【第321回】chatGPTに含まれる「偽情報 Hallucination」

浜地道雄

承前。

chatGPTは「巨大なコピペ」ゆえその著作権は留意せねばならない。

【第320回】AIを駆使・管理するのはHI=人間の知力 – 浜地道雄の「異目異耳」

かつ、「偽情報 Hallucination 幻覚」、必ずしも悪意からではないにしても、「事実ではない情報」が含まれる。それに注意を払いながら、駆使し、管理するのは「HI人間の知力」である。

 

筆者(浜地)は以前から西蒲田にあるバーボンロードをなぜだろうと不思議に思っていた。

画像:バーボンロード? (筆者撮影)

それについて知人の実験で知った。chatGPTに『東京都の蒲田駅前にある「バーボンロード」の名前の由来は、なんですか?』と入力した由。

回答:【アメリカ合衆国ケンタッキー州で生産されるウイスキーの一種である「バーボン」に関連しています。この通りの名前は、かつてこの地域にバーボンウイスキーの輸入・販売業者が多く存在していたことに由来しています。

バーボンウイスキーはアメリカ合衆国ケンタッキー州がその発祥地であり、その名前は特定の法的要件を満たすアメリカのウイスキーに対する規定としても知られています。したがって、蒲田の「バーボンロード」の名前は、かつてこの地域でバーボンウイスキーが広く愛飲され、取引されていたことを反映している可能性が高いです。このような地域名の由来は、歴史的な文脈や地域の特定の出来事に関連していることが多いです】

確かに、瞬時の回答には感服させられる。が、これは事実ではない。同商店街のHPにはこうある:【ニューオーリンズとは何の関係もない“バーボンロード”の名前の由来。昭和時代のある日。「この通りにも何か名前が欲しいなぁ」そう言って、当時の呑兵衛店主たちがバーボン片手に(焼酎かも)テキトーに決めてしまったというのが最も有力な説となっています。本家が「ストリート」なのに対してこちらが「ロード」なのは単なるうっかりという話も!?】

さて、このニューオーリンズのバーボン・ストリートとは? 以下wikiより抜粋、コピペ!

【バーボン・ストリート(英: Bourbon Street、仏: Rue Bourbon)は、米国ルイジアナ州ニューオーリンズのフレンチ・クオータを横切る著名で歴史的な通りの名称である。その名前は、ニューオーリンズ市が設立された当時、フランスを支配していたフランスの王族、ブルボン家に由来している】

なるほど、bourbon家!とことほど左様に興味深く、世界史、地政論に直結する。とまれ、chatGPTは「必ずしも事実を伝えてない」。 従い、chatGPTをそのまま鵜呑みにすることなく、思考、知識を深耕させてこそ価値がある。

教育界にあっては、次世代に対してchatGPTという「ツール」を「便利ゆえにこそ、知識、思考を広げ、使う」ことと伝えなければならない。→ critical thinking

他方、ビジネス界におけるchatGPT旋風も強烈だ。某経済誌は「コピペですぐに使える!chatGPT、プロント100選」として職種別、業種別、部署別に詳細に解説している(その努力には敬服する)。

chatGPT旋風(ほぼすべて、7/8月発刊)

確かに、通常の話題としての「偽情報」は前記の如く知識の深耕に役立つかもしれない。が、弁護士、商取引、経理等々の専門職分野にあっては「偽情報」は取り返しのつかない混乱に直結する可能性は小さくない。

情報過多時代。FACT CHECK (一体「真実」は何なのだ?)が必須だ。

【第253回】講演:「情報大混乱時代」にあって重要なFact Check – 浜地道雄の「異目異耳」

因みに、筆者(浜地)の理解「テネシー・バーボンウイスキー」に新しく楽しい知識が加わった。

【第115回】ボランティアの州 〜 Tennessee – 浜地道雄の「異目異耳」

 

(本記事は、浜地道雄の「異目異耳」 2023-09-06 からの転載記事です。)

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浜地道雄 浜地道雄

国際ビジネスコンサルタント。1965年、慶応義塾大学経済学部卒業。同年、ニチメン(現・双日)入社。石油部員としてテヘラン、リヤド駐在。1988年、帝国データバンクに転職。同社米国社長としてNYCに赴任、2002年ビジネスコンサルタントとして独立。現在、(一財)グローバル人材開発顧問。「月刊グルーバル経営」誌にGlobal Business English Fileを長期連載中。

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