【連載】週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!

G7広島サミットの評価は?/「有意義でした」の市民の声あり「がっかり」「失敗」被爆者の声/ゼレンスキーさんご招待は良かったのかねえ???

鳥越俊太郎

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この辺で先のG7広島サミットのことをちょっと考えてみたい。華々しく,賑ぎ賑ぎしく岸田さん、ぶち上げてたけど、ほんとのところはどうだったのかな?ってんで新聞ちょいとばかり漁ってみました。
私自身は今回のサミットには、特に岸田首相の立ち振る舞い、言動に疑問を抱いているので、公正を期すため先ずは、有意義論者の意見から始めよう。

5月27日の毎日新聞投書欄で一つ見つけた。全文載せよう

「有意義だった G7サミット」
無職 本田 政嗣76(新潟県)

「広島市での主要7カ国首脳会議(G7サミット)が終わった。ウクライナのゼレンスキー大統領が招待され、G7や新興・途上国のグローバルサウスの首脳と会談したことは、とても意義があった。
岸田文雄首相は閉幕後の記者会見で「G7とウクライナの揺るぎない連帯を示すとともに『法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序』を守り抜く決意を新たにするとのメッセージを力強く示せた」と述べた。ロシアが反発の声明を出したのは、ゼレンスキー氏の招待が有意義だった裏付けといえるのではないか。

ゼレンスキー氏が多くの首脳と直接、会う機会を設けることができたのは大きな成果だ。今後、ロシアが核兵器を使うことなく、撤退することになれば日本の果した役割は高く評価されることになるだろう。ウクライナに平和が戻り、広島のように美しい街が復興されることを祈っている」

広島G7サミット 万歳!
岸田首相 万歳

現に戦争をしている国の大統領敢えて言えば両手血だらけの人に10万を超える魂を守っている鎮魂の街、広島には来てほしくない。
これが私も含めてあの戦争のことを記憶し、二度と戦争はいやだという人達の気持ちだと思う。
推測はやめて、じゃあ関係者は今回の広島G7サミットの事、どう思っているのかな?新聞を念入りにチェックしてみた。
22日付けの毎日新聞朝刊の社会面。

「『がっかり』『失敗』被爆者手厳しく」

広島県原爆被害者団体協議会(被団協)の佐久間邦彦理事長は
「さまざまな国の首脳が原爆資料館に行ったのは良かった。しかし、核兵器廃絶に向けての実質的な議論が進んでいないと感じ、がっかりした」
と落胆した。

カナダ在住で被爆者で広島滞在中のサーロー節子さん(91)は記者会見し、G7サミットについて
「大変な失敗だったと思う。核軍縮に関して市民と政府が一緒になって前進させようという気運が生まれただろうか。
私はそれを感じていない」
と批判した。

G7首脳が合意した核軍縮の『広島ビジョン』には『核兵器禁止条約などの大切なものがなかった』と振り返った。
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は記者会見を開き「核廃絶への期待は裏切られた」と憤った。

木戸季市事務局長(83)は「核抑止(の前提)に立った議論がされ、戦争をあおるような会議になった」と述べた。核軍縮に向けた議論よりゼレンスキー氏の言動に注目が集まったことに失望が広がり、児玉三智子事務局次長は「武器の供与(の約束)を広島でしてほしくなかった。兵器で命は守れない」と話した。

これはアメリカ大統領(バイデン大統領)がウクライナにF16戦闘機を供与し、戦闘機乗組員の訓練も行うことも含んでいる。これは戦闘機の供与には否定的だった米国の大きな方針転換だと言われ、ロシアに対するウクライナの領土奪回の後押しを意味するという。軍事評論家によってはこれで戦況が変わる可能性があるという。
そんな重大な話を我が広島の地ではしてほしくはなかった。広島市民の率直な気持ちだろうな。

朝日新聞はどうかな?
同じ5月22日付けの社会面。あるねえ!
「核なくす願い 踏みにじった」

3段の見出しで今回のG7サミットに対する三者の受け止め方が紹介されている。
元広島市長
「岸田首相はヒロシマの願いを踏みにじった」
元広島市長の平岡敬さん(95)は憤りを隠さない。
「広島に集まるならば核を全否定し、平和構築に向けた議論をすべきだった」

しかし、G7首脳が19日に出した核軍縮・核不拡散に関する「広島ビジョン」では核抑止力維持の重要性が強調された。
「一貫して核と戦争を否定してきた広島が、その舞台として利用された。議長国・日本の岸田首相は罪深い」と指摘する。
ここは重要なところなので少し分かり易いように説明しておこう。
核戦争を抑止、つまりできないように互いに核兵器を持っておこう。核抑止力の話では核廃絶には絶対に行きつかない。
今回の広島サミットでは核廃絶の話にはなっていない。広島の元市長、平岡さんが怒るわけだ。

さらにゼレンスキー氏が招かれ、G7首脳との間で、軍事的な支援の強化が約束された。

「中国とロシアに対して、西側諸国の結束をアピールしたいだけだ。
1日も早い停戦と戦後復興について話合ってほしかった。」

続いて登場は平和を願う若者 高橋悠太さん(22)

ゼレンスキー氏の広島訪問について「『平和を追求するために戦わなければいけない。そのために支援してくれ』という筋書きが完璧に出来上がっている」と危機感を強める。
広島県出身で、核兵器廃絶を目指す若者らの団体「カクワカ広島」の共同代表を務める。「広島ビジョン」は核兵器の存在を容認する内容だった。「一体何のために被爆地・広島でサミットやったか分からない」と怒りを口にした。

3番目の登場は 被爆者この女性は毎日新聞でも取り上げていたカナダ在住のサーロー節子さん(91)

20日に発表されたG7首脳声明を読み失望した。
「これだけしか書けないのか。死者に対しての侮辱だ」。
核兵器禁止条約についても、声明は一言も触れなかった。
「サミットは大変な失敗でした」

私の意見。まあ、サミット。首脳会談の中身はどうだっていいや、勝手にやってろ!だけどゼレンスキー訪日だけは許せんばい!岸田さんがゼレンスキーを招待した目的はただ一つ。なんとか支持率を上げたい、ただそれだけ。おそらくそうなるだろう。毎日新聞の世論調査で、30%切った時期もあった岸田政権。直近の毎日新聞世論調査では50%超えてきたから恐ろしいもんだなあ。岸田首相は最初は「異次元少子化対策」とか「新しい資本主義」とか訳分からんことを言っていたが、そんな謳い文句はどこへやら。今では支持率上げることだけが岸田政権の目的と化しているから恐ろしいもんだなあ。
で、ゼレンスキー招待は当然ながら岸田さんの言い出しっぺで、費用は当然ながら我々国民の税金だろうね。ぜレンス滞在費交通費全部でいくらくらいかかったのかね??

さて、最後にもう一つ広島サミット論の記事を読んでいただきたい。

「広島サミット再論」(土器)

著者は毎日新聞の記者(専門編集委員)、伊藤智永さん。私がかねてより毎日新聞随一の書き手と目する記者だ。この人のコラム、エッセイはいつ見ても心惹かれる。
ただ知り合いの記者から「この人には会わない方がいい。癖があるから」と言われた。言われれば言われるほど会ってみたいけど!
原稿の3分の2は広島で被曝した論客、政治思想史家、丸山真男さんの話だが、このくだりは長いので省略。最後の2文節、サミットに触れた部分を再掲する。

「サミットは広島で開かるべきだったのか。へそ曲がりと言われようと、ウクライナへのF16戦闘機供与が最大の「成果」で、原爆慰霊碑に献花する光景の後、戦闘機発進の映像を繰り返し見せられれば、もの言わぬヒロシマに、本望かと尋ねたくなる。ゼレンスキー氏が「人影の石」を引いて自国の戦禍を広島になぞらえ涙したと聞けば、分かっていないじゃないかと呼び止めたくなる。
岸田文雄首相に「逃げるんですか」と広島開催の欺瞞を問う記者がいた。首相も核抑止と廃絶を併記したご都合主義を自覚しているから振り返ったのに違いない。
長男の首相秘書官が公邸で将来の「組閣ごっこ」に興じたのは、防衛大増税を閣議決定した1週間後。やはり広島ブランドで議員になる気だろう」

政治部、経済部、ジュネーブ特派員で現在編集員。「時の在りか」というコラムを担当していたが、今は「土器」のタイトルで。1986年毎日新聞入社だそうで、1965年入社の私とは21年の年差がある。というより1962年生まれだそうで、私が毎日新聞入社の3年前に生まれた勘定だ。

歳の差は22年。生きていた時代が大分違うようだが、原稿を読む限りは時代差は感じない。生まれ地はどこかな??

(2023/5/29)記述

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鳥越俊太郎 鳥越俊太郎

1940年3月13日生まれ。福岡県出身。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、同社を退職。1989年より活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」キャスターやコメンテーターとして活躍。山あり谷ありの取材生活を経て辿りついた肩書は“ニュースの職人”。2005年、大腸がん4期発覚。その後も肺や肝臓への転移が見つかり、4度の手術を受ける。以来、がん患者やその家族を対象とした講演活動を積極的に行っている。2010年よりスポーツジムにも通うなど、新境地を開拓中。

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