メールマガジン第97号:南西諸島軍事強化トピック(1月23日~1月29日)
ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会メルマガ琉球・沖縄通信◇南西防衛を抜本強化 「沖縄寄り添うなし」首相施政方針 辺野古改めて「推進」(琉球新報 2023.1.24)
◇「南西防衛を抜本強化」 首相施政方針 辺野古を推進(沖縄タイムス 2023.1.24)
◇南西地域「柱の一つ」防衛力強化で首相(沖縄タイムス 2023.1.27)
◇沖縄「要塞化」顕著に 有事回避具対策示さず(琉球新報 2023.1.24)
◇弾薬庫3棟 陸自使用へ 嘉手納、25年度以降に(琉球新報 2023.1.24)
◇離島防衛訓練 県内で 陸自と海兵隊、来月以降(沖縄タイムス 2023.1.25)
◇海自と米軍が共同訓練実施 沖縄周辺の海空域(琉球新報 2023.1.25)
◇日米、離島奪還訓練へ 来月から 航空機離着陸、空砲も(琉球新報 2023.1.29)
南西防衛を抜本強化ー沖縄「戦時態勢」に
岸田首相は通常国会の施政方針演説で「南西地域の防衛体制の抜本強化」を表明した。
日本は「歴史の転換点」にあると前置きして「防衛抜本強化」を打ち出し、「反撃能力の保有」に並んで「南西防衛抜本強化」を宣言した。敵基地攻撃(反撃)の拠点に沖縄を名指しし、総力を結集する構えだ。「防衛」を「戦争態勢」に言い替えると分かり良い。沖縄を最前線に位置づけるのと同時に施政方針から「沖縄に寄り添う」の文言が消えた。
施政方針を受けた琉球新報報道は「沖縄が日米の軍事要塞化、顕著に」と解説した。併せて「米軍嘉手納弾薬庫 陸自使用」を特報した。敵基地攻撃に不可欠なミサイル・弾薬を沖縄に大量に備蓄する。日米演習の報道も相次いでいる。戦時に向けた国、県の「住民避難図上訓練」も3月に実施される。「戦時態勢」入りつつあることをひしひしと感じる。
敵基地攻撃ー報復攻撃で焦土化
南西防衛強化のキーワードは「敵基地攻撃」だ。岸田首相は衆院代表質問で反撃能力(敵基地攻撃=ミサイル配備)拠点について明言を避けつつ「南西地域は防衛強化の柱の一つ」と述べた(タイムス)。共産党・志位委員長は、「沖縄を再び捨て石にするな」と批判しつつ「反撃行使が招く結果は報復攻撃による日本の焦土化だ」と指摘した(同)。
沖縄、日本の焦土化を招きかねない「敵基地攻撃態勢」「訓練」「避難訓練」「避難シェルター設置」を進めながら、どのような事態で「敵基地攻撃」に踏み切るのか。岸田首相は「手の内を明かすわけにはいかない」と明言を避けた。日米の「最初の一発」は際限ないミサイル戦争に陥らせ、沖縄だけでなく「日本を焦土化」させかねない。この期に及んで曖昧な答弁は国民への背信に等しい
ミサイル迎撃から攻撃に転換
「敵基地攻撃」はどのように行使されるか。国民の最大の関心事だ。私(新垣)が所属していた「東アジア共同体研究所 琉球沖縄センター」は2020年、『虚構の新冷戦 日米軍事一体化と敵基地攻撃論』(芙蓉書房出版)を刊行した。菅沼幹夫氏(神奈川県平和委員会)が「国民の命を脅かすミサイル防衛~敵基地攻撃論の危険性」を書いている。
20年6月、防衛省は唐突に山口、秋田に計画した「イージス・アショア(地上配置型迎撃ミサイル)断念」を発表。自民党内から急速に「敵基地攻撃論」が浮上。退任間近の安倍首相が「敵基地攻撃能力保有」を唱導した。つまり「ミサイル迎撃がだめなら敵基地攻撃へ」(前田哲男氏=同書)と転換したのが事の経緯だ。
菅沼氏はそもそも超音速で飛来する「ミサイルの迎撃・防衛は不可能」。日米一体の共同作戦下で「日本の敵基地攻撃能力保有」は「米軍を支え、強化するために不可欠」と指摘した。
攻撃の引き金を米国が握る
米国防総省「ミサイル防衛見直し」(MDR)には「抑止が失敗し、米国が地域武力紛争に突入する場合、発射前に敵対ミサイルを攻撃することは進行中の戦闘作戦の一部」と記されていると指摘した。同書では、末浪靖司氏(『日米指揮権密約の研究』(創元社)著者)も「米軍の指揮を離れて日本が単独で行動できない」、「相手の移動式発射台を監視続け、ミサイルを撃ち込むための情報は米軍に依存している」、「したがって『米国が指示する目標を、米国が提示する時間に攻撃するーつまり、日本の攻撃の引き金を米国が握ることになる』(柳沢協二内閣官房副長官補)」と記している。
つまり日米一体の敵基地攻撃態勢下で米軍の判断と指揮で自衛隊のミサイルが放たれる、ということだ。地対艦など自衛隊の各種ミサイルはどれも車載式だ。固定式だと容易に狙われるからだ。基地から外に展開しミサイルを放つ。敵の反撃ミサイルは必然的に周辺住民を巻き込む。住民にとって死活問題であり、「手の内を明かすわけにはいかない」というおざなりの説明で済ますわけにはいかない。
◇民間空域の訓練想定 操作ミスで事故の恐れ 嘉手納に無人機配備案(沖縄タイムス 2023.1.29)
相次ぐ無人兵器への転換
沖縄タイムスが米防衛シンクタンクの「嘉手納基地の戦闘機部隊を半減」、「攻撃無人機、低価格の攻撃ドローン配備」提言報告書を報じた。嘉手納に常駐する大型の偵察機、給油機も「沖縄で保護、維持するのが困難なためグアムなどにローテーション配備すべき」と提言する。琉球新報も先に米海兵隊が「沖縄に無人ミサイル」と報じた。嘉手納常駐のF15戦闘機が退役し、F22の巡回配備となった。「中国から近くミサイル攻撃にぜい弱」な嘉手納、沖縄から米軍の「資産」である戦闘機や大型偵察機、給油機を常駐から巡回配備に切り替え、攻撃兵器も「無人化」して米兵の消耗を減らす。その方向性が明らかになりつつある。
敵基地攻撃を米軍が指揮する。米軍は人的、物的被害を極力減らし、戦闘の主体は自衛隊が担う。そのような戦争シナリオではないのか。
◇戦場化反対集会 平和発信の場に 来月開催の集会名決定(琉球新報 2023.1.27)
◇那覇で反戦集会 来月26日に開催 全県組織準備委(沖縄タイムス 2023.1.27)
◇無関心の壁と戦う 続く憎悪、自衛隊強化 建白書10年 13年銀座デモ参加者「声上げ続ける」(琉球新報 2023.1.28)
◇社説 普遍的価値は一層増した(琉球新報 2023.1.28)
◇社説 建白書から10年 反戦へ新たなうねりを(沖縄タイムス 2023.1.28)
◇発射装置輸送 来月末調整 石垣ミサイル、民間船打診(琉球新報 2023.1.29)
新たなオール沖縄へ
県内市町村、議会議長が一丸となって辺野古新基地建設、オスプレイ配備に反対する「建白書」を安倍首相に提出してから10年。南西諸島の軍備強化、台湾有事に巻き込まれる戦争の危機が高まり状況はさらに悪化した。那覇で開かれた「民意実現を求める県民集会」が報じられた同じ紙面でタイムスは「嘉手納に無人機」、新報は「2月末にも石垣に地対艦ミサイル発射装置輸送」を報じた。民意が踏みにじられ続けるなかで保革を超えた「オール沖縄」の結集も揺らいでいる。
しかし地元紙の社説にもあるように「建白書」を過去の文書にするわけにはいかない。「県民の命と暮らしを守る、新たなオール沖縄が求められる」(喜納昌春元県議会議長)。
陸自配備を推進してきた石垣市の保守系市議は、「他国まで到達する長射程ミサイルの配備は『(説明された迎撃用の)前提が崩れ、絶対に認められない』、『12式(地対艦ミサイル)や部隊配備自体、反対せざるを得なくなる』と指摘した」(タイムス)という。
ミサイル部隊配備を「専守防衛」「抑止力」「迎撃用」の説明を受けて容認してきた石垣、与那国の議員、保守層にも動揺と反発は広がっている。
ノーモア沖縄戦の会が呼びかける「全県組織準備委員会」は2月26日に「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!2・26緊急集会」を開く。実行委員会議には若い世代も積極的に参加し意見を出している。県民の幅広い結集をいかに作り上げるかが問われている。
1月23日(月) http://nomore-okinawasen.org/5281/
大弦小弦(沖縄タイムス 2023.1.23)
意外と知らない「有事」の話 ■5 抑止と対話で衝突回避 台湾有事防ぐには?自治体外交にも期待(沖縄タイムス 2023.1.23)
自衛隊南西シフトを問う 安保「最前線」の現場から 10 県の逡巡 下 屋良覚書 生かせるか 脱「お願い」へ 効力強化模索(琉球新報 2023.1.23)
論壇 平良博 平和外交に徹するべきだ 憲法9条に合致しない安保3文書(琉球新報 2023.1.23)
社説 国の形 正面から論じよ きょう通常国会召集(琉球新報2023.1.23)
尹氏「核保有あり得る」 韓国保守 武装論拡大 (琉球新報 2023.1.23)
1月24日(火) http://nomore-okinawasen.org/5313/
南西防衛を抜本強化 「沖縄寄り添うなし」首相施政方針 辺野古改めて「推進」(琉球新報 2023.1.24)
「南西防衛を抜本強化」 首相施政方針 辺野古を推進(沖縄タイムス 2023.1.24)
台湾有事にらんで訓練 自衛隊、今月下旬から県内実施 電子戦部隊配備へ「実績」 知事「適切に対応する」 県管理港使用 与那国の港審査中 / 沖縄「軍事要塞化」進む 識者評論 小西誠氏(沖縄タイムス 2023.1.24)
沖縄「要塞化」顕著に 有事回避具対策示さず(琉球新報 2023.1.24)
弾薬庫3棟 陸自使用へ 嘉手納、25年度以降に(琉球新報 2023.1.24)
自衛隊南西シフトを問う 11 「最前線」を平和拠点に 県の「地域外交」 潜在力活用 緊張緩和へ(琉球新報 2023.1.24)
1月25日(水)http://nomore-okinawasen.org/5343/
迫り来る戦争 日米安保・ウクライナ・台湾 日本変質 攻撃できる国へ 敵基地たたけば国内破滅 孫崎享(沖縄タイムス 2023.1.25)
離島防衛訓練 県内で 陸自と海兵隊、来月以降(沖縄タイムス 2023.1.25)
海自と米軍が共同訓練実施 沖縄周辺の海空域(琉球新報 2023.1.25)
新たに3弾薬庫調整 嘉手納日米共用で防衛相(沖縄タイムス 沖縄タイムス 2023.1.25)
有事可能性「切迫せず」 駐米大使、中台関係に見解(2023.1.25)
屋良覚書 条例化研究へ 知事、下地島空港巡り 現状 法的拘束力なし(沖縄タイムス 2023.1.25)
安定求め 作業員送迎 漁師の葛藤 馬毛島基地工事、漁師を動員(南日本新聞2023.1.25)
防衛費増で赤字拡大 25年度試算 前回の3倍1.5兆円(琉球新報 2023.1.25)
安定求め 作業員送迎 漁師の葛藤 馬毛島基地工事、漁師を動員(2023.1.25)
防衛費増で赤字拡大 25年度試算 前回の3倍1.5兆円(琉球新報 2023.1.25)
1月26日(木)http://nomore-okinawasen.org/5369/
迫り来る戦争・ウクライナ・台湾 下 孫崎享 日中平和和平構築 沖縄に役割 尖閣の解決「棚上げ」有効(沖縄タイムス 2023.1.26)
補給拠点計画に反対 陸自内整備 沖縄市で市民集会(沖縄タイムス 2023.1.26)
論壇 宮城恵美子 米国の命令で集団的自衛権導入 日本は隷属関係に終止符を(琉球新報 2023.1.26)
空港・港湾「安保の資産」 有識者 南西諸島で国防利用推す(沖縄タイムス 2023.1.26)
基地着工 安保激変 ②馬毛島 南日本新聞社提供 巨大工事「未知の領域」 建設バブル 低迷続く業界”渡りに船”(琉球新報 2023.1.26)
1月27日‘(金)http://nomore-okinawasen.org/5393/
戦場化反対集会 平和発信の場に 来月開催の集会名決定(琉球新報 2023.1.27)
那覇で反戦集会 来月26日に開催 全県組織準備委(沖縄タイムス 2023.1.27)
「軍拡ノー」今こそ声を 平和ガイド連名アピール(琉球新報 2023.1.27)
「戦争前夜」危機訴え 平和ガイド声明 世代超え、県民世論に 県民大会開催を提案(琉球新報 2023.1.27)
自衛隊統合演習 きょうから実際 全国で、来月3日米まで(沖縄タイムス 2023.1.27)
南西地域「柱の一つ」防衛力強化で首相(沖縄タイムス 2023.1.27)
1月28日(土)http://nomore-okinawasen.org/5421/
16日から日米訓練 県内で離島防衛想定(沖縄タイムス 2023.1.28)
無関心の壁と戦う 続く憎悪、自衛隊強化 建白書10年 13年銀座デモ参加者「声上げ続ける」(琉球新報 2023.1.28)
社説 普遍的価値は一層増した(琉球新報 2023.1.28)
社説 建白書から10年 反戦へ新たなうねりを(沖縄タイムス 2023.1.28)
1月29日(日)http://nomore-okinawasen.org/5453/
日米、離島奪還訓練へ 来月から 航空機離着陸、空砲も(琉球新報 2023.1.29)
発射装置輸送 来月末調整 石垣ミサイル、民間船打診(琉球新報 2023.1.29)
25年 米中衝突を予測 米軍高官 台湾有事、メモで指摘(琉球新報 2023.1.29)
考 南西「有事」嘉手納に無人機配備案 米シンタシンク 空軍見直し提言(沖縄タイムス 2023.1.29)
民間空域の訓練想定 操作ミスで事故の恐れ 嘉手納に無人機配備案(沖縄タイムス 2023.1.29)
基地着工 安保激変 @馬毛島 市長黙認 国が主導権、意向通りに(琉球新報 2023.1.29)
意外と知らない「有事」の話■7 防衛力強化 国民は素通り 先島の容認派も不信感(沖縄タイムス 2023.1.29)
攻撃受けても反撃意図 我部正明氏(沖縄タイムス 2023,1.29)
沖縄の基地負担「悪化」 民意顧みぬ国に抗議 建白書10年 那覇で集会(沖縄タイムス 2023.1.29)
対中半導体規制で合意 日米オランダが包囲網 貿易摩擦の激化恐れ(沖縄タイムス 2023.1.29)
「最前線」から観光の島へ 台湾 金門島のいまを紹介(沖縄タイムス 2023.1.29)
新垣邦雄(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 発起人)
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●ISF主催公開シンポジウム:東アジアの危機と日本・沖縄の平和
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「ノーモア沖縄戦の会」は「沖縄の島々がふたたび戦場になることに反対する」一点で結集する県民運動の会です。県民の命、未来の子どもたちの命を守る思いに保守や革新の立場の違いはありません。政治信条や政党支持の垣根を越えて県民の幅広い結集を呼び掛けます。