌日には、日本人に間違われた中国人(ビンセント・チン氏)が、バットで撲殺される事件も起きている。
1990年にはアメリカ政府高官が「冷戦の戦勝国は日本だ。冷戦後も戦勝国にさせるわけにはいかない」と宣言。翌1991年にCIAは「JAPAN2000」という対日戦略案を作成。アメリカの日本脅威論に乗じた統一教会は、CIAの対日工作に協力する。文鮮明氏は、アメリカに居住し、布教活動を認められたのだ。
その後の日本経済の凋落は、CIAに協力する統一教会に操られた日本の政治家や官僚、マスコミによって、自ら招いたと言えるだろう。 まさにCIAの思惑通りの展開だったが、あまりに上手くいきすぎたことに、彼らの方が驚いているかもしれない。
・韓国・アメリカと提携でカルト非合法化が可能
「紙の爆弾」昨年10月号で筆者は、統一教会の傘下団体南米代表が、2019年に米FBIに麻薬取引とマネーロンダリングで逮捕・起訴された件をレポート。米政府に捜査資料の提供を求めることを提案した。また、KCIAやCIAとの関係を裏付ける資料も、韓米両国政府に要請すべきだろう。麻薬取引や海外情報機関との協力なら、公明党や創価学会も〝明日は我が身〟とは思わないからだ。
尹錫悦政権は、文在寅政権で悪化した日韓関係を修復したがっており、断ることはないはずだ。またアメリカにとって現在の日本は脅威ではない。CIAの関心は中国に移っている。バイデン大統領が、トランプ前大統領を支援する統一教会に義理立てすることはないだろう。
問題なのは、日本の政治家や官僚に、統一教会の背後にアメリカ(CIA)が控えており、アメリカには逆らえないというマインドが蔓延っていることだ。過去20年の清和会政権、特に安倍晋三政権の対米関係は、マインド・コントロールされ、献金しないと地獄に堕とされると信じるカルト信者に等しく、自ら日本の没落に協力させられていた感がある。
朝日新聞が報道した政策協定は、表面的なものにすぎない。祖父・岸信介から3代にわたって関係を築いてきた安倍元首相に、「推薦確認書」に署名させるような水臭いことはしない。統一教会と深い付き合いのある政治家とは、公表されない〝政策協定〟があるはずだ。
たとえば、いわゆる移民政策。日韓トンネルの本来の目的は、第2次朝鮮戦争が起きた際、避難民を日本に移送する通路として計画されたといわれる。
統一教会顧問弁護士の福本修也氏は、元検事の法務官僚。記者会見で声を荒げて質問を遮り、2世信者の会見中にファクスで中止を要求。教団本部のある渋谷区松濤に3億円の豪邸を所有することも報道された。その福本氏は、法務官僚時代に、民事局参事官室で成年後見制度の制度設計に携わっている。
現行の成年後見制度は、家裁が後見人を指定すれば、解任は事実上不可能に近く、後見人に資産を横領されても国は責任をとらない。統一教会の信者といわれてきた福本氏について、ある記者が、法務省民事局に質問すると、「把握していない」と他人事のような返答だったそうだが、子どものいない夫婦や独身者にとっては、深刻な問題になるだろう。
また、安倍元首相は、昨年の4月に自民党議員を集めて大麻解禁の勉強会を開催している。以前は昭恵夫人の大麻解禁論を質問されると「私人としてやっており、自分は関係ない」と言っていたのが、心変わりしていたようだ。
勉強会の事務局長の鈴木英敬衆院議員は、三重県知事時代に統一教会に祝電を送ったと報道されている。大麻の活用は規制緩和による成長戦略として語られるが、一部の州で大麻を解禁したアメリカでは薬物中毒者が激増、一昨年は若者の死因の一位になっている。
また統一教会と関係する組織が、南米パラグアイに巨大な農場を所有することを指摘しておこう。
最後に、統一教会が生き残れば、彼らは迫害に耐え抜いたとして、信者への支配力を今まで以上に強めることになりかねない。また四月の統一地方選で再選を狙っている地方議員に加え、官僚の中にも隠れ信者がおり、弱みを握られている者もいる。
これ以上この国を衰退させないためには、カルト教団と政治との関係を完全に断ち切る必要がある。
(月刊「紙の爆弾」2023年2月号より)
〇ISF主催トーク茶話会③(2022年2月26日):鳥越俊太郎さんを囲んでのトーク茶話会のご案内
※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
海外メディア勤務を経て、フリーライターとして活躍中。