メールマガジン第87号:南西諸島軍事強化トピック(12月19日~12月25日)
ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会メルマガ琉球・沖縄通信◇軍拡「危機高めるだけ」 安保関連講演会 反撃拠点化を懸念 沖縄「対中戦争 前線に」(琉球新報 2022.12.19)
◇「民主主義が形骸化」安保3文書手続きで海渡弁護士 大軍拡 沖縄標的に懸念(沖縄タイムス 2022.12.19)
◇達眼 安保3文書 侵略なりかねぬ「反撃」 高良沙哉氏(沖縄タイムス 2022.12.19)
台湾有事「日米一体の戦争態勢」完成形に
米バイデン政権が発足した昨年1月以降、この2年間で世界、日本は大転換した。バイデン政権が音頭を取って「中国敵視・排除」の日米・NATOによる軍事・経済の米・欧・日を中心とする覇権維持体制が急速に進み、本年末の政府「軍事(防衛)3文書」により日本は敵基地先制攻撃の懸念をはらむ軍事方針に大転換した。安倍政権下の安保法制、日米ガイドライン、軍事3文書により、台湾有事で共に戦う「日米一体の戦争態勢」が法制と軍備の両面で完成形となった。水面下で進む「日米共同作戦」戦争シナリオにより、自衛隊が「自動参戦」(共同通信・石井暁記者)する沖縄を戦場とする日米中の戦争が現実的に予想される事態となった。開戦、共同対処の指揮権は米国が握っている。
◇弾薬予算4倍 8千億円 主要装備優先見直し 長射程ミサイル経費含む(沖縄タイムス 2022.12.20)
◇補給拠点 沖縄市に検討 陸自 弾薬など備蓄想定(沖縄タイムス 2022.12.23)
◇沖縄市に陸自補給拠点 防衛相検討 有事念頭に弾薬集積(琉球新報 2022.12.23)
◇離島防衛ミサイル505億円 防衛省予算案 訓練交付金創設(沖縄タイムス 2022.12.21)
◇与那国陸自 施設拡大 ミサイル部隊配備検討(沖縄タイムス 2022.12.24)
◇与那国にミサイル部隊 防衛省方針 駐屯地費用を計上(琉球新報 2022.12.24)
◇進む「軍事要塞化」 周辺国 挑発の恐れ 与那国にミサイル検討(沖縄タイムス 2022.12.24)
◇説明なく配備加速 県「外交はどこへ」 与那国駐屯地 18万平方メートル拡張へ(沖縄タイムス 2022.12.24)
戦争準備に雪崩打つ
雪崩を打って大軍拡、戦争準備が進んでいる。政府は新年度防衛予算で「長射程ミサイル含む弾薬経費8288億円」を組む。近年の4倍にも上る。すぐに使える米トマホーク取得費は2113億円。「一発1億円~2億円」(産経新聞)と言われ、1千発から2千発を米国から爆買いする。アメリカの軍需産業は笑いが止まらないだろう。軍事文書は「継戦能力の強化」をうたい、ミサイル弾薬は全く足りない、と言われているので爆買い、ミサイルの大量生産配備は天井知らずに膨れ上がるだろう。オースティン米国防長官はレイセオンなど米軍需企業の役員を務めていた。米軍需企業数十社のCEOに極超音速ミサイルの開発を急ぐよう促したとの報道もあった。軍事3文書で極超音速ミサイルの開発も決まった。米国からのミサイル爆買いが続くだろう。バイデン大領領は軍事3文書を「(日米)統合抑止を支持」と諸手を挙げて喜んだ。
米から爆買い、独自に大量生産する中国に届く長射程ミサイルは平時、戦時に沖縄南西諸島に持ち込まれる。有事即応のミサイル弾薬の備蓄・補給拠点を沖縄市の自衛隊施設に置くと防衛省が発表した。米軍嘉手納弾薬庫の自衛隊共同使用も日米合同委員会で合意されている。陸自地対艦ミサイル部隊が配備される、うるま市勝連陸自駐屯地からほど近い。戦時下で敵ミサイルの標的となるミサイル基地、大量のミサイル弾薬庫と、うるま市、沖縄市民は寝起きを共にすることになる。
玉城知事、厳しいまなざし
与那国島の陸自基地へのミサイル部隊配備が明らかになった。火薬庫(ミサイル弾薬庫)も整備する。台湾から110㌔の至近にある与那国島は「全島民の事前避難」の可能性もあると軍事専門家・小西誠氏は見ている。実際、戦時に住民の犠牲は免れないだろう。当地に暮らす方々の心中思うといたたまれない。
沖縄県、玉城デニー知事は与那国へのミサイル部隊配備を危惧し、長射程ミサイルの沖縄配備について「敵基地攻撃能力は保有できないというのがこれまでの政府の姿勢だった」と批判、憲法との関連含め、政府を「けん制」(タイムス)と報じられた。
ノーモア沖縄戦の会は県管理空港・港湾の自衛隊による使用やミサイル沖縄配備について県知事の見解をただす質問状を出し、県知事公室長と会談した。この中で公室長は、与那国島へのミサイル部隊配備、長射程ミサイルの沖縄配備を批判し、否定的な見解を述べている。玉城知事は基本的に日米安保体制、自衛隊を容認する立場だが、過剰な防衛強化に対し厳しい姿勢で臨む構えをうかがわせている。「沖縄を二度と戦場にしない」ことを公約に掲げる玉城知事が、年明け以降、どのような見解を打ち出すかが注目される。
◇ミサイル配備 説明を 石垣市議会が意見書可決(琉球新報 2022.12.20)
◇社説 石垣「ミサイル」意見書 地元の不安に向き合え(沖縄タイムス 2022.12.21)
3文書の決定「非常に残念」 玉城知事 (沖縄タイムス 2022.12.20)
◇沖縄の軍備強化「不合理」 知事、有事回避発信訴え 緊張緩和へ独自外交(沖縄タイムス 2022.12.21)
◇県、自治体外交展開へ 知事表明 戦争回避の一助に(琉球新報 2022.12.21)
◇安保3文書を読み解く 政策転換への批判なく 佐藤学氏(琉球新報 2022.12.21)
◇達眼 抑止破綻で沖縄戦場に 半田滋氏(沖縄タイムス 2022.12.21)
◇社説 「真の平和」実現に決意新た (琉球新報 2022.12.25)
◇クリスマスの祈り 具志堅隆松(琉球新報 2022.12.25)
地殻変動
玉城県知事が長射程ミサイルに厳しい目を向けていることと並行して、近く陸自地対艦ミサイル部隊が配備される石垣市でも変化が起きている。保守系市長は陸自部隊を容認。多数与党も同調してきた。しかし今回、長射程ミサイルの配備計画が明らかになったことで、野党提出の意見書に保守議員の一部も相乗りして賛成多数で可決した。野党提出の意見書は「敵基地攻撃能力保有」により「自ら戦争状態を引き起こす」などと指摘。これに保守議員が賛同したのだ。同様の地殻変動は与那国町でもある、と耳にする。ミサイル戦争の危機が目前に迫る中で、ミサイル部隊配備を容認してきた議員、政治家、市民の間から過剰な軍備を懸念し反対する動きにつながる可能性が出てきた。
防衛ジャーナリスト半田滋氏が端的に軍事3文書の問題点を指摘した。「自衛隊が米国と戦う相手に対し、敵基地攻撃能力をもって参戦できることとした」。
「バイデン米大統領は台湾防衛を明言」。3文書は沖縄防衛強化を打ち出すが「抑止が敗れたときに沖縄は戦場になる」。「基地周辺に住む住民が巻き込まれるのは確実」。
「十分な住民避難はできるはずがない。政府は1人の住民も死なせない方策を考えるしかない。それは戦争をしないことに尽きる」
外野から見ている国民
沖縄で戦争が起きることを想定して政府は戦争準備を進めている。県民の多少の犠牲はやむを得ない、と考えている。疑念は確信に変わった。国民はどう見ているだろう。
日々の紙面を戦争準備と反対する県民の声、論壇が埋めている。このような「声」があった。「沖縄県の犠牲の上での日本国防の政治は、最悪の国防施策と言うしかない」「外野から見ている国民は、どういう心境でいるのだろうか」(那覇市、88歳女性)。
政府の防衛強化、敵基地攻撃に賛成する国民は、沖縄が犠牲になることをどう考えているのだろうか。日本を守る、日本の国益に県民の命は入っていないのだろうか。
戦争が産んだ子
今年一番、衝撃を受けたのは次の「声」だ。
沖縄戦のおびただしい犠牲で「県の人口構成は大きく変わった」。「戦争がなければ、現県民の多くは生まれていない。多数が戦争が産んだ子なのである」(豊見城市、71歳男性)という。戦争が無ければ多くが死なずに済んだ、というのではない。生き残ったわれわれも「戦争が産んだ子」だと言うのである。
私の両親は命からがら生き永らえて私たち子供を産んだ。死線を越えて命をつないだのだ。祖父母は4人ともいない。私がここにいるのは、ある意味、奇跡かもしれない。「声」はそれを「戦争が産んだ子」と呼んでいる。
政府は過ちを繰り返そうとしている。国民は傍観している。「身捨つるべき祖国はありや」と慨嘆せざるを得ない。「声」は「戦争に勝ちも負けもない。破壊と殺戮しかない」、「喉元過ぎれば熱さを忘れた愚鈍な指導者を持って悲しい」と結んだ。
平和の配当
当会共同代表、具志堅隆松氏は「クリスマスの祈り」を投稿した。具志堅氏の投稿と上記の「声」2本はいずれも12月25日に載った。沖縄県民が平和の配当を求めるのは不当な要求ではない。
12月19日(月)http://nomore-okinawasen.org/4506/
軍拡「危機高めるだけ」 安保関連講演会 反撃拠点化を懸念 沖縄「対中戦争 前線に」(琉球新報 2022.12.19)
「民主主義が形骸化」安保3文書手続きで海渡弁護士 大軍拡 沖縄標的に懸念(沖縄タイムス 2022.12.19)
防衛増税 不支持64% 首相説明「不十分」 87% 共同通信世論調査 内閣支持率低迷 33%(沖縄タイムス 2022.12.19)
脅威誇張で過剰増強 布施 祐仁氏(ジャーリスト) (琉球新報 2022.12.19)
安保3文書巡り 札幌でデモ行進(琉球新報 2022.12.19)
反撃能力保有に札幌で抗議デモ「憲法違反」 (沖縄タイムス 2022.12.19)
達眼 安保3文書 侵略なりかねぬ「反撃」 高良沙哉氏(沖縄タイムス 2022.12.19)
軍拡「おかしい」の声を 元山さん、安保文書改定に 思考停止や嘲笑を超え(琉球新報 2022.12.19)
転換期の安保 防衛予算増額 見切り発車 増税議論 波乱含みに(沖縄タイムス 2022.12.19)
12月20日(火) http://nomore-okinawasen.org/4531/
先島避難 1日2万500人 九州へ輸送、完了に10日 国民保護計画 県が試算(琉球新報 2022.12.20)
ミサイル配備 説明を 石垣市議会が意見書可決(琉球新報 2022.12.20)
弾薬予算4倍 8千億円 主要装備優先見直し 長射程ミサイル経費含む(沖縄タイムス 2022.12.20)
政府予算案114兆円台 23年度 防衛増え過去最大 国債依存 変わらず (沖縄タイムス 2022.12.20)
達眼 安保3文書 防衛費増 国民に税負担 前泊博盛氏(沖縄タイムス 2022.12.20)
安保3文書を読み解く 語られぬ戦争回避 柳沢協二氏(琉球新報 2022.12.20)
自衛隊病院に98億円 整備費用 那覇など3カ所(沖縄タイムス 2022.12.20)
自衛隊病院に98億円 来年度予算 那覇など強化方針(琉球新報 2022.12.20)
3文書の決定「非常に残念」 玉城知事 (沖縄タイムス 2022.12.20)
12月21日(水) http://nomore-okinawasen.org/4561/
沖縄の軍備強化「不合理」 知事、有事回避発信訴え 緊張緩和へ独自外交(沖縄タイムス 2022.12.21)
県、自治体外交展開へ 知事表明 戦争回避の一助に(琉球新報 2022.12.21)
離島防衛ミサイル505億円 防衛省予算案 訓練交付金創設(沖縄タイムス 2022.12.21)
南西防衛強化を具体化 防衛相予算案 攻撃対象に現実味(沖縄タイムス 2022.12.21)
南西地域強化「喫緊の課題」防衛相 (琉球新報 2022.12.21)
国民保護計画 見直し「検討」防衛相(沖縄タイムス 2022.12.21)
安保3文書を読み解く 政策転換への批判なく 佐藤学氏(琉球新報 2022.12.21)
達眼 抑止破綻で沖縄戦場に 半田滋氏(沖縄タイムス 2022.12.21)
転換期の安保 海保巻き込み体制強化 南西諸島 対立の最前線に(沖縄タイムス 2022.12.21)
社説 石垣「ミサイル」意見書 地元の不安に向き合え(沖縄タイムス 2022.12.21)
海自イージス艦 トマホーク搭載 改修し運用(沖縄タイムス 2022.12.21)
12月22日(木) http://nomore-okinawasen.org/4593/
「戦争反対」全県組織へ 低調な世論に危機感 市民有志 東京行動や県民大会模索(沖縄タイムス 2022.12.22)
沈黙に向き合う 沖縄戦聞き取り47年 世界連邦は希望の光 東アジアに不戦共同体を (琉球新報 2022.12.22)
12月23日(金)http://nomore-okinawasen.org/4611/
補給拠点 沖縄市に検討 陸自 弾薬など備蓄想定(沖縄タイムス 2022.12.23)
沖縄市に陸自補給拠点 防衛相検討 有事念頭に弾薬集積(琉球新報 2022.12.23)
戦争反対へ全県組織 沖縄最前線化懸念 市民ら準備会(琉球新報 2022.12.23)
安保3文書を読み解く いびつな議論投影危惧 宮城大蔵氏(琉球新報 2022.12.23)
比、南シナ態勢強化へ 中国警戒で軍に指示(琉球新報 2022.12.23)
12月24日(土)http://nomore-okinawasen.org/4632/
与那国陸自 施設拡大 ミサイル部隊配備検討(沖縄タイムス 2022.12.24)
与那国にミサイル部隊 防衛省方針 駐屯地費用を計上(琉球新報 2022.12.24)
進む「軍事要塞化」 周辺国 挑発の恐れ 与那国にミサイル検討(沖縄タイムス 2022.12.24)
説明なく配備加速 県「外交はどこへ」 与那国駐屯地 18万平方メートル拡張へ(沖縄タイムス 2022.12.24)
「ミサイル基地化反対」 うるま市民が総決起集会(琉球新報 2022.12.24)
「国民的議論されず」 安保3文書巡り 知事見解(琉球新報 2022.12.24)
防衛力増強 一挙に 那覇にも地下司令部15旅団を師団に格上げ / 「理解得る」言葉と裏腹 防衛相、既成事実化図る(琉球新報 2022.12.24)
訓練交付金を創設 在沖米基地大半は対象外(沖縄タイムス 2022.12.24)
沖縄市「地元に説明を」 陸自補給拠点検討 情報なく市民ら憤り(琉球新報 2022.12.24)
「反撃能力」配備けん制 知事「国会議論なく問題」(沖縄タイムス 22022.12.24)
防衛費膨張 6.8兆円 自衛隊艦船に建設国債(沖縄タイムス 2022.12.24)
「反撃能力」で6.8兆円 軍拡競争懸念拭えず(琉球新報 2022.12.24)
辺野古経費1912億円 85%増 軍港浦添移設も盛り込む(沖縄タイムス 2022.12.24)
12月25日(日)http://nomore-okinawasen.org/4659/
土地規制法 沖縄から声を 全国初、対策弁護団 「県民監視、弾圧も」(琉球新報 2022.12.25)
社説 「真の平和」実現に決意新た (琉球新報 2022.12.25)
クリスマスの祈り 具志堅隆松(琉球新報 2022.12.25)
新基地断念へ署名開始 オール沖縄 34万人目標、国会提出へ(琉球新報 2022.12.25)
陸自補給拠点 沖縄市に計画 防衛相が言明(沖縄タイムス 2022.12.25)
台湾重視の米国防法成立 過去最高総額114兆円 23年会計年度 職員派遣で対中連携(沖縄タイムス 2022.12.25)
文責:新垣邦雄(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 発起人)
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
ISF会員登録のご案内
「独立言論フォーラム(ISF)ご支援のお願い」の動画を作成しました!
「ノーモア沖縄戦の会」は「沖縄の島々がふたたび戦場になることに反対する」一点で結集する県民運動の会です。県民の命、未来の子どもたちの命を守る思いに保守や革新の立場の違いはありません。政治信条や政党支持の垣根を越えて県民の幅広い結集を呼び掛けます。