【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第41回 朝日新聞「ワクチン先進国 悩む再流行」を考える③:ワクチンではなく早期治療こそ

寺島隆吉

前節を私は次のように結びました。

デレピーヌ博士は以上のように、イギリス、シンガポール、イスラエルなどの実状を具体的なグラフで示しながら持論を展開し、そして最後に、もうひとつのグラフを示しながら、博士の結論を提起しています。

話が少し横に逸れたので元の論文に戻ります。

そこでデレピーヌ博士の論文の結論ですが、博士はそれを次のようにまとめています。

現在の疑似ワクチンは十分な効果がありません。伝染病の再発、入院、重症化、死亡を防ぐことができないのです。

ワクチン接種状況を把握しているイスラエルやイギリスでは、ワクチンを接種した人は、接種していない人に比べて死亡リスクが高くなっています。

ワクチンのみの政策を追求すると致命的な行き詰まりが生じますが、早期治療を公式に推奨している国(インドや、日本、韓国)では、はるかに良い結果が得られています。

このように、デレピーヌ博士は日本を「医師にイベルメクチンによる処方を許可している国」として高く評価しているのですが、前節で紹介したように、日本は医師が自由にイベルメクチンを処方できる国になっていません。

確かに厚労省は「イベルメクチンを『適応外使用』として使ってよいし保健も適用できる」と言っているのですが、実際にイベルメクチンを「適応外使用」として使っている医師は、驚くほど少ないというのが日本の実態です。

イベルメクチンの存在を知らない開業医も珍しくない、ということも前節で紹介したとおりです。だからこそ東京医師会会長が記者会見で「今こそイベルメクチンを日本全国で利用すべきだ」と発言したのです。

ところが尾崎治夫会長が、このような発言をしたとたんに、御用学者や御用評論家を総動員した反論の嵐が巻き起りました。次の記事(1)が、その典型例でしょう。この評論では、東京大学薬学部の小野俊介准教授まで動員されていました。

(1)岩澤倫彦「イベルメクチンこそ新型コロナの特効薬」を信じてはいけない5つの理由
https://president.jp/articles/-/49105?page=4(PRESIDENT Online 2021-08-21)

それどころか、インターネットでは、 「尾崎会長の兄がかつて学生運動過激派活動家だった」という書き込みすらありました。つまり尾崎氏も過激派の疑いがあり、 「今こそイベルメクチンを使え」という発言は過激な意見だというわけです。

しかしワクチンが危険だと公の場で発言している医師、そのような著書を出している医師も少なくないのに、そのような医師は「陰謀論者」だと言われても「過激派」と言われるのは見たことがありませんでしたから驚きました。

これが日本の現状なのです。厚労省はイベルメクチンの適応外使用は認めるという発言をしながら実際はワクチン接種のみに精力を注いでいます。

と同時に政府は、日本人が開発したイベルメクチンを推進するどころか、いまメルク社が開発した新薬を輸入することのみに熱心です。まさに国賊とも言うべき言動です。

また、このことを「治療薬増える選択肢」と題して大きく報道した先述の朝日新聞も、イベルメクチンについては、たった1行しか言及していません。

したがって、大村智博士と共同でイベルメクチンを開発したはずのメルク社が、自社の開発した新薬を売り出すために「イベルメクチンはコロナ薬としては有害無益だ」と攻撃していることも、当然ながら紹介していません。

またもや少し横道にそれたので、デレピーヌ博士の論文の結論に再び話を戻します。

博士は、上記で紹介した結論を、次頁のようなグラフを示すことによって補強しています。グラフの題名は「人口100万人あたりのCOVID- 19確定死亡者数の合計」となっていて、その下には小さい文字で次のような説明がついています。

人口100万人当たりのCOVID-19による死亡確認総数

 

「テストが限られており死因究明が難しいため、確認された死亡者数は、COVID‐19による実際の総死亡者数より少ない可能性がある」

さらに、その下には、やや大きな赤字で次のような説明が加えられていました(ただし本書では黒字)。

「早期治療を拒否したワクチン接種チャンピオン国の死亡率が最も高い」

そして、このグラフを示しながら博士が下した結論は次のようなものでした。

ワクチン会社と密接な関係にある疫学者が、コンピュータを使っておこなった誤った予測を信じるのを、いつになったらやめるのか。証明された事実を見て、欺瞞的で有害なワクチン推進政策を中断し早期治療を推奨するために、保健当局は何を待っているのか?

治療医による早期治療の禁止を続けることは、多くの患者のチャンスを失うことにつながり、政府、特に厚生大臣の責任に直結する。

上でデレピーヌ博士は、 「ワクチン会社と密接な関係にある疫学者が、コンピュータを使っておこなった誤った予測」を信じるのをやめることを提案しています。

実際、2009年に新型インフルエンザが流行したとしてWHOがパンデミックを宣言したとき、英インペリアル・カレッジ・ロンドンのニール・ファーガソン教授は、新型インフルエンザの致死率を0.4%と予測。最悪のシナリオではイギリスで6万5,000人が死亡すると警鐘を鳴らしました。しかし実際には457人でした。

ところが、この同一人物を、世界的な感染症数理モデルのスペシャリストとしてコロナウイルス対策にあたらせたのがボリス・ジョンソン首相でした。ところが、そのファーガソン教授はジョンソン首相に対し、またもや「このままでは25万人が死ぬ」という報告書を提出して都市封鎖(ロックダウン)への方向転換を迫りました。

しかし、首相に都市封鎖を迫ったはずのこのファーガソン教授は、公衆に対して自宅待機や厳格な社会的距離の必要性を説きながら、自分だけこっそり、都市封鎖中にもかかわらず、少なくとも2回にわたって自宅に既婚女性を招き入れていたのです。

そして辞任に追い込まれたことは、拙著『コロナ騒ぎ謎解き物語1』でも紹介したとおりです。

つまり自分でもコロナウイルスは怖くないということを知っていたのです。

このように、デレピーヌ博士は「治療医による早期治療の禁止を続けることは、多くの患者のチャンスを失うことにつながり、政府、特に厚生大臣の責任に直結する」と結論づけているのですが、多くの先進国ではイベルメクチンによる早期治療を認めていません。

そのアメリカにおける次のような事例(2)は、すでに『謎解き物語1,2』で紹介したとおりです。ここには、イベルメクチンにたどり着くまでの、患者と医師の汗と涙の格闘が、感動的に語られています。

(2)The Drug that Cracked COVID「イベルメクチン。COVIDを駆逐した医薬品」( 『翻訳NEWS』2021-07-18)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-category-86.html

またアルゼンチンにおけるカルヴァロ博士と政府・御用学会との闘い(次の事例3)も前節ですでに紹介しました。

(3)Ivermectin Wars: Dr. Hector Carvallo Versus the Medical Establishment「イベルメクチン戦争:ヘクトル・カルヴァロ博士vsアルゼンチン医学界」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-679.html( 『翻訳NEWS』2021-10-09)

これも汗と涙の格闘の感動的報告です。(2)と比べれば非常に短いものですから、時間があれば、ぜひ読んでいただきたい報告です。

しかし、ここで注意しておきたいのは、このようなデレピーヌ博士の論考が発表される以前に、世界中の心ある学者・研究者がすでに声をあげていたことです。

たとえば、2020年8月26日に1,500人以上のメンバーで構成され国際医療専門家集団が次のような警告を発しているのです。これも、先述のモンタニエ博士の心配を裏付けるものと言ってよいでしょう。

(4)The lockdown “a global scientific fraud of unprecedented proportions”―International
Alert Message about COVID-19. (by United Health Professionals)
「ロックダウン『前例のないほど世界的な科学的詐欺』─医療専門家集団からCOVID‐19対策へ
の国際的警告」http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-526.html( 『翻訳NEWS』2021-03-05)

「イベルメクチンを使う権利」を獲得するために、アルゼンチン政府・アルゼンチン医学界と闘っているヘクトル・カルヴァロ博士

 

この国際医療専門家集団(United Health Professionals)は、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、アジア、オセアニアのいろいろな国から1,500人以上のメンバー(医学教授、集中治療医、感染症専門家を含む)で構成され、世界中の政府や市民にCOVIDの流行対策に関する警告メッセージを提出しました。

WHOが、2009年にも同じようなパンデミック宣言(いわゆる「豚インフルエンザ」 )を出し、それが結局は嘘であり多大な被害者を出したことが明らかになったにも関わらず、そのことに、彼らは強い警告を発したのでした。

同じ犯罪者集団すなわちWHOと巨大製薬会社が同じ間違いを犯そうとしているその具体的な事例を、彼らは声明書のなかで次のように説明しています。

2009年、ファイザー社は23億ドル(約2,700億円)の罰金を科された。それは、米国の裁判所が医薬品グループに科した最大の罰金となった。それは詐欺的な商取引として有罪判決を受けた。

2010年、アストラゼネカ社は薬物の不正使用を勧めたことで、5億2,000万ユーロ(約670億円)の罰金を科せられた。

2011年、メルク社は「薬の不正取引と心血管薬の安全性に関する虚偽陳述の問題」を解決するために、6億2,836万ドル(約730億円)の罰金を支払った。

2013年、ジョンソン・アンド・ジョンソン社に対し、16億2,000万ユーロ(約2,100億円)の罰金が科された。それは、三つの薬剤処方問題に起因する刑事・民事責任を解決するためだった。

その中には、食品医薬品局(FDA)が安全性や有効性を承認していない薬剤を、上記の3社が使用促進しようとした問題や、医師や長期介護薬剤の販売業者へのリベート問題が含まれていた。

では、このような問題をひき起こした巨大製薬会社は、きちんと自分たちの行動を反省したのでしょうか。確かに彼らは反省しました。しかしその方向は全く逆でした。

このような数多くの訴訟と莫大な罰金を科されてはたまらないと考えた巨大製薬会社はWHOとつるんで、二度と訴訟や損害補償で悩まされない方策を考え出しました。

それは「ワクチンによる被害が出ても、巨大製薬会社はそれに対する支払いをしない。

それに対処するのはワクチンを購入した各国政府である」という契約を各国政府と結ぶことをWHOに了承させたのです。

その証拠として、ファイザー社が各国政府と結んだ次のような恐るべき契約書を見てください。

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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