世界を裏から見てみよう:太平洋に流された原発「汚染水」
漫画・パロディ・絵画・写真社会・経済日本は世界4位の海洋大国
日本は四方を海に囲まれた海洋国だ。しかし、私たち国民はその恩恵についてどの程度理解しているだろうか。
南方から沖縄・九州・四国と太平洋側の沿岸を黒潮が流れていることは知っていても、それが生活にどのように影響するかは意外と知らないのではないか。青森県の「大間のマグロ」も黒潮のおかげだ。
世界地図を見ると、自国の沿岸にこうした海流を持つ国はあまり見当たらない。ましてや、お隣の中国などの国から見れば、日本は垂涎の的であるに違いない。最近、中国人は寿司を食するようになり、特にマグロの消費量が急増しているらしい。だからといって、上海や香港の沖でマグロが釣れるかといえば、答えはNOだ。
そんな海の資源に恵まれた日本で、東京電力福島原発の処理水の貯蔵タンクが満杯となり、海に流さざるを得なくなったという。8月24日から海洋放出された液体を、政府は「処理水」と言うが、実際は「汚染水」だ。汚染物質を科学的に処理しているから健康に害はないと政府が説明しても、信用できたものではない。しかし、それでもほとんどの国民は、今後も回転寿司に足を運ぶことだろう。
廃炉の目処など立たない以上、汚染水の海洋放出は、事故直後から決まっていたのではないか。日本人は10年ちょっと経てば放射能汚染など忘れるに違いない、と考えているのだろう。
黒潮に乗った処理水は、アラスカ、カナダやアメリカの西海岸にまで流れるといわれている。濃度は薄まっているだろうが、消滅はしない。
事故を起こした原発由来の「汚染水」が特殊だとしても、世界の原発処理水放出の状況を示した地図を見ると、いまや世界中の海洋が汚染されていることに気づく。10年ほど前、パリ郊外に住むフランス人と日本人妻の夫婦に東京で会った時、「実はフランスではがんで亡くなる人が増えていて、それが原発処理水に関係しているらしい」と話していた。気になる話ではある。
ところで「排他的経済水域(EEZ)」とは、沿岸国がその範囲内において、天然資源の探査・開発など経済的活動についての主権と、海洋の科学的調査、海洋環境の保護・保全等についての管轄権を有する水域だ。国連海洋法条約によって、領海基線(海面が一番低い時に陸地と水面の境界となる線)から200海里(約37キロ)を越えない範囲内で設定することができると規定されている。要するに「海洋国境」だ。
日本の陸地面積が約38万平方キロに対し、領海と排他的経済水域を合わせた面積は約447万平方キロで、世界で6番目の広さだという。実は、海の深さを含めた「海の体積」はなんと世界4位。確かに太平洋沿岸はガクンと深度が増している。
その海中資源は他国が羨むものが含まれている。注目を浴びているメタンハイドレートや、海底熱水鉱床などに含まれるレアメタルの採掘も期待される。もしかすると油田もあるかもしれない。
この「海の体積」の1位はアメリカ、2位はオーストラリア。3位のキリバスは太平洋上に浮かぶ島嶼国家で、国土面積は長崎県より1回り大きい程度。ところが、313の環礁からなる島々が、水深の深い太平洋上に、約350万平方キロメートルの広さにわたり散らばっている。第4位の日本は6852の島で構成され、特に小笠原諸島、沖の鳥島、南鳥島、大東諸島などの絶海の孤島が、海の大きさに寄与。全体の6割以上が水深3000メートルより深い。
一方、東シナ海や日本海の水深は浅い。近年、中国は、東シナ海において資源開発を活発化させており、日本政府として、日中の地理的中間線の西側で、これまでに計18基の構造物を確認しているという。ちなみに第5位は世界一島の多い国、インドネシア。6位はイースター島のモアイ098像で知られている南米のチリ。7位はミクロネシア。8位はニュージーランド。9位はフィリピン。10位はブラジル。
東南アジアの時代
「東南アジアの時代」といえども、現在の話ではない。イタリアのヴェネチアから1275年、2人の叔父と共に若干21歳でユーラシア大陸を超えて東アジアにやって来た、かのマルコ・ポーロ。その後十数年の各地の紀行の後、1292年にヴェネチアに戻るまで、特に元の世祖フビライの厚遇を受け、中国各地を旅した。
彼は、往路は「陸上の道」シルクロード、帰りは「海上の道」シナ海を南に下り、東南アジアを経て、郷里のヴェネチアに戻った。そうして日本を「黄金の国ジパング」として紹介したのが『東方見聞録』だ。『東方見聞録』はヨーロッパ人の間に東方への夢を掻き立て、「大航海時代」の引き金になった。「海上の道」は後に「スパイス(胡椒、香辛料)の道」とも呼ばれた。
元の支配領域は超広大な領土で、環インド洋圏にはイスラム文化が普及し「海洋イスラム」の世界が出現した。地図を見るとアラビア半島からインド洋は意外と近いのである。環シナ海は中国の影響圏であり、小型帆船が行き交った。この頃、ユーラシア大陸全域に疫病(パンデミック)が流行した。効能があるとされたのが胡椒・香辛料であった。東南アジアは正にその大産地だったのだ。
15世紀から17世紀はアラブ・イスラム・中華など多数の商人が「商業の時代」を現出した。東南アジアの海洋ネットワークは「港市(ポートオブトレード)システム」といわれ、自由な公易システムとして機能した。イギリスの東インド会社は対中国の貿易の独占権を与えられ、1773年にインドでのアヘン専売権、さらに97年にはアヘン製造独占権を獲得していた。
1832年に中国の広州・マカオで、スコットランド人のジャーディン・マセソンが設立したのが「ジャーディン・マセソン商会」。東インド会社の独占権が廃止されるとアヘン貿易などで巨額の利益を得て、運輸業のほか建設や銀行業にも進出する。横浜にも支店を出し、幕末の日本で活動した。長州藩の伊藤博文、井上聞多らを極秘にロンドンに留学させたほか、坂本竜馬もマセソン商会の支援を受けていることはNHK大河ドラマ「竜馬伝」でもちらっと出てくる。もちろん、ロスチャイルド金融資本などが背後でコントロールしているという〝真相〟に触れることはない。
吉田健三という男
戦後の首相・吉田茂は2歳で吉田健三の養子になり横浜で育った。その健三は、マセソン商会の横浜支店長を務めていた。幕末に薩長に武器を供給した長崎のクラバー商会は、マセソン商会の代理店だ。マセソン商会は〝死の商人〟なのである。つまり、イギリスがアジアを植民地支配するための実働部隊だった。
吉田健三が40歳の若さで他界した時、茂は11歳だった。養父から譲り受けた莫大な遺産は外交官時代に使い果たしたといわれている。
吉田健三は1849年、福井藩士の長男として生まれた。16歳で脱藩して大阪で医学、長崎で英学を学んだ後、イギリス軍艦で密航し2年間留学。1868年(明治元年)に帰国し、「英一番館」ことマセソン商会の番頭になる。
そもそも、イギリスの軍艦で密航するとはどういうことか。すでにその時、背後でロスチャイルド財閥の支援があったと見るのが普通ではないか。福井県に4基もの原発が建造されていることに、私は以前から疑問を抱いていたが、福井県の歴史的名士である吉田健三の出生地であることにヒントがあるのでは。
日本とロスチャイルド家といえば、その分家のフランス人(モデル)と結婚しているのが麻生太郎元首相の長女・彩子さん。麻生氏は水道民営化を推進し、すでにフランス大手のヴェオリア・ジェネッツが日本の水道利権に入り込んでいる。マルコ・ポーロもびっくり、ロスチャイルド一派の経済的日本侵略は、明治維新時代に加速的に進んだというわけだ。
おそらく深海資源の利権も得ようと密かに画策しているに違いない。日本は永久的に独立させてもらえず、国際金融資本の下で奴隷国家として生き永らえるのだろう。「排他的経済水域」バンザーイ!
(月刊「紙の爆弾」2023年10月号より)
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日本では数少ないパロディスト(風刺アーティスト)の一人。小泉政権の自民党(2005年参議院選)ポスターを茶化したことに対して安倍晋三幹事長(当時)から内容証明付きの「通告書」が送付され、恫喝を受けた。以後、安倍政権の言論弾圧は目に余るものがあることは周知の通り。風刺による権力批判の手を緩めずパロディの毒饅頭を作り続ける意志は固い。