【連載】ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン
ノーモア沖縄戦

メールマガジン第80号:南西諸島軍事強化トピック(11月28日~12月4日)

ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会

◇ミサイル想定 県内初訓練 国民保護計画 与那国町民が避難(沖縄タイムス 2022.12.1)
◇参加住民「備えが大事」 与那国 サイレン鳴る中避難 外交努力求める声も(沖縄タイムス 2022.12.1)
◇与那国町 有事基金創設 島外避難時 町民に支給(沖縄タイムス 2022.12.3)

12月1日琉球新報「与那国 ミサイル避難初訓練」。1面の写真が目に焼き付いた。机の下に隠れる女性。頬を両手で覆い首をねじり見上げる目。女性は視線の先に何を見たのか。ミサイルが飛んでくる近未来を想定する訓練を迎える事態となった。与那国町は「台湾有事を想定し、島外に避難する町民に必要な資金を供給する基金を創設する」という。
先日の日米演習を取材した三上智恵さんが「与那国報告」を映像にまとめた。
(http://nomore-okinawasen.org/4098/)。以前の「与那国自立ビジョン」は台湾との交流による振興プランを立てていた。そこに2007年、米軍艦船が乗り込み「当時外務副大臣だったひげの隊長こと佐藤正久氏が頻繁に与那国に来るようになった」。佐藤氏は自衛隊が来れば「こんな事業もあんな事業も」と町長、町議、町民を説き伏せ、自衛隊誘致の「防衛協力会」ができた。自衛隊を誘致、部隊が配備され、その結果が「日米統合演習」、「ミサイル避難訓練」、あげくは「町民避難基金」である。
「与那国自立ビジョン」はどこに消え失せたのか。私(新垣)は、台湾に至近で人口1千数百の与那国町は有事となれば「全島民疎開」もありうると見ている。戦争するのに町民は邪魔と佐藤氏、日米軍事関係者は考えているに違いない。「避難基金」を政府は全面支援するだろう。このようなありようはおかしい。間違っている。「人間の住んでいる島」に軍隊を持ち込み、戦争準備の演習をし、保護と称してシェルター、避難を誘導する。「国民不在の戦争計画」は受け入れられない。

◇反撃能力保有決定へ 自公合意 安保政策転換(沖縄タイムス 2022.12.3)
◇安保政策の大転換 反撃力保有 自公 行使へのルール緩く(琉球新報 2022.12.3)
◇解説 専守防衛、形骸化の恐れ(琉球新報 2022.12.3)
◇戦争への準備 外交の後ろ盾 県民の評価分かれる 反撃能力保有与党合意(沖縄タイムス 2022.12.3)
◇玉虫色の「自衛権」拡大 公明「抑止」大義に容認 反撃能力保有 与党合意(沖縄タイムス 2022.12.3)
◇防衛費 27年度 GDP2% 首相、防衛・財務省へ指示(沖縄タイムス 2022.11.29)
◇防衛費5年で最大43兆円 政府検討 来年度から 首相、来週にも判断(沖縄タイムス 2022.12.2)

「敵基地攻撃能力」保有に自公が合意した。「反撃能力」と言い替えようとも「他国領域への打撃を可能にする」(共同)敵基地攻撃にほかならない。「先制攻撃」の議論すらある。敵基地攻撃着手は「総合判断で」とある。「日米合同対処」をにらむという。米軍がイニシアティブを取り、「今だ」の米軍指揮でミサイルを撃ち込むことになるのだろう。政府は北京にも届く「米トマホークを500発購入を検討」する。中国はどう見るだろう。「やられる前にやる」チキンレースのリスクはいやがうえにも高まる。そのことが議論されない「防衛3文書」は危うい。
「専守防衛」はどこに消え失せたのか。歯止めなきモラル・ハザードが防衛計画を覆っている。公明党の「平和の党」の理念はどこに行ったのか。池田大作氏は日中友好を掲げ、「核廃絶」に力を注いだ。創価学会内部に反発の声があるという。自民の暴走を止めるブレーキ役を任じてきた同党が一線を超えた。与党のいすに留まりたい政治判断であろう。「平和の党」の看板が泣いている。「自公合意」の同じ紙面に杉田水脈総務政務官がLGBT、アイヌ民族を侮辱する発言を「謝罪、撤回」の記事。誠意がまったく伝わらない。本音は変わらないだろう。政府の要職の適任であるはずがないが、岸田首相は「更迭拒否」。モラル・ハザードは政治のいたるところに及び腐敗が進んでいる。
「防衛費27年度GDP費2%」確保を岸田首相が防衛、財務大臣に指示した。「防衛費5年で43兆円 首相、来週にも判断」の見出しも踊る。5日は「増税先送り」の記事も載った。いまだ防衛3文書が示されず防衛強化の是非、防衛予算の国会議論もないまま、首相が「GDP2%確保」を大臣に指示する。戦争準備に国民の血税を膨大に注ぎ込みながら、財源の見通しもない。財政規律も国会の審議手続きをも無視し青天井で戦争準備に猛進するさまは、いつか見た光景だ。「目的のために手段を選ばない」安倍元首相の〝負の遺産〟を後継首相が引き継ぐ「行政・首相軍事独裁」のモラル・ハザードがこの国を覆っている。

◇陸自第15旅団 格上げ 事実上の師団化 政府検討 南西防衛強化狙い 連隊2つに 、陸将が指揮(琉球新報 2022.12.4)
◇陸自沖縄部隊を増強 15旅団普通科連隊を増設 有事念頭 中国刺激も(沖縄タイムス 2022.12.4)
◇南西防衛「強化の本丸」 相次ぐ配備 軍事要塞化恐れ 陸自15旅団大規模化(沖縄タイムス 2022.12.4)
◇軍事的リスクさらに 陸自「第15旅団」増強案 防衛省関係者「他国にインパクト」(琉球新報 2022.12.4)
◇さらなる負担増懸念 沖縄陸自強化 県に事前説明なし(沖縄タイムス 2022.12.4)
◇「沖縄防衛師団」名称案も 軍事介入準備にに 布施祐仁氏 (琉球新報 2022.12.4)
◇専守防衛からの逸脱だ 「反撃能力」自公合意 (沖縄タイムス 2022.12.4)
◇社説 隣国との信頼醸成が先だ(琉球新報 2022.12.4)
那覇市に司令部を置く「陸上自衛隊第15旅団」を大幅増強、格上げし、「事実上の師団化」とするという。「指揮官の階級を陸将補から最上位の陸将補に格上げ」。「師団は作戦の基本単位」であり、陸将への格上げで「米軍第3海兵遠征軍の司令官と同格になる」(琉球新報)という。台湾有事に対処する「日米の軍事連携は一層加速」(同)。台湾有事「日米共同作戦」実行に向けた臨戦体制の布陣ではないか。
そう憂える矢先、ノーモア沖縄戦の会共同代表・石原昌家沖国大教授の講演を聞く機会があった。米国、韓国とも結び米国の軍事帝国戦略を批判し反戦平和で連帯するZENKOの那覇スピーキングツアーでの講演である。
配布資料によると「日本軍が北緯30度線以南に第32軍という南西諸島防衛の軍隊を1944年3月に創設」。瞬く間に県民総動員で軍備を整え、1年後の45年4月、米軍を迎え撃つ沖縄戦に突入した。別の資料によると沖縄戦の31年前の1914年、日本軍が沖縄戦と酷似する軍事演習を行っていた、という。14年1月の琉球新報記事によると「演習は『進入軍』が本島中部に上陸し、一部は北部へ、主力部隊は南部へ侵攻する想定」、「日本軍が首里に本拠を置き、敵の進軍を食い止めるため宜野湾や浦添で迎え撃った」とされる。31年後の沖縄戦で第32軍は首里城地下壕に司令部を置いた。米軍の本島中部上陸からその後の戦況の推移は、酷似どころか14年の軍事演習そのままだ。
昨今の日米共同統合演習について石原教授は「演習の後には本番がある」と沖縄戦の歴史を振り返る新報記事でコメントしている。
沖縄の「軍隊」は1876年明治政府が置いた熊本鎮台沖縄分遣隊が最初だ。79年、分遣隊の武力で沖縄県を設置する琉球処分を断行した。96年、分遣隊は撤退する。沖縄は軍備の「空白地帯」となったが、1934年、「沖縄ノ国防上ノ価値極メテ重要」とする「沖縄防備対策」が提起された。それから10年、沖縄は文字通り全島要塞の軍備の島と化し、本土の防波堤となり果て、20万余が犠牲となった。
台湾有事が騒がれる今、防衛大臣は「沖縄は日本防衛の最前線」の発言を繰り返し、「空白地帯」の先島を中心に沖縄・南西諸島のミサイル要塞化を進めてきた。「軍隊は住民を守らない」ことが沖縄戦の教訓とされる。しかしそれ以上に、「軍隊があるところで戦争は始まる」、「演習の後に戦争の本番がある」ことを胸に刻む必要がある。歴史を繰り返すわけにはいかない。

11月28日(月) http://nomore-okinawasen.org/4031/
◆自公「反撃力」合意へ 週内にも、攻撃対象詰め(琉球新報 2022.11.28)
◆反撃能力 賛成60% 財源「別の予算削減」最多(琉球新報 2022.11.28)
◆社説 日米一体化 基地負担は増すばかり(沖縄タイムス 2022.11.28)
◆麻生氏「海保予算含め防衛費増を」(沖縄タイムス 2022.11.28)

11月29日(火)  http://nomore-okinawasen.org/4044/
◆ミサイル配備 阻止へ連帯 うるま 市民の会発足、130人参加(琉球新報 2022.11.29)
◆ミサイル配備に反対 うるま市民の会発足 (沖縄タイムス 2022.11.29)
◆防衛費 27年度 GDP2% 首相、防衛・財務省へ指示(沖縄タイムス 2022.11.29)
◆「戦争回避の外交を」 ND提言 台湾有事の沖縄犠牲(琉球新報 2022.11.29)
◆社説 危険性を冷静に考えよう(琉球新報 2022.1129)

11月30日水) http://nomore-okinawasen.org/4056/
◆空自 宮古空港使用へ ブルーインパルス 下地島使わず(琉球新報 2022.1130)
◆下地島空港利用「県協力へ努力」 防衛相、自衛隊活用で(琉球新報 2022.11.30)
◆陸自の住民投票 原告「諦めない」 那覇地裁 次回結審も(沖縄タイムス 2022.11.30)
◆日米統合演習 再び戦場にされる沖縄 住民保護 対応なおざり 国際法の利用 生き残る術(沖縄タイムス 2022.11.30)
◆米軍訓練移転を容認 馬毛島 鹿児島知事が表明(琉球新報 2022.11.30)
◆防衛にコロナ・外為剰余金 政府、財源捻出で調整開始(沖縄タイムス 2022.11.30)
◆防衛費増「安定財源を」 財政審提言 増税は触れず(琉球新報 2022.11.30)
◆防衛費増へ折衝本格化 増税阻止へ自民大合唱 財源の着地点見えず(沖縄タイムス 2022.11.30)
◆論壇 土地規制法の全面施行 日常生活の侵食 懸念も(琉球新報 2022.11.30)

12月1日(木) http://nomore-okinawasen.org/4081/
◆論壇 沖縄を戦場にさせないために 「台湾有事」を起こさせない (琉球新報 2022.12.1)
◆ミサイル想定 県内初訓練 国民保護計画 与那国町民が避難(沖縄タイムス 2022.12.1)
◆参加住民「備えが大事」 与那国 サイレン鳴る中避難 外交努力求める声も(沖縄タイムス 2022.12.1)

12月2日(金)  http://nomore-okinawasen.org/4103/
◆展示飛行 宮古空港使用 県が空自の使用届を受理(沖縄タイムス 2022.12.2)
◆安保3文書 改定抗議 県統一連「新たな戦争方針」 (沖縄タイムス 2022.12.2)
◆防衛力「説明が重要」 首相 2次補正きょう成立(沖縄タイムス 2022.12.2)
◆自衛権行使下で発動 反撃能力 安保3文書に明記へ(琉球新報 2022.12.2)
◆反撃能力の定義判明(沖縄タイムス 2022.12.2)
◆反撃能力保有 公明党が了承 自民ときょう合意(沖縄タイムス 2022.12.2)
◆朝鮮半島周辺の米軍展開を警告 高官「目に見える形に」(沖縄タイムス 2022.12.2)
◆防衛費5年で最大43兆円 政府検討 来年度から 首相、来週にも判断(沖縄タイムス 2022.12.2)
◆社説 健全な財政規律取り戻せ (琉球新報 2022.12.2)

12月3日(土)  http://nomore-okinawasen.org/4132/
◆宮古空港使用 県に抗議 市民団体 空自展示飛行も反対(琉球新報 2022.12.3)
◆空港使用届受理 県に撤回求める 展示飛行で宮古市民団体(沖縄タイムス 2022.12.3)
◆宮古で飛行「許さない」 市民ら空港軍事利用に抗議(琉球新報 2022.12.3)
◆反撃能力保有決定へ 自公合意 安保政策転換(沖縄タイムス 2022.12.3)
◆安保政策の大転換 反撃力保有 自公 行使へのルール緩く(琉球新報 2022.12.3)
◆解説 専守防衛、形骸化の恐れ(琉球新報 2022.12.3)
◆戦争への準備 外交の後ろ盾 県民の評価分かれる 反撃能力保有与党合意(沖縄タイムス 2022.12.3)
◆玉虫色の「自衛権」拡大 公明「抑止」大義に容認 反撃能力保有 与党合意(沖縄タイムス 2022.12.3)
◆与那国町 有事基金創設 島外避難時 町民に支給(沖縄タイムス 2022.12.3)

12月4日(日) http://nomore-okinawasen.org/4157/
◆陸自第15旅団 格上げ 事実上の師団化 政府検討 南西防衛強化狙い 連隊2つに ◆陸将が指揮(琉球新報 2022.12.4)
◆陸自沖縄部隊を増強 15旅団普通科連隊を増設 有事念頭 中国刺激も(沖縄タイムス 2022.12.4)
◆南西防衛「強化の本丸」 相次ぐ配備 軍事要塞化恐れ 陸自15旅団大規模化(沖縄タイムス 2022.12.4)
◆軍事的リスクさらに 陸自「第15旅団」増強案 防衛省関係者「他国にインパクト」(琉球新報 2022.12.4)
◆さらなる負担増懸念 沖縄陸自強化 県に事前説明なし(沖縄タイムス 2022.12.4)
◆「沖縄防衛師団」名称案も 軍事介入準備にに 布施祐仁氏 (琉球新報 2022.12.4)
◆専守防衛からの逸脱だ 「反撃能力」自公合意 (沖縄タイムス 2022.12.4)
◆社説 隣国との信頼醸成が先だ(琉球新報 2022.12.4)
◆降下訓練で変節 市長姿勢正す うるま市議会野党(沖縄タイムス 2022.12.4)
◆B21 米軍が初公開 核搭載可、ステルス性高く(琉球新報 2022.12.4)

文責:新垣邦雄(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 発起人)

(以下は再掲です)
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