メールマガジン第57号:「ノーモア沖縄戦・迫る国土の戦場化」
ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会メルマガ琉球・沖縄通信今週の南西諸島軍事強化トピックス(9月5日~9月11日)
◇南西防衛強化 防衛相が意欲 「目に見える形で」(琉球新報、2022.9.8)
◇中国ミサイル 抗議決議可決 糸満議会、全会一致(沖縄タイムス、2022.9.8)
◇奄美の陸自部隊 米司令官が訪問 対中抑止 連携アピール(沖縄タイムス、2022.9.9)
◇米台関係深化で一致 総統と米議員団 中国反発(沖縄タイムス、2022.9.9)
◇奄美大島に火薬庫検討 防衛相「整備必要」(琉球新報、2022.9.10)
◇陸自と米陸軍連携強化強調 防衛相、中国念頭に(沖縄タイムス、2022.9.10)
◇宮古島の市議会 中国へ抗議決議 弾道ミサイル発射で(沖縄タイムス、2022.9.11)
台湾有事への共同対処に向けた日米の防衛強化と統合化の報道が続いている。吉田圭秀陸上幕僚長と米太平洋陸軍のフリン司令官が、奄美大島の陸自ミサイル部隊を訪問した(8日)。
吉田幕僚長は「日米の相互運用性を一段高いレベルに引き上げたい」、米フリン司令官も「陸自との演習で連携し、抑止につなげたい」とエールを交換した。日米陸軍トップが握手し、マスコミを引き連れ日米一体化をPRする政治ショーの趣きだ。
「相互運用性」とは、その実、米軍指揮下で自衛隊が付き従う作戦行動にほかならない。米軍が戦端を切り自衛隊が自動参戦する戦争シナリオが進んでいる。
南西諸島の軍備を増強する防衛省の来年度予算概算要求は、重要項目の一つに「継戦能力の確保」を掲げる。現在の弾薬量は数週間程度しかなく、台湾有事にむけて「現在の20倍以上の弾薬が必要」(産経)の報道も。ミサイル量産化が報じられる中で、産経新聞は「ミサイル1,500発以上」とも報じた。南西諸島に、中国沿岸部にも届くミサイル1,500発以上を配備するという。沖縄全体が対中国戦争のミサイル列島と化していく。
防衛省は「ミサイルの量産」とともに保管庫の確保も目指している。有事下でミサイル基地やミサイル弾薬庫が敵の攻撃目標となるのは軍事の常識だ。1,000~1,500発超もの大量のミサイル弾薬はどこに保管されるのか。沖縄県民にとって重大な関心事だ。
宮古島の住民は「ミサイルを枕に眠れない」と部隊配備に反対した。「県内の米軍弾薬庫について自衛隊が共同使用する案が浮上」(琉球新報)、沖縄本土復帰記念日の5月15日の報道だ。
うるま市勝連の陸自駐屯地は来年度に地対艦ミサイル部隊の配備が計画されるが、ミサイル弾薬の保管場所についてうるま市議会議員も「知らない」という。米軍嘉手納弾薬庫が想定されるのは間違いないだろう。嘉手納町民、沖縄市民も無関係ではない。地元住民の頭越しにミサイル・弾薬の増産配備、保管庫の計画が進んでいる。
共同通信が報じた台湾有事の「日米共同作戦計画」では、陸自ミサイル部隊などが配備される宮古、石垣などを攻撃拠点の候補地とし、米軍が高機動ロケット砲・ハイマースを配置する、という。
「米海兵隊が攻撃拠点の島を次々と変えて攻撃を続ける」とされる。宮古、石垣に米軍基地はない。当然、宮古、石垣の陸自基地を「共同使用」する計画であろう。陸自地対艦ミサイル(1,000キロ以上に長射程化)と米軍ハイマースの「共同作戦」戦争シナリオが目に浮かぶ。
陸自ミサイル部隊配備に反対するうるま市民は、知事選を終えて、「ミサイル基地反対」ののぼりを掲げる街頭行動を計画している。地元に説明もないミサイル量産配備、大量のミサイル弾薬保管計画に対し、うるま市民が情報開示要求、反対表明の先陣を切る。
◇中国が国交50年行事 日本の反応見極め改善か(琉球新報、2022.9.6)
◇日中交流を強化へ 経団連会長 国交正常化50年で(沖縄タイムス、2022.9.6)
◇中国文化 音楽で楽しむ 那覇 国交正常化50年企画、25日第3弾(琉球新報、2022.9.11)
今年は日中国交正常化50年の節目だが、祝賀行事のニュースを寡聞にして聞かない。聞こえてくるのは、台湾有事を巡る対中「防衛強化」「戦争準備」の報道ばかりだ。国交正常化の意義を再確認すべきではないか。十倉雅和経団連会長は「日中関係を良好にしておくのは東アジアの安定、経済的な繁栄にとっても大事だ」とし、「経済界として日中交流の強化を目指す意向を示した」(5日)。
日米中の国交正常化は戦争のないアジアの平和、安定と同時に、日米中それぞれの経済成長に貢献した。それをご破算にすれば、中国を「戦略的な唯一の競争相手」とみなす米国はともかく、米国以上に中国との関係に依存する日本の経済的打撃は測り知れない。
十倉経団連会長の談話は経済界の本音だろう。岸田政権は米国の音頭に乗って「経済安保」の中国排除に進みつつある。十倉会長は「中国はグローバルなサプライチェーンに組み込まれている」と述べ、「中国とのデカップリング(切り離し)議論をけん制した」。
前泊博盛沖縄国際大学教授は「米国か中国かの二択(どちらかを選ぶ)でなく、米国も中国もでいくべきだ」と指摘している。中国を「唯一の競争相手」と名指し、「民主主義か専制主義か」と二択を迫る米国の思惑は、日本を抜いて経済大国1位の米国を脅かす中国を蹴落とす狙いだろう。2位、3位の中国と日本が仲たがいし戦争することにでもなれば米国のトップは安泰だ。米国を利することはあっても、日本が得することは何もない。前泊教授は「日本(政府)は米国に追随するばかりで日本の国益を考えていない」と嘆く。
「中国文化 音楽で楽しむ」「国交正常化50年企画」。琉球新報の紙面に見出しが踊った。民間交流だけでなく、沖縄県も北京で50周年の節目に併せた観光・物産PRのイベントを開いた。ノーモア沖縄戦の会も関わり、台湾有事の戦争を回避する「台湾・沖縄の対話プロジェクト」も10月にキックオフする。
沖縄にとって台湾は一番近い外国、中国は歴史文化の関りが深い「一衣帯水」「相互互恵」の親しい間柄だ。「中国か台湾か」の二択でなく「中国も台湾も」の双方向で友好関係を築いている。敵視、排除しない「善隣友好」こそが戦争に陥らない「安定と繁栄」の道だ。
9月6日(火)http://nomore-okinawasen.org/2672/
中国が国交50年行事 日本の反応見極め改善か(琉球新報、2022.9.6)
日中交流を強化へ 経団連会長 国交正常化50年で(沖縄タイムス、2022.9.6)
日中摩擦 尖閣国有化10年 海保警備「ぎりぎり支配」(沖縄タイムス、2022.9.6)
9月8日(木)http://nomore-okinawasen.org/2714/
南西防衛強化 防衛相が意欲 「目に見える形で」(琉球新報、2022.9.8)
中国ミサイル 抗議決議可決 糸満議会、全会一致(沖縄タイムス、2022.9.8)
対北朝鮮で協力を確認 日米韓高官協議(琉球新報、2022.9.8)
9月9日(金)http://nomore-okinawasen.org/2725/
奄美の陸自部隊 米司令官が訪問 対中抑止 連携アピール(沖縄タイムス、2022.9.9)
米台関係深化で一致 総統と米議員団 中国反発(沖縄タイムス、2022.9.9)
忍び寄る「貧困徴兵」 経済悪化と自衛隊 知事選議論乏しく懸念(沖縄タイムス、2022.9.9)
外務や防衛の元次官ら選出 政府の新有識者会議 (琉球新報、2022.9.9)
9月10日(土)http://nomore-okinawasen.org/2739/
奄美大島に火薬庫検討 防衛相「整備必要」(琉球新報、2022.9.10)
陸自と米陸軍連携強化強調 防衛相、中国念頭に(沖縄タイムス、2022.9.10)
9月11日(日)http://nomore-okinawasen.org/2751/
日米首脳会談へ調整 20日前後、対中連携強化(琉球新報、2022.9.11)
中国文化 音楽で楽しむ 那覇 国交正常化50年企画、25日第3弾(琉球新報、2022.9.11)
日中、緊張緩和見えず 尖閣国有化 きょう10年(沖縄タイムス、2022.9.11)
防衛費の増大はありえない(沖縄タイムス、2022.9.11)
国葬の弔砲19発 吉田氏式典踏襲 自衛隊参加千人超 (沖縄タイムス、2022.9.11)
宮古島の市議会 中国へ抗議決議 弾道ミサイル発射で(沖縄タイムス、2022.9.11)
文責:新垣邦雄(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 発起人)
(「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン第57号」より転載)
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「ノーモア沖縄戦の会」は「沖縄の島々がふたたび戦場になることに反対する」一点で結集する県民運動の会です。県民の命、未来の子どもたちの命を守る思いに保守や革新の立場の違いはありません。政治信条や政党支持の垣根を越えて県民の幅広い結集を呼び掛けます。