【連載】植草一秀の「知られざる真実」

【連載】知られざる真実/川勝知事が異常攻撃受ける理由

植草一秀

『ルネサンスとは何であったのか』(新潮文庫)
で塩野七生氏は
「ルネサンスとは一言で言えばすべてを疑うこと」
と述べている。

暗黒の中世のような暗闇に包まれる現代の日本。

私たちがここから脱却するにはこの言葉を実践するしかない。
私たちの思考、認識、判断が他者によって支配されている。
そのメカニズムの中枢にあるのは「情報」だ。

「情報」がコントロールされると「人心」もコントロールされてしまう。
「人心」をコントロールしたいと考える者は「情報」をコントロールすることを考える。
これが「メディアコントロール」である。

マスメディアとインターネットメディアの二つを押さえると人心のコントロールが可能になる。

この現実に気付かねばならない。

いま情報空間で攻撃の対象になっているのは誰か。
プーチン大統領、鳩山友紀夫元総理大臣、川勝平太静岡県知事。
マスメディアから離れている多くの人々が日々接しているのがインターネットメディア。
インターネットメディアの発達は支配者にとって夢の世界だ。

マスメディアを嫌い、独自にものを考える人が多い時代は厄介だった。
人心のコントロールは容易でなかった。

しかし、マスメディアに触れない人々がこぞってインターネットメディアに接触するようになった。
これまで支配が難しかった層を一気に全体支配できるようになった。
ネットで流布される情報に著しい偏りがある。

実際に支配者は巨大な資本を投じてインターネットメディアが発信する情報をコントロールしている。
そのなかで観察されているのがプーチン大統領、鳩山友紀夫元総理、川勝平太静岡県知事攻撃だ。

理由は明白だ。

プーチン大統領と中国の習近平主席は世界の一極支配を目論むグローバリスト=一極支配主義者にとっての最大の敵である。
ウクライナ戦乱に関してもロシアのプーチン大統領は意義の深い演説を繰り返してきた。
バイデン大統領の主張などとは比べものにならない深い内容を含む情報・主張を発信している。
中国の習近平主席も極めて深い思想を有していると考えられる。
日本を米国の植民地として固定化する上で鳩山友紀夫元総理ほど煙たい存在はない。

かつて石橋湛山総理は米国の支配者から強く警戒された。
同様に警戒されているのが鳩山友紀夫元総理である。

何も考えずにマスメディア、インターネットメディアの情報を鵜呑みにするととんでもない勘違いをしてしまう。
静岡県の川勝平太知事が激しい攻撃を受けている主因はリニアモーターカーへの反対姿勢にある。

リニアモーターカーはJR東海を私物化してきた首魁と言える葛西敬之氏の私的主張によって強引に推進されてきた無用の長物事業である。
首相に復職した安倍晋三氏に対して強い影響力を有していたため日本政府がリニア事業に不正な加担を示した。

日本列島は巨大な活断層によって東西に二分されている。
二つのプレートがせめぎ合って日本アルプスが組成された。

フォッサマグナの西端が糸魚川静岡構造線。
この構造線を地下で突き抜けるリニアモーターカー。
リスクが極めて大きな陸送事業になる。

東京・名古屋の時間距離を短縮するニーズが高いとも言えない。

川勝平太氏がリニア建設促進の最大の障害物になっている。
このために川勝氏が激しい攻撃を受けているのだと理解できる。

インターネットメディアのニュースサイトで紹介される媒体が著しく偏り、その大半が権力者=支配者の側に媚びる存在である。
NHK、読売、産経、日経グループは言うまでもないが東スポ、光文社、講談社系統の情報媒体の偏向も際立つ。

メディアコントロール、情報統制にいかに立ち向かうか。
最重要の問題になっている。

※なお、本記事は、植草一秀の『知られざる真実』2023年7月14日 (金)
川勝知事が異常攻撃受ける理由: 植草一秀の『知られざる真実』 (cocolog-nifty.com)からの転載であることをお断りします。

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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