編集後記:野良ネコとサルのランデブー

梶山天

地球上の人間、そして動物でもそうであろうが、みんな仲良しというのが一番だと思わせるほのぼのとした光景に出くわしたことがある。3年前の5月下旬のことだ。野良ネコと野生のサルがいい感じなのだ。とにかく夢中でカメラのシャッターを切った。

栃木県日光市野口の青々とした稲の苗が初夏の風に揺れる田園地帯の一角に、金属加工業の寺山一昭さん(当時71)宅がある。その庭には、10年ほど前に飼い始めたネコが歩いて運動できるよう、高さ約1.7㍍、上下2段の「キャットウォーク」がある。

さあ、ご覧あれ。

「ええっ、なんだこの光景は?」。キャットウォーク上段に寝そべって、手招きしたり、下段の野良ネコをじっと見つめていたりするのがサルの方だ。どうもまだ子供のようだ。一方、サルのしぐさに応えるように、うっとりとした瞳で見つめ返しているのがいつの間にかそこにいついたという野良ネコとか。

どれどれ、もうちょっと2匹の距離が近づくといいアングルになると思った瞬間だった。この2匹は「ねぇ、そこのおじさん、私たちはラブラブなのだからきちんと撮ってよね」と言わんばかりに私の目の前で2匹がピタリと寄り添ってこっちを向いてポーズをとったからたまらない。思わず「サンキュー」と声を上げて親指を立ててしまうほど興奮した。

私が写真を撮る数日前にサルが初めて現れたと寺山さんは説明する。その際、元々姿を見せていた野良ネコに恐る恐るサルが近づいたところ、いきなり「ネコパンチ」をくらって威嚇されたという。

それでもサルは諦めきれず、寝そべって手招きしたり、踊ったり。まるで、気に入ってもらおうとしているかのように、必死にアピールしたという。すると、ネコも静観するようになって、互いの距離は日に日に縮まり、見つめ合うようになったという。

そんな様子を寺山さんは、妹の敦子さん(同66)と窓越しに観察してきて、目が離せなくなった。「眠り猫」と「三猿」の彫刻で知られる世界文化遺産・日光東照宮の地元とあって、市民たちも温かく見守っていた。

日光市内では、店に入っていたずらするサルもいるが、野良ネコのそばでしおらしくしているサルもほっこりと温かいムードを演出してくれている。

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梶山天 梶山天

独立言論フォーラム(ISF)副編集長(国内問題担当)。1956年、長崎県五島市生まれ。1978年朝日新聞社入社。西部本社報道センター次長、鹿児島総局長、東京本社特別報道部長代理などを経て2021年に退職。鹿児島総局長時代の「鹿児島県警による03年県議選公職選挙法違反『でっちあげ事件』をめぐるスクープと一連のキャンペーン」で鹿児島総局が2007年11月に石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞などを受賞。著書に『「違法」捜査 志布志事件「でっちあげ」の真実』(角川学芸出版)などがある。

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