【特集】新型コロナ&ワクチン問題の真実と背景

【高橋清隆の文書館】エアドゥ降機事件訴訟で司法判断から逃げる 広島地裁

高橋清隆

2022年2月、釧路空港のエアドゥ(AIRDO)機内でマスク着用の「お願い」を断ったため筆者の高橋清隆とともに飛行機から降ろされた谷本誠一・呉市議(当時)が航空会社と釧路警察署に1円の損害賠償などを求めていた裁判の判決が8月29日に広島地方裁判所であり、吉岡茂之裁判長が損害賠償請求を棄却するとともに、マスク不着用で飛行機に乗れる権利の確認など3つの請求を却下した。谷本氏は直ちに控訴を表明した。


記者会見に臨む(左から)高橋・谷本・桜井の3氏(2023.8.29谷田智美撮影)

この裁判で原告の谷本氏が求めていたのは①乗務員の職務を妨害するなどの行為の反復継続の中止命令(航空法73条の4第5項に基づく)の取り消し②降機命令(エアドゥ国内運送約款に基づく)の取り消し③マスク不着用で飛行機に搭乗する権利があることの確認④2被告が連帯しての1円の損害賠償など。

裁判は22年4月に提訴され、3回の口頭弁論が開かれたが、休憩時間を除けば実質22分にも満たない審理だった。

判決では、④の損害賠償を退けるだけでなく、①~③までを門前払いに当たる「却下」とした。主文を読み上げ、1分足らずで閉廷した。被告側はエアドゥ・釧路署共に欠席した。

釧路署については被告として不適法と判断した。エアドゥに対しては①命令の取消については訴えの利益がない②降機命令の取り消しは不適法③同権利の確認は利益がなく不適法④機長や客室乗務員の行為について会社に不法行為責任は認められない――とした。

判決後の記者会見で谷本氏は、「4月8日付けの準備書面で求めていた6人(機長を含めれば7人)の証人尋問と1つの証拠提出の要請を先回の口頭弁論で認めなかったから、予想通りの判決。きちんと審理する気が見えなかった」と裁判所の姿勢を批判した。

本人訴訟のため裁判の進行を有利に運べなかったことを「ナメられた」と表現し、桜井康統弁護士を付けて控訴審を闘うことを表明した。桜井氏もマスク着用をめぐり現在、JALと都内のホテルを訴えている。筋トレが趣味でユーチューブも配信し、「筋肉弁護士」として知られる。

筆者は、この事件をマスコミが取り上げる場合、決して高橋清隆の名前や肩書きを出さない点を指摘。「真相が書かれている私のブログ記事にアクセスできないようにするためと確信している」と改めて報道陣に苦言を呈した。

桜井氏は、請求が全面的に退けられた理由について「訴状構成が答えにくいものになっていた」と述べ、これが空疎な判決につながったとの見方をした。「控訴理由書で、客室乗務員や機長などへの使用者責任をエアドゥ側に問いたい」と展望した。

裁判所は一切の証人尋問・証拠提出要請を認めなかっただけでなく、被告エアドゥ側の多くの矛盾点を等閑に付した。

同社は「(約款に基づき)搭乗拒否したが、(航空法に基づく)降機命令は下していない」と何度も繰り返し、強制降機があったことを否定した。しかし、搭乗を拒否されれば降りるしかなく、詭弁(きべん)でしかない。

機内で原告に示された「命令書」について、エアドゥは「航空法73条の4第5項が定める降機命令でないことは明白だった」と主張するが、乗り込んで来た現地下請け企業男性が「安全阻害行為があったという判断の下に今、CAさんと機長の判断で降機していただく形をとった」との発言が記録されている。

降機命令するために警察官を呼んだことをエアドゥは否定しているが、警察官は何度も「降りてもらえませんか」と発言している。降機を命じる以外に、何のために呼ぶというのか。

搭乗カウンターで「お客さまが乗るまで出航することはありませんので」と地上勤務の女性係員が述べたことはないと主張し続けたが、証人も録音もある。

谷本氏に名誉を傷付けられるなど社会生活上の損害はなかったと主張するが、4月の市議選で落選した。この事件が影響していないと考える有権者がいるだろうか。

さらに、重要な問題点を審理しなかった。

エアドゥは客室乗務員らの対応について「首相官邸の『基本的対処方針』とこれに基づく国土交通省の対応を受けて定められた定期航空協会のガイドラインに従ったまで」と主張したため、谷本氏は同ガイドラインの法的・科学的根拠をただしたが、それへの回答はなかった。

裁判所はマスク不着用で飛行機に乗る権利があるかどうかも検討しなかった。今後、新たな疫病騒ぎが起こされたとき、再び問題になるのは必至だ。

マスク着用をめぐる科学的・法的根拠を検討しない判決は、この問題が全く政治的なものであることを告白している。政府がマスク着用を「個人の判断」とした後の4月26日の第3回口頭弁論では、裁判長は原告や傍聴者にマスク着用を要請しなかった。判決では、3人の裁判官もノーマスクだった。こうした変化への合理的説明はない。

支配権力側としては、科学的・法的根拠がなくても民衆が従うのが理想のはず。強制マスク法のなかった日本は悪しきモデルではないか。時代の空気に合わせ、多数者が少数者を排除するのがファシズム。法の番人が司法判断を避け、官邸に忖度し、これを促している。


判決後、報道陣を前に「予想通りの不当判決」と答える原告の谷本氏(2023.8.29筆者撮影)

 

※この記事は、「高橋清隆の文書館」(2023年8月29日)からの転載です。
原文は、コチラ→高橋清隆の文書館 : エアドゥ降機事件訴訟で司法判断から逃げる 広島地裁(livedoor.jp)

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高橋清隆 高橋清隆

反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。元ローカル新聞記者。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&K プレス)、『山本太郎がほえる~野良犬の闘いが始まった』(Amazon O.D.)など。翻訳にデーヴィッド・アイク『答え』第1巻[コロナ詐欺編](ヒカルランド)。2022年3月、メディア廃棄運動を開始。 ブログ『高橋清隆の文書館』http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/

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