【連載】ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン
ノーモア沖縄戦

メールマガジン第101号:南西諸島軍事強化トピック(2月6日~2月12日)

ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会

◇オスプレイ不具合 「模擬訓練」理由に訓練再開追認 防衛相、原因特定前でも(琉球新報 2023.2.8)
◇米軍対応は対症療法 オスプレイ不具合 危険抱え飛行

不具合オスプレイが飛び続ける不条理
機体の構造的欠陥を疑わせる不具合が明らかになりながら、米軍オスプレイが沖縄の空を飛び続けている。「米国防総省は、米空軍、海軍、海兵隊のオスプレイの一部飛行停止を発表」「昨年夏に生じた不具合が解決しなかったため、部分的に飛行を停止して部品を交換する飛行制限を発出」(2月6日沖縄タイムス)と報じられた。

この間の経緯について、米空軍が昨年8月「クラッチの不具合で事故が相次いでいる」として「全機を一時飛行停止」。「原因を特定できなかったが、パイロットに機体特性を理解させ、リスク軽減措置を講じたとして9月に飛行再開」。しかし「今年1月に再び問題が生じたため」今回の決定「飛行停止、部品(クラッチ)交換」となったという(同)。

航行の安全に関わる重要機器のクラッチに重大な問題があることが読み取れる。
ところが浜田防衛相は直後の記者会見で、米軍が飛行再開しても「飛行停止を米軍に求めることはしない」と表明した。「不具合の根本的な原因は不明のまま、運用継続を追認する姿勢」と琉球新報は批判した。その結果、「不具合のあるクラッチ」の交換がなされたのかも不明のまま、普天間基地のオスプレイは市民の頭上を飛び続けているのである。

シミュレーターで対処訓練
飛行再開を容認する理由について浜田防衛相は「米軍が不具合をシミュレーター(模擬飛行装置)に反映させて対処訓練している」ことを上げて「深刻なトラブルを起こすことなく、安全に運用できる手順が確立されている」と説明した。

 

つまりこういうことだ。オスプレイは飛行に変調を生じ事故が相次いでいると米軍が認めている。原因は不明だが、どうやらクラッチに問題があるらしい。そこで米軍は「一定の飛行時間を超えたオスプレイの部品を交換」(新報)。原因も交換作業が済んだかも不明確なのに、防衛相は米軍の安全対策を信頼して「飛行停止を求めない」というのだ。

例えばそれが民間の航空機やヘリだったとして、このような禅問答めいた不明確な説明のまま「飛行継続」することに国民は納得するだろうか。航行の不具合が明らかで、原因が不明なら即座に「飛行停止」。原因を究明し、改善し難い「構造欠陥」であれば機種の「運用中止」。原因が特定され、部品交換で安全を検証することができて初めて「飛行再開」が適切な手順であろう。

機体の不具合を訓練でカバー
「安全確認」の明快な説明と手順を踏まず「米軍のシミュレーション訓練で十分」というのはあまりに無責任だ。「不具合をシミュレートして対処訓練」とは原因すら不明な航行の不具合、変調をパイロットの技能でカバーするというのに等しい。普天間基地周辺は学校、住宅の密集地だ。万が一にも墜落事故は許されない。現実にオスプレイは配備強行後の2016年、名護市の海岸に墜落している。「海兵隊は配備前の2010年から不具合の現象を確認しながら公表していなかった」(新報)という。航空法の適用を免れる米軍特権に守られ、原因不明の不具合を承知で欠陥オスプレイの飛行を続け、政府が容認する。基地オキナワの歪なありようを象徴している。

◇長距離ミサイル「明確に反対」 県シンポで玉城知事(琉球新報 2023.2.9)
◇反撃能力保有に「反対」 都内シンポ 南西防衛強化で知事(沖縄タイムス 2023.2.9)
◇ミサイル配備先 沖縄を否定せず 浜田防衛相(沖縄タイムス 2023.2.9)

知事、長射程ミサイルに「反対」
玉城デニー知事は都内の講演で、反撃能力保有など政府防衛3文書の転換、沖縄の自衛隊旅団の師団への格上げ強化などについて「抑止力強化が地域の緊張を高め、不測の事態を招く」と懸念を示した。また沖縄に長距離ミサイルを配備することに対し「憲法の精神とは違うと、明確に反対する」と言明した。玉城知事が「長射程ミサイルの沖縄配備」に明確な反対を表明したことを歓迎したい。日米政府に強く申し入れてもらいたい。

玉城知事は当初の宮古、石垣への陸自ミサイル部隊配備について地元の負担強化を懸念しつつ、基本的に自衛隊を容認する立場から、明確な反対を表明してこなかった。政府の安保3文書が「敵基地攻撃能力保有」に転換したことから、「長射程ミサイルの配備反対」を打ち出す姿勢に転じたのだ。専守防衛、憲法に反する疑義がある上、敵基地攻撃能力保有は「緊張を招き不測の事態(敵国からの攻撃)」を招く」という論理である。「敵基地攻撃拠点」は当然ながら「敵ミサイルのターゲットになりかねない」という極めて常識的な判断だ。

しかし玉城知事が表明した同日の衆院予算委員会の質疑で浜田防衛相は、敵の射程圏外から攻撃する「スタンドオフミサイル」の沖縄配備について「まだ決定していないが、そういうことになれば丁寧に説明する」と玉虫色にぼかした。翌日、知事の「長射程ミサイル配備反対」の発言をどう受けとめるかとの問いに松野官房長官も「具体的な配備先は決定していない」と逃げた。部隊配備先の先島首長に面会した沖縄防衛局長も「具体的に知らされていない」とわれ関せずの態度だ。

既成事実積み上げる政府
その一方で自衛隊は3月中に石垣市への12式地対艦ミサイル発射機、弾薬搬入を予定すると報道されている。現在の12式ミサイルの射程は百数十~200キロ程度。短い射程のミサイル配備で既成事実を積み上げ、後年度に敵基地攻撃力を有する1000㌔超の長射程ミサイルに切り替える意図は明らかだ。それを政府側は「具体的な配備先は決まっていない」とその場しのぎの煙幕を張っているのだ。

玉城知事が「長射程ミサイル配備反対」を明確にしたことが陸自部隊配備地の首長判断、議会の議論に一石を投じることは間違いない。「抑止力強化」か、「長射程ミサイル反対」かの焦点が明確化された意義は大きい。今後の各種選挙の大きな争点ともなろう。開催中の県議会、市町村議会の議論が注目される。

◇ミサイル隊配備 半数拒否 安保3文書・首長調査 防衛強化 支持14人 不支持9人 防衛増額、反撃力 賛否二分(琉球新報 2023.2.12)
◇識者談話 佐藤学沖国大教授 全国に当事者意識を(琉球新報 2023.2.12)

琉球新報の県内市町村長アンケートは「抑止力強化」か「敵基地攻撃(長射程)ミサイル配備反対か」で揺れる首長らの戸惑いを浮き彫りにした。県内の市町村長は保守化が進み自公政権を支持、支援を受ける首長が圧倒的に多い。
その中で岸田政権が打ち出した「防衛力強化」を「支持する」首長は約3割にとどまった。「支持しない」約2割を上回ったものの、約4割は「分からない・無回答」と明確な判断を避けた。

敵基地攻撃ミサイル「受け入れる」ゼロ
焦点となる「敵基地攻撃能力を有するミサイルが打診された場合の対応」の質問に「受け入れる」の回答はゼロ。「受け入れられない」とする拒否の回答は約半数に迫った。ほぼ同数が「分からない」と態度を保留した。前記したように自公政権を支持、支援を受ける首長が圧倒的多数の中で「受け入れる」がゼロというのは、自公政権にとって痛手であろう。抑止力を高めるとうたう「反撃能力」=「敵基地攻撃能力」に強い拒否感が示されたと言っていい。

「受け入れない」とする首長のコメントは「住民を危険にさらす」(北中城村長)、「有事に攻撃・標的拠点化しないか心配」(本部町長)と明快だ。これに対し「分からない」と明快な回答を避けた首長は「国で決めたことへのコメントは差し控える」(うるま市長)、「国防に関して言える立場にない」(豊見城市長)、「総合的に判断する」(那覇市長)など、政府の安保大転換に「地方は物を言えない」と受け身、消極的な判断留保の態度だ。琉球新報の取材で敵基地攻撃装備について「基本的に容認」と答えた石垣市長、地対空ミサイル配備を「容認」した与那国町長も、アンケートには「分からない」と判断を濁した。

「俺が体を張って止める」
ある保守系首長は「ミサイル基地にミサイルが飛んで来たらどうするか」という市民の質問に「俺が体を張って止める」と答えたと地元の議員から聞いた。アンパンマンではあるまいし体を張ってミサイルが止められるはずがない。住民の生き死にに関わる問題である。「国防に口は挟めない」という逃げ口上は許されない。住民の安全に責任を追う自治体首長の責任放棄の批判を免れない。

2月6日(月)http://nomore-okinawasen.org/5642/

統合司令部 市谷に新設へ 自衛隊一元指揮 政府、政治関与を重視(沖縄タイムス 2023.2.6)
市谷に自衛隊統合司令部 24年度にも陸海空を指揮 政権中枢と連動優先 米軍主導、懸念の声も(琉球新報 2023.2.6)
意外と知らない「有事」の話 ■11 「基地脆弱」でも利点 F15退役 巡回配備の狙いは? 米国、戦術の選択肢増やす(沖縄タイムス 2023.2.6)
自衛隊南西シフトを問う 安保「最前線」の現場から 〇13 ゆらぐ石垣(下)(琉球新報 2023.2.6)
反撃力 実像隠す首相 「丁寧な説明」逆行 安保大転換の国会論戦(琉球新報 2023.2.6)
論壇 共同声明時の原点に戻れ 日中関係の在り方(沖縄タイムス 2023.2.6)
論壇 「台湾有事」回避するために 信頼と安心与える対話を(琉球新報 2023.2.6)

2月7日(火)http://nomore-okinawasen.org/5656/

考 南西「有事」沖縄の再戦場化 反対訴え 32軍壕保存「求める会」 防衛強化 ミサイル配備懸念(沖縄タイムス 2023.2.7)
自衛隊地下化に反対 32軍壕保存求める会が声明 「平和への道と真逆」(琉球新報 2023.2.7)
有事の沖縄攻撃「懸念は認識」 防衛相が答弁(沖縄タイムス 2023.2.7)
有事の沖縄攻撃 県民懸念「認識」 防衛相「抑止高めたい」 (琉球新報 2023.2.7)
米軍、新型無人機を運用 沖縄本島周辺 偵察・監視目的(琉球新報 2023.2.7)

2月8日(水)http://nomore-okinawasen.org/5678/

アジア平和 学生が議論 名桜大トークイベント 留学生「対話や交流が大切」(沖縄タイムス 2023.2.8)
ミサイル部隊配備「容認」 与那国町長、台湾交流訴え(沖縄タイムス 2023.2.8)
銃携帯米兵 公道を歩行 東村の県道70号 住民目撃(沖縄タイムス 2023.2.8)
1月騒音2万回 嘉手納周辺 暫定配備後5000回増(沖縄タイムス 2023.2.8)

2月9日(木) http://nomore-okinawasen.org/5700/

「台湾有事」12日シンポ  沖縄県民はどうすべきか 武力衝突招く 異次元の軍拡 コーディネーターの前泊博盛氏(沖縄タイムス 2023.2.9)
反撃能力保有に「反対」 都内シンポ 南西防衛強化で知事(沖縄タイムス 2023.2.9)
首相へ届け 沖縄問う手紙 東京和光小の子どもたち 「地元の声 聞いてますか」「防衛費 なぜ上げるの}」(沖縄タイムス 2023.2.9)
ミサイル配備先 沖縄を否定せず 浜田防衛相(沖縄タイムス 2023.2.9)
バイデン氏「対中結束を」 一般教書演説 再出馬へ新味乏しく(琉球新報 2023.2.9)

2月10日(金)http://nomore-okinawasen.org/5726/

与那国にシェルターを 町議会、国に設置要請 官房長官 前向き姿勢(琉球新報 2023.2.10)
考 南西「有事」 島にシェルター検討 政府、与那国議会要請に(沖縄タイムス 2023.2.10)
ミサイルを想定 日米が合同訓練 今月、宮古・八重瀬(琉球新報 2023.2.10)
国内日米訓練 「極めて重要」 陸幕長が意義強調(沖縄タイムス 2023.2.10)

2月11日(土)http://nomore-okinawasen.org/5753/

対話で衝突回避強調 台湾の研究者2氏に聞く 「沖縄から戦争否定を」 「日米との協力不可欠」(沖縄タイムス 2023.2.11)
考南西「有事」 有事回避し平和構築を 緊張高める自衛隊進出・非民主主義に戻れない(沖縄タイムス 2023.2.11)
「沖縄が平和の軸に」孫崎さん講演 ウクライナ、台湾問題巡り(琉球新報 2023.2.11)
日中関係改善へ 発言強化を提案 孫崎氏が講演(沖縄タイムス 2023.2.11)

2月12日(日)http://nomore-okinawasen.org/5768/

ミサイル隊配備 半数拒否 安保3文書・首長調査 防衛強化 支持14人 不支持9人 防衛増額、反撃力 賛否二分(琉球新報 2023.2.12)、識者談話 佐藤学沖国大教授 全国に当事者意識を(琉球新報 2023.2.12)
識者談話 佐藤学沖国大教授 全国に当事者意識を(琉球新報 2023.2.12)
自衛隊南西シフトを問う 安保「最前線」の現場から 隠された目的(琉球新報 2023.2.12)
ガス田で互恵の合意 12 日中関係には「火種」しかないの?(沖縄タイムス 2023.2.12)
平和つくる外交不可欠 中国と衝突回避へ対話を 「防衛費2% 吟味が必要」 藪中元外務次官に聞く(沖縄タイムス 2023.2.12)
横浜に米軍揚陸部隊 尖閣有事念頭 返還に逆行 統一地方選 争点浮上か(沖縄タイムス 2023.2.12)
「最良の安保 米軍の存在」米元高官、対日関係で論文(2023.2.12)

新垣邦雄(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会発起人)

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –

● ISF主催トーク茶話会:船瀬俊介さんを囲んでのトーク茶話会のご案内

※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
ISF会員登録のご案内

「独立言論フォーラム(ISF)ご支援のお願い」

 

ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会

「ノーモア沖縄戦の会」は「沖縄の島々がふたたび戦場になることに反対する」一点で結集する県民運動の会です。県民の命、未来の子どもたちの命を守る思いに保守や革新の立場の違いはありません。政治信条や政党支持の垣根を越えて県民の幅広い結集を呼び掛けます。

ご支援ください。

ISFは市民による独立メディアです。広告に頼らずにすべて市民からの寄付金によって運営されています。皆さまからのご支援をよろしくお願いします!

Most Popular

Recommend

Recommend Movie

columnist

執筆者

一覧へ