「南西諸島ミサイル要塞化の危機」写真展

緒方修

沖縄の問題は沖縄だけで解決できるものは少ない。基地問題は返還後、さらに迷惑度が増している。打開するには県外・国外への訴えが重要だ。南西諸島のミサイル要塞化も、本土ではあまり関心がない。しかし基地を抱えた地域は別だ。東京福生市の横田空軍基地などは基地外への汚染水問題などに早くから取り組んでいる。砂川は米軍に土地を渡さない画期的な運動を始めた場所だ。最近では大分県の敷戸でも弾薬庫反対の動きが盛んだ。長射程ミサイル用の保管庫が造られ、湯布院ではミサイル連隊が新設される。

「写真展」実行委員会では、こうした地域に働きかけて全国20数か所でミサイル危機写真展を開催してきた。東京では横田基地近くの福生駅構内、議員会館、千葉では公民館、鎌倉、静岡、名古屋、宝塚、京都などは教会や公民館、市民ホールなど。

なかには岡崎市のように市長も訪れ、一日200人の観客を記録した例もある。主催は組織ではなくほとんどがボランティアで運営されている。
写真は南西諸島の日米中のミサイル配備図、馬毛島の兵站拠点作成の動き、奄美の山中や宮古島の露天にさらされたミサイル格納庫、与那国島の巨大アンテナ群、貯蔵庫(実は弾薬庫)など。各島々の最前線で反対運動を続けている方々から提供された写真だ。

沖縄の運動に注目している所も多い。古くは阿波根昌鴻、瀬長亀次郎は常に砂川闘争と連帯していた。最近では「台湾有事」に備えた日米軍事作戦の影響が各地に飛び火している。危機を感じ、11月23日(木)の県民大集会に来沖する人もいる。

この写真展のエッセンスを沖縄大学図書館一階ロビーで13日(月)から24日(金)まで開催する。朝9時から夕方8時まで。問い合わせは098-832-5577。
(土、日、祝は休館)

今回は研究者による青森・三沢基地などの写真や米軍の韓国・グァム・フィリピンへの海外展開を示す作図も添える。与那国と台湾は110キロ、台湾の南350キロにはフィリピンのルソン島がある。島の北部には基地が2カ所あり、米軍が使用を要請している。
アメリカは米海岸から遠いオフショア(沖合)で物事を片付けようとする。それもカリフォルニアの沖合ではなく、ハワイもグァムも通り越した南西諸島で対峙する。このラインこそ中国の自国防衛ラインの第一列島線だ。米中の争いにまっさきに巻き込まれるのが沖縄だ。

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緒方修氏(東アジア共同体研究所/琉球・沖縄センター顧問)

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