【連載】沖縄の戦場化を断固拒否する(山城博治)

「台湾有事」にかこつけた南西諸島・九州の軍事化を許さない! 日本を対中国戦争に巻き込み南西諸島を戦場にさせる米国の陰謀に抗して

山城博治

1.沖縄・南西諸島を日本を戦場にする米国の陰謀。

(1)米国の圧力と追随する亡国政治を糾す

米国バイデン政権は中国の「台湾侵攻」は必至で、さらに「台湾有事」に際して「台湾侵攻」と同時に尖閣や沖縄・南西諸島の島々に攻め込んでくると途轍もない恐怖を煽り立て、ついに日本をして対中国政策で米国と同一歩調を取ることを合意させた。

「専守防衛」から「敵基地攻撃」を可能にする安全保障政策の一大政策転換をはからせ、さらには防衛費の倍増をごり押しした。その傍らで「台湾有事は日本の有事。日米同盟の有事」と臆面もなく米国に同調した安部元首相や菅政治を寸分たがわず実行した岸田首相、米国追随の果てに亡国の道に踏み出した最悪の政治家と言うほかない。中国が台湾に武力侵攻するという米国バイデン政権の主張に根拠はあるのか、まして「台湾有事」は「日本有事」と称して、中国が侵攻と同時に沖縄・南西諸島に攻め込むことを前提に進められている今日の島々の軍事化・要塞化を裏付ける根拠はあるのか。思慮もなくただ米国のごり押しで危険極まりない道を暴走する究極の愚策政治を止めなくてはならない。

※ 資料1、富坂聡「『台湾有事』を大声で唱えるのはアジアで日本が最後になる」

※ 識者談、ジャーナリスト高野隆氏の分析

中国も、台湾が「一つの中国」にととどまる限り武力行使はしない。1979年の『台湾同胞に告げる書』以降の縛り強く、台湾が独立を宣言しない限り、武力行使はできない。またこれを破れば米国や日本の台湾関与を正当化し、台湾統合をかえって遠ざける結果になる。

(2)米国の陰謀

他方で、日本を対中国戦争へと駆り出すバイデン政権は果たして中国軍とまともに向き合う気はあるのか。「沖縄基地は脆弱」過ぎると嘉手納基地の54機ものF15戦闘機群をグアム島に全面撤退させ、海兵隊員4,000名をグアムや本国に撤退させることを方針化した米軍が本気で中国と対峙するか疑わしい。なぜなら米国が台湾ならびに台湾住民を守るために「台湾有事」に際して取ると言われる「遠征前方基地作戦」なる新しい戦闘作戦があまりに小規模で、しかもその準備から実際の戦闘まで自衛隊が支えなければ稼働しない実に陳腐な作戦であるからである。戦端に火をつけたものの後は自衛隊任せとなりかねない作戦である。米国は姑息だ。中国脅威を煽るだけ煽り日本を戦場に引き出した後はさっさと後方に下がる気配が見え見えである。騙されてはならない。米国はウクライナと同様中国との実戦には台湾軍と日本の自衛隊を最大の当事者とさせ、自らは後方にひき、ひたすら武器弾薬の軍事支援と戦闘の指揮にのみ専念することが予想される。「アジアはアジア人の手によって」「中国たたきは台湾と日本の手によって」。東アジア地域の疲弊によって米国が引き続き世界覇権を握る、おぞましい野望を秘めている。

※ 資料2、「嘉手納基地は生き残れぬ」、琉球新報(2022,11,21)

※ 資料3、羽場久美子『中ロ孤立で米国覇権維持』、沖縄タイムス(2023.4.28)

(3)   米軍が「台湾有事」に取るとされる「遠征前進基地作戦」とはいかなる作戦か。

  ※2022.12,24の石井暁共同通信配信記事によればこうである。

 「南西諸島にある有人、無人合わせて200弱の島々のうち、軍事拠点化の可能性のあるのは40ヵ所。大半が有人島で、水が補給できることを条件に選んだ。陸自ミサイル部隊を配備している奄美大島、宮古島や配備予定の石垣島も含まれる。「米軍は中台紛争への介入を視野に、対艦攻撃ができる海兵隊の高機動ロケット砲システム[ハイマース]を拠点に配備。自衛隊に輸送や弾薬の提供、燃料補給などを担わせ、空母が展開できるよう中国艦艇の排除に当たる。海兵隊は相手の反撃をかわすため、拠点となる島々を変えながら攻撃を続ける」

  ※参考。南西諸島の有人島は鹿児島県域に22島、沖縄県域に50島。そのうち800m以上の滑走路を持つ空港が20島、1,500m以上は14島ある。

(4)そもそも何故、中国が台湾と同時に日本領に「侵攻」する必要があるか

「南西諸島有事」は「台湾侵攻」に日米が参戦するすることが前提とされている。しかも米軍は本格参戦をしない。自衛隊を巻き込むことが目的だ。

少人数の米海兵隊員が南西諸島40の島々から、「侵攻」してくる中国艦隊にミサイル攻撃を行う。攻撃の後は即座にオスプレイで移動を繰り返し中国軍からの反撃を避ける作戦と言われる。残された自衛隊や住民はそれこそ飽和攻撃となって撃ち込まれる中国ミサイルの餌食になるのは必至だ。とりわけ「有事が勃発」した際に迅速の避難ができない地域住民の惨状は想像に余りある。

そもそも米軍は何のためにこんな馬鹿げた作戦を立てるのか。腰の定まらない小規模の戦闘で、米国が最も危惧するとされる中国による「台湾侵攻」を阻止できるはずもなく、まして台湾に地上軍を派遣して戦うなど皆目聞かない。強力な中国のミサイル網による正確無比な攻撃に晒されることが必至なため、有事になって全面的な米中戦争に発展する前に沖縄から撤退すると言われる在沖米軍・海兵隊。単に日本を対中国戦争に巻き込むことが目的か。ウクライナと同様、米国の対中国戦争を日本に肩代わりさせる魂胆と思えてならない。騙されてはならない。こんな無謀な戦争に入ってはならない。

中国のミサイル網は、すでに第1列島線より内側すなわち東シナ海から大陸側に侵攻するすべての敵艦戦を寸分狂わず撃破する能力を有していると言われる。だからこそ米国はこれまで米国が繰り広げた幾多の戦争で常套してきた空母打撃群を中心とする一大戦力を動員しての戦い方を「台湾有事」で踏襲することができず、かつて採用されたことのない「遠征前進基地作戦」なる最小限の兵力で、あたかも覆面忍者のごとく出没を繰り返しながら「中国軍に打撃を与える」作戦を取らざる得ない。しかも海兵隊は移動しながら攻撃を繰り返すため、ミサイル発射に用いられる発射車両の配置設置やミサイルはじめ弾薬あるいは燃料の補給を自衛隊に押し付ける戦闘作戦だ。一体全体日本は米国のこんな戦争に駆り出されていいのか。岸田首相が声高に叫ぶように「敵基地攻撃能力」「敵基地中枢能力」を発動し、開発方針が決まった射程1,000km以上に及ぶミサイルを、中国大陸に向けて発射しようものなら、当然全面的な交戦状態に入って、中国からミサイル攻撃の拠点となる島々のみならず沖縄本島の米軍基地にも反撃が及ぶことになる。さらに戦闘が拡大すれば、それこそ市ヶ谷の自衛隊本部や横田や厚木の在日米軍基地司令部にまで攻撃が及ぶことになる。つまり首都圏が戦場になり収拾のつかない日中全面戦争に発展する。そんなこと誰が想定し了解するというのか。ありえないことだ。あってはならないことだ。南西諸島を地獄の戦場にさせないために。日本を再び無謀な戦争の道に引きずり込まないために。バイデン米国政権の無謀で得手勝手な対中国戦争に巻き込まれてはならない。

※ 資料4、中国ミサイル網の脅威

2.安保関連3文書(沖縄・南西諸島戦争遂行作戦文書)の恐怖

 昨年12月16日に政府から発表された安保関連3文書を箇条書きに整理すると以下のようになる。この軍事戦略によって今日の沖縄・南西諸島地域における嵐のような自衛隊の軍事基地強化が進行していることが分かる。特に前項で見たきたように根拠もなく米国が言うがままに中国を最大の脅威とみなし、中国が「台湾へ武力侵攻」する際には、「同志国」である台湾支援のために「連携対処」すると明記し、公然と軍事介入することを宣言している。

 他方で、先述した「米国は有事に参戦しない」ことを了解・前提に、「主たる責任をもって対処」すると米国に約し、「敵基地攻撃能力」を保持を明言するとともに長距離ミサイルの開発・配備を具体的日程に上せている。さらに沖縄・南西諸島全域の島々の空港・港湾施設の軍事利用のため施設の整備・強化を図り、軍事利用する範囲を拡大すると言っている。その上で「スタンド・オフ防衛能力」の運用に資すると言う。まさに全島軍事要塞化だ。そのために司令部を格上げし、その機能を地下化する。その費用は破格のGDP2%、これまでの防衛費の2倍増になる。経済力が衰退し国民生活の窮乏化著しい今日の経済状況で、戦時体制並みの軍治予算が組まれた暁には国民生活が悲惨を極める状況に陥るのは必至と言わねばならない。

※ 閣議決定された安保関連3文書の中身

(1)国家安全保障戦略(抜粋)

➀ 中国の動向
現在の中国の対外的な姿勢や軍事動向は~これまでにない最大の戦略的な挑戦であり、わが国の総合的な国力と同盟国や同志国との連携で対処すべきだ。

➁防衛体制の強化
〇近年、わが国へのミサイル攻撃が現実の脅威となっている。わが国から有効な反撃を加える能力、すなわち反撃能力を保有する必要がある。
〇27年度に防衛力の抜本強化と保管する取り組みを合わせ、予算水準が現在の国内総生産(GDP)の2%に達するよう所要の措置を講ずる。

(2)国家防衛戦略(抜粋)

➀ 防衛目標
〇わが国への進行が生起した場合は、主たる責任をもって対処し、同盟国などの支援を受けつつ、阻止・排除する。
〇自衛隊の海上・航空輸送能力を強化するとともに、民間輸送力を最大限活用する。特に南西地域の空港・港湾施設などを整備・強化し、利用可能な範囲を拡大する。
 〇10年後までに火薬庫の増設を完了する。主要な司令部の地下化を進める。

(3)防衛力整備計画(抜粋)

➀スタンド・オフ防衛能力
12式地対艦誘導弾能力向上型を開発。地上発射型は25年度まで、艦艇発射型は26年度まで、航空機発射型は28年度までの開発完了を目指す。
 米国製巡航ミサイル「トマホーク」など外国製スタンド・オフ・ミサイルを導入する。

➁統合防空ミサイル防衛能力
地対空誘導弾パトリオット・システムを改修し、新型レーダーを導入することで能力向上型迎撃ミサイルによる極超音速滑空兵器への対処能力を向上させる。

➂戦闘能力継続能力強化
早期かつ安定的に弾薬や誘導弾を量産するため、国内製造体制の拡充を後押しする。

④自衛隊の体制
〇陸海空の各部隊運用を一元的に指揮する常設の統合司令部を創設する。
〇沖縄県の防衛、警備を担当する陸自第15旅団を師団に改編する。

⑤海保との連携
武力攻撃事態時に防衛相が海保を指揮下に置く手順を定めた「統制要領」を作成する

⑥費用
23年度から5年間に必要な防衛力整備費用は43兆円程度とする。

(4)沖縄地元紙の解説・反応

➀ 日米2+2会合の認識。琉球新報社説抜粋(2023年1月13日)
「日米両政府は外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2+2)を開き、米軍と自衛隊の一体化を加速させる姿勢を鮮明にした。南西諸島における施設の共同使用を拡大し、共同演習・訓練を増加させることを確認。空港・港湾を柔軟に使用することにも言及している。(一部省略)

 2+2では、離島での戦闘に特化した「海兵沿岸連隊」を」在沖米海兵隊に創設することや、自衛隊による嘉手納弾薬庫地区の共同使用の追加なども確認された。

 弾薬庫の共同使用は、長期戦に備えて南西諸島の各地に弾薬庫を分散・保管する一環だ。沖縄市には陸上自衛隊の新たな補給拠点が整備され、弾薬や燃料などを備蓄する。与那国駐屯地を拡張してミサイル部隊を配置し、火薬庫を建設する計画もある。

 島嶼県の沖縄は保安距離を取る広大な土地はない。沖縄全体が火薬庫となれば、住民地域は危険物と隣り合わせになってしまう

➁ 日米首脳会談への警鐘。沖縄タイムス解説一部(2023年1月15日)
いつ終わるともしれない米中覇権争いの下、米国が日本に負担増を際限なく求めてくる公算は大きい。影響力が相対的に低下している米国が、軍拡路線を突き進む中国と単独で渡り合うのは困難なためだ。

 米国の求めに、日本は今後も応え続けるとみられる。期待に背けば同盟が揺らぎ、中国に付け込まれるとの懸念は政府内に根強い。首相が米側に約束した反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有も防衛費増額も、対米協力の「ゴール」にならないと考えるべきだろう。

3.吹き荒れる「中国脅威」「抑止力強化」の逆風の中で反戦平和を訴える。

(1)沖縄県内島々の今日的状況

➀キーンソード23実施される
地元紙は連日のように軍事基地化が進む島々の状況を報道する。なかでも昨年11月に実施された日米の大軍事演習・日米統合軍事演習(キーンソード23)に、自衛隊・米軍から3万6千の兵員、艦艇約30隻、航空機370機が参加、その他オーストラリア軍、カナダ軍、イギリス軍から艦艇や航空機が参加して展開された実践さながらの軍事演習の報道は衝撃をもって報じられた。鹿児島県の津多羅島、奄美大島、徳之島を含め沖縄の多くの島々に物資が陸揚され、陸上、海上で合同訓練が実施された。

 沖大東島では「離島奪還作戦」と称して艦艇から実弾が打ち込まれ、与那国島では砲塔付の戦闘車両が空輸され住宅地域を走行した。

 かつて見たことがない大軍事演習。民間港を使ってのトラックや戦闘車両の陸揚に引続き一般国道を一文字なって走行する軍事色車両。県民は驚愕するとともに、「いよいよここまで来た」かと嘆息した。連日辺野古ゲート前で抗議活動を続ける市民有志は、港湾からの陸揚・搬出にゲート前に結集して阻止行動を組んだ。抗議行動は動員された機動隊の厚い壁に阻まれながらも、沖縄島に限らず宮古島で、石垣島で、与那国島で行われた。また鹿児島の島々でも実行されたはずである。

➁石垣島で
しかし政府・防衛省・防衛局は、地域住民の懸命な抗議にもかかわらず、その後も軍備強化の手を緩めることなく各島々で攻勢をかけている。去る4月2日に開所式が行われた陸上自衛隊石垣駐屯地では開所式に先立ち3月6日ミサイル発射車両など80台が搬入された。また同月20日にはミサイル・弾薬を搬送するトラックの車列約20台が陸揚され一般街道を走って駐屯地に向かった。市民は連日深夜に港湾ゲートに結集して抗議の声を上げた。

➂宮古島で
4月6日に発生した宮古島陸上自衛隊ヘリ墜落事故は、多数の犠牲者が出たこともあり島中を自衛隊車両が走り回り、さらには行方不明者の捜索支援に参加した島外の自衛隊員約150人が島の少年自然の家に宿泊駐屯するなど有事を思わす大行動を展開している。沖縄県民が守り抜いてきた下地島飛行場の軍事利用はさせない政府と県の合意を打ち破るように米軍戦闘機が数日も居座り、政府と県の間で交わされた「軍事利用をさせない覚書」を破棄する動きを強めている。

④与那国島で
2016年沿岸監視部隊として開所した与那国島駐屯地は今、ミサイル部隊の設置を検討し弾薬庫などを整備する計画が進行している。次々と強化される自衛隊基地に「レーダー部隊だけといった当初の約束と違う。ミサイルまでが配備されたら反撃で島が戦場になってしまう。国に騙された」との住民の声も上がっている。しかし島の町長は「自衛隊歓迎」の一点張りで「戦争が怖くて避難すると言う住民には補助金を出す」とまで言い切り、2022年11月30日県内で初となる住民避難訓練を実施した。そして県や政府に対しては避難セルターの建設を要求している。

⑤那覇、県で
県都那覇市においても2023年1月21日避難訓練が実施され、さらに3月17日には沖縄県が先島諸島5つの市町村や自衛隊、海上保安庁、警察などと図上避難訓練を実施した。いずれにおいても政府の「有事事態」を前提としており、政府の戦争に地方自治体や住民が動員される空気を醸成するものとして市民から激しい反発を受けた。

⑥先島への強引なPAC3配備に見る自衛隊の本音
防衛省は4月22日、北朝鮮の衛星発射に対し「弾道ミサイル等に対する破壊措置準備命令」を発し、翌日から宮古島、石垣島、与那国島へ迎撃ミサイルPACK3配備を強行した。北朝鮮の「人工衛星」は「弾道ミサイル」であると脅威を煽り、「落下に備える」とキャンペーンを張った。島々への自衛隊ミサイル基地建設に引き続きいよいよ本格的なミサイル部隊の展開の地ならしであると思える。怖いのは与那国島への搬入に際し、管理者である県に対し、港湾でミサイル陸揚の使用許可申請を出さず、空港使用に当たっては県の指導に従わず時間外搬入を行う強行姿勢をとったことだ。防衛省は「緊急性」を理由としているが、「軍事行動に口を挟ませない」の強引さが見てとれる。平時でこうだ。いざ「有事」という時点での対応が垣間見える騒動である。県は経緯を曖昧にせず断固抗議すべきだ。

(2)今後の大衆運動の構築

➀ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会(宮古島陸自駐屯基地建設に反対して活動)
➁宮古平和ネットワーク(宮古島保良弾薬庫建設に反対して活動)
➂石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会(石垣島の中心的活動を担う)
④いのちと暮らしを守るオバーたちの会(石垣島の元気なオバーたちの会)
➄与那国島の明るい未来を願う・いそばの会(与那国島の住民団体)
➅ミサイル配備から命を守るうるま市民の会(うるま市における市民団体)
⑦自衛隊の弾薬庫等建設に反対する沖縄市民の会(沖縄市における市民団体)
⑧国民保護(ミサイル)訓練に反対する市民の会(那覇市を中心に活動する市民団体)

※、以上は自衛隊基地建設が激しくなった2010年代以降に立ち上げられた地域住民・市民団体である。これらの団体を中心にさらに地域での反戦平和活動を拡げ、全県で団結する組織立上げにつなげていきたい。昨年末政府が安保関連3文書を閣議決定したことに対して呼びかけられた「戦争に反対する全県組織立ち上げのための準備委員会(仮称、以後準備委員会)」には70以上の団体が賛同団体として参加しており、さらには辺野古基地新建設反対運動を担うオール沖縄会議の主要な構成団体である各『市町村島ぐるみ会議』27団体にも呼びかけて現在100団体以上が参集している。

 この呼びかけられた準備委員会で、去る2月16日に「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!2・26緊急集会」が県庁広場で開催され、参加者1,600余人を数える大集会となった。準備委員会では、さらに大規模な集会を5月21日に開催を予定している。この集会には奄美大島と馬毛島からの代表参加も要請しており、与那国、石垣、宮古、沖縄の各島々と合わせ軍事化の波にさらされる南西諸島全域から参集する文字通り「南西諸島有事」に反対する島々大同団結集会となる。是非集会を成功させて、九州全域、全国各地に元気と勇気を届けたいと願っている。

 準備委員会では本集会を成功裡に運び、7月にも正式な県民組織の設立集会を開催し、次は立ち上げられた組織名で万余の県民大会開催に向けて取り組みを進める予定でいる。

(3)県をはじめ各自治体や議会の動き

➀石垣市議会の「ミサイル配備反対意見書」採択
今年3月に開設された陸上自衛隊石垣駐屯地に「反撃能力を持つミサイル配備は容認できない」と野党が提出した意見書に一部与党保守議員も加わって、昨年12月17日意見書が多数採択された。

 この意見書採択が持つ影響は大きいものがある。石垣市は市民が市民投票に必要な条例定数の4分の1を超える1万4千票以上の署名を集めたにもかかわらず、市長は「国防は国の専管事項」を主張し市民が求めた「陸上自衛隊建設の是非を問う住民投票」の実施を回避し続けているが、市民の側には大きな後押しになるものと思われる。

➁沖縄県県議会、3月31日「ミサイル配備より対話と外交による平和構築を」意見書を採択する。これまで自衛隊配備について動きのなかった県議会が初めて動き出した意義は大きい。大衆団体との連携を強めていきたい。

➂県の照屋副知事が3月30日中国の呉江浩駐日大使と面談。「平和交流を維持し持続的発展を続けることは重要」と提案、合意。また直接の中国訪問を打診了解を得た。今こそ県による独自の自治体外交が求められており大衆団体としても後押しが必要。

(4)九州はじめ全国連帯を求めて

 ※ 資料5、九州全域の自衛隊配置図

 資料から陸上自衛隊西部方面隊に配属されている自衛隊基地の関連が読みとれる。沖縄・南西諸島の軍事化がこれまで先行した九州本土の自衛隊基地と連動していることが一見され、単独で「南西諸島有事」その「対処」が語られているものでないことが分かる。空自の築城基地、新田原基地は米海兵隊の有事展開拠点とされており、佐賀空港には陸上自衛隊のオスプレイ17機、佐世保の陸上自衛隊相浦駐屯地には水陸機動団2,100人が配備されている。当然のことであるが、「有事」の際にはそれらの部隊が連動して作戦を遂行していくだろう。

 4月6日に発生した陸自のヘリ墜落事故機に搭乗していた隊員がほぼ熊本県に司令部を置く第8師団の幹部であったことが報道されている。なぜ熊本からと不思議に思えたが、第8師団が「事態が生起した場合、必要に応じ、警備区域を越えて緊急展開し、任務を完遂するよう、平成29年度末に全国に先駆けて機動師団になりました」(第8師団 鎮西機動師団HPから)の説明から納得する。沖縄県那覇市に本部を置く第15旅団が師団に格上げされて兵員が強化されることが、先の安保関連3文書中防衛力整備計画に明記されており、「有事」の際にはこの第15師団が中心になって戦闘作戦を遂行するのかと単純に思い込んでいたがそんな単純なものでないことが分かってきた。いざという時には沖縄だけの自衛隊だけでなく九州各地から、いや実際には全国各地から自衛隊各部隊の総動員があり総力戦で戦闘が行われる。そうなれば想像を絶する戦いとなり島々各地が戦場になることがよくわかる。

 そうであれば、南西諸島を戦場にさせず、日本が再びの戦争国家になることに反対して運動する私たちの側も広く連携・連帯していかなくてはならない。宮崎県の皆さま。連帯を強めていきましょう! 

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山城博治 山城博治

1952年具志川市(現うるま市)生まれ。2004年沖縄平和運動センター事務局長就任。その後同議長、昨年9月から顧問となり現在にいたる。今年1月に設立された「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」共同代表就任。沖縄を「南西」諸島を戦場にさせないために全県全国を駆けまわって、政府の無謀を止めるため訴えを続けている。

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