【連載】安倍晋三の射殺と三代の腐れ縁(藤原肇)

第4回 安倍晋三の射殺と三代の腐れ縁③

藤原肇

新世紀にブッシュ政権が誕生し、それからの十数年間はネオコンが暴れ回って、石油権益を収奪したために、中東や東欧は大混乱に陥り、紛争や戦争が続発して多くの人が戦禍の犠牲者になった。近代史の貴重な教訓は、新世紀の前半に戦争が起き、17世紀は30年戦争があり、18世紀はスペイン継承戦争で、19世紀はナポレオン戦争だし、20世紀は二つの世界大戦である。

だから、21世紀に起きる戦争は、中東か東欧が危険だと可なりの程度で予想できるし、キリスト教の予言の中にハルマゲドンがあるから、ユダヤとロシアの相克が要注意だと多くの人が危惧した。米国は第二のイスラエルで反ロ思想の総本山だし、ネオコン勢力の巣窟でもあり、2014年の『桜井ジャーナル』はウクライナ情勢について、興味深い洞察をしていた。

「・・・ジョージ・W・ブッシュを当選させた、2000年の大統領選以降、アメリカの選挙は操作されている疑いが濃厚。コンピュータ化が推進され、操作はますます容易になっている。・・・ティモシェンコを励ましたオルブライトは、国務長官の時代、1998年にユーゴスラビアの空爆支持を表明、99年にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃した。

ズビグネフ・ブレジンスキーの教え子だということもあり、東ヨーロッパ、特にウクライナの制圧に熱心。バラク・オバマ政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官に指名された、スーザン・ライスの師でもある。つまり、アメリカの体制転覆プロジェクトの中枢にいるひとりだ。

ちなみに、オルブライトの父親はチェコスロバキアの元外交官で、アメリカへ亡命してデンバー大学で教鞭を執っている。そのときの教え子の中にコンドリーサ・ライス、つまりジョージ・W・ブッシュ政権で国務長官を務めた人物がいる。二人のライスをオルブライト親子はつないでいる。

・・・ところで、当選したポロシェンコのカネ儲けはソ連時代の終わり、マネーロンダリングから始まったという。ソ連消滅後はロシアと同じように、犯罪組織や政府の中枢と手を組むことで国民の資産を略奪、ポロシェンコの場合は武器、売春、麻薬などに手を出していたと伝えられている。女性を稼ぎに利用していたという点では、ロシアのオリガルヒであるミハイル・ホドルコフスキーと似ている」。

腐敗王のポロシェンコに続き、2019年の大統領選に勝ち、ウクライナ大統領になったのが芸人出身のゼレンスキーで、彼を当選させた政界の黒幕がイスラエル国籍を持つ富豪のコロモイスキーだ。ゼレンスキーと同じようにユダヤ人のコロモイスキーは、ネオナチのアゾフ大隊など親衛隊的な軍隊を持っており、イスラエルとスイスに住む代表的なオルガルヒである。

Moonieという集団は合同結婚式や霊感商法で、悪徳カルトとして知られるが、1980年代から世紀末にかけ多くの問題を引き起こし、オウム真理教と並び反社会組織として糾弾された。だが、サリン事件の衝撃が余りに強烈だったから、霊感商法の悪質さが霞んでしまい世間の関心が薄れた隙に、政界の中枢に潜入し自民党を汚染し尽くしている。

それが著しかったのは小泉政権の時代だが、国民が演技政治に陶酔し、小泉と竹中がコンビで国を売り払い、安倍がネオコン役を演じることで、出世の階段を駆け上って、ゾンビ政体が日本を席巻していた。霊感商法があくどく被害者が多いので、警察が取り締まろうとしたが、官房長官だった安倍は警察の行動を阻止し、警察庁を指導する公安委員長を選ぶに際しても、統一教会に好意的な腰抜けを歴代任命し続けた。

Moonieの合同結婚式は、アダムの朝鮮人の男がエヴァの日本女と結婚して、交合して生まれた子供は原罪が消えた聖なる人間という、奇妙な神話を起源に持つ愚劣な教義に支配されている。これは優生学の変種で、原罪からの救済という福音思想に基づいた、キリスト教の異端派が好む悪魔祓いの慣行であり、極端化したものにナチスの優生学がある。

ビルゲイツ・シニアーはバーネット卿が提唱した学説に強く共鳴して、優生学を信奉しているが、息子のビルゲイツ・Jrも同様に優生学の普及に熱心で、ビルゲイツ・メリダ財団を使いワクチン普及に専心する。だから、陰謀説の一部には統一教会の平和運動として、家族計画の変種の形で優生学が関係しており、ビルゲイツ家と連携するとも言う。

軍産複合体と薬品業界は共に戦争と密着して、共存共栄で稼いでおり、それに電子工業を支配した青幇人脈と金融マフィアが連携して世界を動かし、ウクライナ戦争にも繋がっている。どのていど確実かは分からないが、大変動が継続する時期には何ごとでもありうるし、想像力を高めることにより、Predicament(窮地)に対処したい。

第一次安倍内閣の時から彼が最終的に辞任した十数年間は、電子版のゾンビ・シリーズや幾冊かの単行本に書いておいたので、それらの記事を参照して欲しい。なぜなら、私の好む遠近法は背景としての遠景の中に、隠れた秘密を解く鍵が緻密な手法で描かれている点で、フェルメールの筆致に共通するから、近景が好きな人は他の分りやすい流派を選ばれたい。

なぜなら、『さらば暴政』の原本はアメリカから遠望した観察記録だし、これまでの著書の多くも双眼鏡を反対側から覗く点では、日本の本とは逆発想であり、近くのノイズは意図的に無視している。糸川英雄博士が書いた『逆転の発想』が縁を生み、彼と対談した時に「1億分の100」に徹している限りは、価値が出るよと指摘されて、それを半世紀もかけて実践したので、藤原ブック・クラスターが生まれ続けた。

それにしても『さらば暴政』の出版が、第二次安倍内閣の誕生に対し、防御の役を果たせないままに、前代未聞の暴政による亡国の悲劇を防ぐ上で、役に立たなかった不甲斐なさは、今更ながら悔やまれる。だから、ここからは安倍が死んで、彼の犯罪が露呈したことにより、統一教会の広告塔役を安倍晋三が演じたために、不幸に陥った日本人が被った悲劇について触れ、再び遠景に戻ることにしよう。

鳩山が辞任した後で菅直人が首相になり、公約無視の増税政策を行い、加えて東北大震災の衝撃によって支離滅裂に陥ってから、民主党は迷走状態を呈し何をやってもダメだった。この醜態については、『Unmasking The Zombie(日本に巣喰う疫病神の正体)』に、民主党の姿を描写した私は、ダッチロールする状況について、次のように状況分析をしている。

「・・・菅直人が米国に行き、CIAに取り込まれて選挙民を裏切ったが、それに続いて松下政経塾出身で『トロイの木馬』役を演じた前原と野田が、無能を晒し民主党を自己解体に追いやった。しかも、野田の裏切りを目撃し、メディアが勢いづいて民主党を叩きまくった効果で、それが追い風になり、頼りない安倍政権だが、嘘と詭弁を垂れ流しても再出発は追い風に乗れたのである」。

『トロイの木馬』というのは、パナソニックの創業者の松下幸之助が作った、松下政経塾の卒業生が政治家になり、広く与党や野党の中に分散し、時を見て新党を結成して天下を取りを狙う野望を持つ集団を指す。思想的には反共的であり、伝統的な国家主義を信奉しているが、MRA(道徳再武装)の系列だがカルト的で、自民党の補完役を果たすために、民主党の中にも潜入している。

その典型が前原と野田であり、共に民主党首として外相や首相を歴任したが、無能と無責任で馬脚を露呈し、『トロイの木馬』の前例に従い、民主党政権を崩壊させた元凶だ。前原は池田大作の隠し子であり、創価学会が送り込んだという噂が、一時期の政界に流れていただけでなく、野田は自民党の菅義偉に操られていて、スパイだという噂が席巻していた通りで、政権を安倍に明け渡している。

民主党は経験不足のため、3年半の政権担当の時期に数多くの判断ミスを犯し、ダッチロールを繰り返したが、菅と野田が首相だった時には、そのお粗末さが特に著しかった。政策にビジョンがないので財務官僚に手名付けられ、公約違反の増税を決め選挙民を裏切ったので、圧倒的多数を誇っていたのに、国民の信頼感を完全に失い、次の衆議院選挙で惨敗してしまった。

野田と安倍の党首討論の時に、野田は唐突に衆議院解散を表明し、4週間後の選挙で大敗してしまい、民主党は308議席から57に議席を激減させたが、これは「トロイの木馬」作戦だったと思う。なぜなら、野田は政経塾出身で安倍以上に反動的だし、「トロイの木馬」作戦用に民主党に潜り込んでいた、「モグラ」としての野田が、タイミングを見極めて民主党政権を解体したと読める。

しかも、党首会談の3週間前に安倍が自民党総裁になり、背後から統一教会の策士が工作をして、信者を臨時党員にするだけで、予想外の番狂わせを演じられると読み、この逆転劇を実現させたようだ。安倍が射殺された後で統一教会の自民党への浸透が分かったが、総裁選挙に党員数の魔術を使い、決選投票に持ち込めば安倍の当選という番狂わせが、統一教会の手で可能だったのである。

以下の記事は石橋文登の『安倍晋三秘録』からの引用で、自民党総裁選挙前の時点では、如何に安倍に人気がなく、総裁になる可能性が低かった事実が、政治記者の手で活写されている。5年前の国会において、安倍は所信方針演説をしてから、突然に政権を投げ出し敵前逃亡に等しい辞職をしたが、その無責任な態度に強い不信感が漲っていたので、プロットが介在した余地もある。

「・・・ 安倍晋三にとって2012年(平成24年)9月の総裁選は、政治生命を賭けた戦いとなった。ここで酷い負け方をすれば、引退も覚悟せねばならなかった。もっとも力強く安倍晋三を励まし、中堅・若手の支持層を広げたのは菅義偉だった。・・・ 首相の野田佳彦が衆院を解散したら民主党が大敗するのは確実だが、谷垣禎一率いる自民党と公明党だけでは過半数に届かず、他の政党との連立を模索しなければならないとみられていた。

・・・自民党総裁選は当初、谷垣禎一が続投に強い意欲を示し、対抗馬として石破茂や安倍晋三の名があがっていたが、谷垣禎一が優勢だとみられていた。ところが、幹事長の石原伸晃が出馬表明すると、いきなり雲行きが変わった。森喜朗、青木幹雄、古賀誠ら重鎮が相次いで石原伸晃支持を表明したからだ。

・・・結局、谷垣禎一はジワジワと包囲網を狭められていき、9月10日に「党執行部から2人が立候補するのは好ましくない」として不出馬を表明した。・・・・総裁選は安倍晋三、石破茂、石原伸晃、林芳正、町村信孝の5人の戦いとなった。麻生太郎の参戦によって、安倍晋三陣営は勢いづいた。

・・・それでも、まだ『政権放り出し』のネガティブ・イメージがつきまとい、議員数も党員票も今ひとつ支持は広がらなかった。『党員票は石破茂が圧倒的に多い。安倍晋三は大きく水をあけられている』。総裁選開票日の9月26日午前、こんな情報が流れ、ホテルニューオータニで開かれた安倍陣営の決起集会は、お通夜のような雰囲気になった」。

上の記事に登場する政治家名は、顕微鏡下で観察する時に、マクロファジーに食われる黴菌と同じで、赤痢菌や大腸菌を始め、がん細胞やカビの仲間だから、詳細について知る必要はない。ただ、当時の状況について知り、予備選のプロセスとして2位に入ることが決め手だから、会費を払えは党員になれるし、党員数を増やす手を使えば、安倍に決選投票のチャンスがある。

しかも、与党の総裁が自動的に首相になる、日本の政界の慣例を使えば、総裁選に全力を投入するだけで、政権の乗っ取りは可能であり、それを目指す統一教会には千載一偶の大チャンスだ。その計算のアルゴリズムはAIを使えば良く、それほど難しくはないから統一教会の人脈を活用すれば、安倍を簡単に総裁に選出して、後はゆっくり料理するだけで済むことになる。

何しろ、安倍は官房長官時代に、警視庁が計画した家宅捜査から、統一教会を守った功績を持っているし、ロス時代からの関係加えて、創業期のパトロンである岸信介の孫の付き合いもある。そうした計算の上で臨んだ自民党総裁選の結果は、次のような結果をもたらして安倍は自民党総裁になり、自動的に首相に就任したので、統一教会の狙いはズバリ実現した。

「…自民党本部本部で行われた総裁選の投開票で、トップは石破茂で議員票34票、党員票145票の計199票。安倍晋三は議員票54票、党員票87票の計141票の2位だった。石原伸晃は議員票58票、党員票38票の計96票で3位に沈んだ。…石破茂の得票は過半数(250票)に届かなかったので、石破茂と安倍晋三で、国会議員による決選投票が行われることになった。結果は安倍晋三が108票で、89票だった石破を破ったから、安倍が25代自民党総裁に返り咲いた」。

これが統一教会にとっては、起死回生の道に踏み出す記念すべき瞬間であり、政権与党を自家薬籠にして、教団の教義の実現のために、自民党を屈服させた日でもある。それは2012年9月26日で、安倍を総裁にした自民党は邪教の教義を党是にして、国政を推進することに決め、世界制覇の旗を振りかざし、戦争を準備するために憲法改悪の路線に踏み切った。

私は日本に住んでいないが、歴史を相似象で捉えることに知的な好奇心を感じ、事件や謎解きに挑むのは個人の道楽で、詳細はノイズとして無視し、大局観だけで問題を扱ってきた。だから、政局などの些細なことは、新聞記者や学者のように月給を貰って仕事をする者が、取り組むべき事柄だと考えて、出来るだけメタ次元で捉え、ゲシュタルトのレベルで考察するように配慮してきた。

それにしても、総裁選があった9月26日から、6週間後の11月14日まで、この極がめて短かい期間を有効に使い、自民党と民主党の間の取引の形で、野田が属す政経塾が図った密約が気になる。なぜならば、石橋文登の本の記述では、安倍が首相になる前段階で変な党首討論があり、野田が唐突に解散を発表し、政権を引き渡したからで、どう考えても奇妙だからだ。

「・・・11月14日、首相の野田は安倍晋三との党首会談で、11月16日に衆院を解散することを唐突に表明した。翌12月4日公示、12月16日投開票の衆院選で、自民党は294議席を獲得し大勝した。前回衆院選で308議席を獲得した民主党は、わずか57議席だった。・・・12月26日、第96代首相に首班指名された安倍晋三は、第二次安倍内閣を発足させた」。

この急激な政権交代劇の実現が、非常に短期間だったことは奇妙で、それに不信感を抱かないならば、非常に鈍感であると言わざるを得ず、その歴史感覚は疑いに値する。なにしろ、自民党よりタカ派で極右思想教育を施し、反共政治家を育てる政経塾の出身の野田が、「トロイの木馬」要員として、民主党に潜入していた可能性は、大いにあったからである。

孫子の傑作の『The Arts of War』には、第13章の最後の部分に、体制の交代劇の時に使う「トロイの木馬」型の間諜として、次のような裏切り者の例が、記述されているのである。

「昔、殷が天下に覇を唱えたときは、伊摯がスパイとして敵国・夏にいて、その殷が周に滅ぼされたときは、呂尚がスパイとして活躍した。このように、利口な君主と賢明な将軍だけが、巧みにスパイを使って大功を成し遂げる」 (Of old, the rise of the Yin dynasty was due to I Chih who had served under the Hsia. Likewise, the rise of the Chou dynasty was due to Lü Ya who had served under the Yin. Hence it is only the enlightened ruler and the wise general who will use the highest intelligence of the army for purposes of spying, and thereby they achieve great results.) 。

安倍が古代中国の支配者のように、賢明さや智謀を持つと思わないが、統一教会を背後から操るCIAを始め、国際機関の指揮官の中には、優れた頭脳がいても不思議でないからだ。

 

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藤原肇 藤原肇

フリーランス・ジャーナリスト。『皇室の秘密を食い荒らしたゾンビ政体』『日本に巣食う疫病神たちの正体』など著書多数。海外を舞台に活躍する。

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