【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第23回 『朝日新聞』批判 ─イベルメクチンは有害・無益 !?③:朝日新聞は自社「論座」の記事を無視するのか

寺島隆吉

私は前節および前々節で、朝日新聞が「感染爆発のインド、日常戻る」 「新規40万→3万人、外食再開」という5段抜きの記事を載せながら、結論として「明確な要因不明」と結んでいることを批判しました。

というのは、同じ朝日新聞が「論座」(2021-06-18)で次のような記事を載せて、インドでイベルメクチンが果たした大きな役割をハッキリと認めていたからです。

(1)馬場錬成「コロナ患者が急増したインドでイベルメクチンをめぐり論争──使用に慎重なWHO幹部をインド弁護士会が『告発』する騒ぎに」
https://webronza.asahi.com/science/articles/2021061500004.html

朝日新聞としては「上記の馬場錬成氏の論文はあくまで個人的な見解で本社としての意見ではない」と言い逃れをできるかも知れません。が、同じ朝日新聞なのに、これほど違った見解を載せるというのは、いかにも不自然です。

しかし調べてみると、もっと不自然なのは、同じ「論座」が、上記の馬場論文が載る以前の2021年2月15日に、次のような論考を載せていることです。

(2)黒川清「大村博士発見のイベルメクチンにコロナパンデミックを終息させる可能性──世界各地から『効果あり』の報告、日本はもっと積極的に取り組むべき」
https://webronza.asahi.com/science/articles/2021020700003.html

(1)の馬場論文は「インドでイベルメクチンをめぐり論争──使用に慎重なWHO幹部を弁護士会が『告発』する騒ぎに」となっていて、題名上は「論争」になっているのですが、(2)の黒川論文は「世界各地から『効果あり』の報告」と、イベルメクチン効果を明確に認める内容になっています。

それどころか、 「日本は(イベルメクチンを使用できるよう)もっと積極的に取り組むべき」という積極提言すら行っているのです。それに比べれば、4カ月後の(1)は姿勢が少し後退したとも言えます。

それでも内容的にはイベルメクチンの効果をはっきりと認めています。だからこそ副題を「使用に慎重なWHO幹部をインド弁護士会が『告発』する騒ぎに」としたのでしょう。

それと比べれば、朝日記事の「感染爆発のインド、日常戻る」 「明確な要因不明」という結論は、いかにも不自然です。外部からどのような圧力があって、このように姿勢が後退したのか、という疑問が自然に湧いてきます。

この疑問を裏付けるかのように、黒川論文はインドの事例だけでなく、アメリカおよび中東やアジアの事例も挙げています。

まずアメリカですが、黒川氏は「米国の医師グループの驚くべき報告として次のような事実を挙げています。

2020年12月8日、アメリカ上院の国土安全保障と政府問題に関する委員会で証言に立った「新型コロナ救命治療最前線同盟」(FLCCC=Front Line COVID-19 Critical Care Alliance)代表のピエール・コリー(Pierre Kory)博士は、 「政府機関は早急にイベルメクチンの効果を評価し、処方を示すべきだ」と迫った。

アメリカを中心としたこの医師団は、昨年春から世界中で使用されているイベルメクチンの臨床試験の情報を集めて分析し、Web上で公表してきた。

委員会でのコリー代表の発言は衝撃的だった。イベルメクチンを投与した臨床試験の成果の部分だけを挙げてみる。

①患者の回復を早め軽症から中等症の患者の悪化を防ぐ。
②入院患者の回復を早め、集中治療室(ICU)入室と死亡を回避させる
③重症患者の死亡率を低下させる
④イベルメクチンが広く使用されている地域では、コロナ感染者の致死率が著しく低いなどだ。

さらに、過去40年間にわたって抗寄生虫薬として処方されたイベルメクチンの副作用は極めて稀であり、あっても軽度であったこと、さらに世界保健機関(WHO)はアフリカなどに対する「必須医薬品リスト」にイベルメクチンを入れてきたことなどをコリー会長は強調した、と黒川氏は述べています。

そのうえで黒川氏は、イベルメクチン効果を示すアメリカ以外の事例として、本節の冒頭に載せた表を掲げていました。

世界各地から「効果あり」の報告、日本はもっと積極的に取り組むべき(出典:「論座」2021年2月15日)

この表では、エジプト、イラク、インド、バングラディシュ(2カ所)、アメリカで臨床試験が行われ、患者数は400名から72名と多岐にわたっています。

また投与量と頻度も、1回0.4㎎/㎏だけのものから、入院(9日間)時に12㎎のみ、あるいは1日
12㎎を5日間など、多岐にわたっています。0.2㎎/㎏を他の薬と併用したものもあります。

しかし、臨床結果は歴然としています。

最後のバングラディシュの事例では、入院時にたった1回12㎎を水で飲んだだけなのに入院期間は9日間で死亡率は0.9%でした。他方、ほかの薬の場合15日間も入院していて、死亡率も約7倍の6.8%だったのです。

このように、イベルメクチンの効果は歴然としているのに、どういうわけか朝日新聞の記事では、 「明確な要因不明」となっているのです。

ところが、もっと不思議なことは、朝日新聞の週刊AERA(2021-05-26)が次のような記事を載せ、やはり、インドにおけるイベルメクチン効果を確認していたことです。

(3)花木秀明氏インタビュー:日本発「イベルメクチン」──インドがコロナ治療で感染者数減もWHO「反対」のナゼ
https://dot.asahi.com/dot/2021052600033.html

この記事はAERA編集部の飯塚大和氏が北里大学大村智記念研究所感染制御研究センター長の花木秀明氏にインタビューをするというかたちになっています。

御覧のとおり(3)は5月26日付けですから、時期的には先に挙げた(1)と(2)の中間に発行されたことになります。しかし内容的には、イベルメクチン効果を全面的に擁護するものとなっているのです。

たとえば、花木教授は、インドだけでなく南米やアフリカでも効果が上がっていることを次のように説明しています。

実はインドだけではなく、ペルーでも投与に踏み切った州は効果が出ています。イベルメクチンが投与された8州と、投与が遅れたリマ州とでは、発生数と死亡者数に歴然とした差があります。

投与後は、新規感染者が10分の1から15分の1まで減少したのです。その後に大統領が変わって、ペルーでは投与しない方針に転じましたが、再び感染者数が急増し、元の木阿弥になってしまいました。

──ほかに効果が表れた国はありますか。

アフリカ諸国です。元々、イベルメクチンのコロナへの効果が注目される端緒になったのはアフリカでした。アフリカは医療体制が整っていませんが、国によっては感染者数が思ったほど増えていない。

細かく見ていくと、イベルメクチンを配った国は感染者が少なく、配っていない国は感染者が多かったのです。

数字で示すと、アフリカで「投与ありの国」の感染者数は、10万人当たり131人で、 「投与なしの国」が925人。死亡者数は、投与国が10万人当たり2.1人で、投与していない国は28.4人と、13倍以上の開きがあります(馬場錬成先生のデータ)。差は歴然です。

 

このように見てくると、朝日新聞の「論座」や「AERA」は一貫してイベルメクチンの効果を擁護しているのに、 「論座」や「AERA」よりもはるかに読者層が大きい朝日新聞本体(2021-09-19)が、それにブレーキをかけるという不思議な構図になっているのです。

私が先に、 「外部からどのような圧力があって、このように姿勢が後退したのか、という疑問が自然に湧いてきます」と述べたのは、以上の理由によります。

このような疑問を持っていたら、アメリカの元財務次官であるポール・クレイグ・ロバーツ(PCR:Paul Craig Roberts、経済学博士)が次のような論考を書いていることを発見しました。

(4)The Powerful Case Against COVID mRNA Vaccine「イベルメクチン。COVID mRNAワクチンの効果に関する強力な反証」((7 Sep, 2021))( 『翻訳NEWS』2021-09-10)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-656.html

それを以下で説明しようと思ったのですが、少し長くなってきたので、それについては節を改めて紹介することにします。

(寺島隆吉著『コロナ騒ぎ謎解き物語2—[メディア批判]赤旗から朝日まで 私たちはガリレオ時代に戻ってしまうのだろうか』の第3章第3節から転載)

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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