米国と日本は沖縄の軍事植民地支配をやめよ:アカデミー賞、ノーベル平和賞、ピュリッツァー賞受賞者ら世界の著名人による国際声明 International Statement: U.S. and Japan, Stop Military Colonization of Okinawa

乗松聡子

2013年8月14日、琉球新報社の招待で沖縄を訪問したオリバー・ストーン監督とピーター・カズニック教授。(Photo: Sunao)

 

日本政府による辺野古の「代執行」をうけて1月 6日、国際声明を出しました。以下が昨日プレスリリースで発表した、声明と、5日の時点での署名者約400名のうち、123名の名前を紹介します。英語版のプレスリリースはここです。報道は、共同通信「辺野古移設に著名人らが反対声明 ストーン監督ら各国の400人」が全国の地方紙などに掲載されています。

『琉球新報』世界の識者「辺野古ノー」 ストーン監督ら400人声明

【全文・主な署名者】世界の識者「辺野古ノー」 ストーン監督ら400人が声明

『沖縄タイムス』代執行「国が法律を私物化する行為」 オリバー・ストーン監督ら400人、辺野古移設に反対声明

署名者の中には、ノーベル平和賞受賞者のマイレッド・マグワイア氏、アカデミー賞受賞映画監督のオリバー・ストーン氏、ピュリッツァー賞受賞ジャーナリストのクリス・ヘッジズ氏、歴史家のピーター・カズニック氏、カナダの作家ジョイ・コガワ氏、「社会的責任を担う医師」(PSR)創設者のヘレン・カルディコット氏、「パレスチナ生物多様性と持続可能性のための研究所」ディレクターのマジン・クムシア氏、国際平和ビューロー共同代表のコラソン・ファブロス氏、「フォーカス・オン・グローバルサウス」共同代表のウォルデン・ベロ氏などがいます。

署名サイトはここをクリックしてください

 

2024年1月

ジョー・バイデン大統領および米国市民へ

岸田文雄首相および日本国市民へ

10年前、言語学者のノーム・チョムスキー氏や元米陸軍大佐・元外交官のアン・ライト氏を含む103人の世界の学者、ジャーナリスト、芸術家、平和活動家が、沖縄本島北部の辺野古に、さらなる米海兵隊基地を建設することに反対する声明を発表した。しかし現在もなお、日米両政府は沖縄県民の大多数が反対しているにもかかわらず、この高価な埋め立てプロジェクトにこだわり続け、かけがえのない生態系を無謀にも破壊している。 残念ながら、埋め立て予定総面積の約4分の1を占める辺野古側の工事はほぼ完了している。そして今、北側の、より深く、貴重な生物多様性をもつ大浦湾の埋め立てに着手しようとしている。

辺野古への基地建設計画は1960年代から存在していた。そして1996年の日米合意(SACO合意)により、混雑する宜野湾市のど真ん中に危険な状態で位置する米海兵隊普天間航空基地の「代替施設」として復活した。それから四半世紀以上たった今でも、日米両政府は普天間基地によって占領されている土地を本来の所有者に返還しておらず、米国は新基地建設後も両方の基地の維持を目指しているとの報道さえある。

沖縄の自己決定権、民主主義、自治権を支持する私たち署名者は、第二次世界大戦以来、米日の事実上の軍事植民地とされている沖縄の、さらなる軍事化を拒否する沖縄の人々への支持を、ここに新たに表明する。

かつては独立した琉球王国であった沖縄は、戦国日本による3世紀にわたる支配の後、1879年に大日本帝国に強制併合された。琉球列島の人々は、欧米列強に植民地支配された世界中の多くの先住民族と同様に、強制的に日本に同化させられ、言語、名前、伝統、そして主権と自治を持つ民族としての尊厳を奪われた。

アジア太平洋戦争末期、日本は沖縄を「捨て石」とし、「皇土」を守るために沖縄で持久戦を行い、島々の住民を総動員した。日米間の戦争で、沖縄県民は人口の4分の1以上、12万人以上が死亡した。アメリカは戦争の戦利品として島々を支配下に置き、80年近く経った今でも沖縄の陸・空・海を占領し、性暴力や殺人を含む甚大な人権侵害、航空機や車両の重大事故、PFAS水汚染などの環境破壊を引き起こしている。

2023年12月20日、福岡高裁那覇支部は沖縄県に対し、新基地の大浦湾側の埋め立てを可能にするのに必要な、「マヨネーズ状」の軟弱地盤に対処するための政府の工法変更を承認するよう命じた。この地盤強化は多大な費用と年月がかかることが予想されており、専門家によれば「不可能」と言われている。2018年と2022年の知事選で辺野古基地反対を掲げて当選した玉城デニー沖縄県知事は、12月25日に裁判所の命令を拒否し、12月27日に最高裁に上告した。

12月28日、日本政府は沖縄県に代わって、計画変更を承認した。1999年に改正された地方自治法に基づく「代執行」の異例であり初めての行使であった。

要するに、裁判所は、国が法律を私物化し、地方自治体の自治権を踏みにじることを事実上認めたのである。日本政府は2024年1月12日に大浦湾の埋め立て工事を開始する予定である。

『沖縄タイムス』の12月28日の社説はこう主張した:

地方自治法による代執行は全国どこにも例がない。国は「普天間飛行場の一日も早い危険性の除去」を理由に、自治を侵害する強行手段に出た。

『琉球新報』は12月27日の社説でこう問うた:

他県に住む方々は、自らの地域にこのような事態が降りかかることを是認できるだろうか。… 沖縄が初のケースで、今後沖縄以外にあり得ないという認識の下の無関心であろうか。

これは植民地主義的無関心である。県外の人々は気にもかけないし、米国市民の圧倒的多数は自国政府が沖縄で何をしているかさえ知らない。

バイデン大統領、岸田首相、そして米国と日本の市民へ、私たちは沖縄差別を止め、沖縄の軍事植民地化に終止符を打たなければならない。その第一歩は、総工費65億米ドル以上、完成までに10年以上かかると予想されている辺野古・大浦湾での新基地建設を中止することである。

今こそ正しいことをしよう。

1 マリコ・アベ 日本自然保護協会 保護・教育部主任 日本
2 エイミー・アントヌッチ 小規模農業家・活動家 米国
3 エレン・バーフィールド ベテランズ・フォー・ピース、ミリタリーファミリーズ・スピークアウト、ウォー・レジスターズ・リーグ 米国
4 ウォルデン・ベロ フォーカス・オン・ザ・グローバルサウス共同代表 フィリピン/タイ
5 マックス・ブルーメンソール 『ザ・グレイゾーン』 米国
6 ジャクリン・カバッソ 西部諸州法律財団事務局長 米国
7 ヘレン・カルディコット 1985年ノーベル平和賞受賞「社会的責任を担う医師」(PSR)創設者 オーストラリア
8 マリリン・カーリスル ピースアクション 米国
9 ソンヒ・チェ カンジョン平和活動家 韓国
10 レイチェル・クラーク ベテランズ・フォー・ピース アソシエート会員、通訳、グローバルコーディネーター 米国
11 ジェリー・コンドン ベテランズ・フォー・ピース理事 米国
12 マリー・クルーズ・ソト プエルトリコ・ビエケスと米国の歴史研究家 プエルトリコ/米国
13 ルド・デ・ブラバンダー ブレデVZW広報担当 ベルギー
14 アリエル・ドーフマン 著述家 米国
15 アレクシス・ダデン コネチカット大学歴史学教授 米国
16 マーク・イーリ 翻訳家 ニュージーランド
17 パット・エルダー 「ミリタリー・ポイズンズ」プロジェクト 米国
18 ジョセフ・エサティエ ワールド・ビヨンド・ウォー 日本支部長 日本
19 コラソン・ファブロス 国際平和ビューロー 共同代表 フィリピン
20 トーマス・ファーツィ ジャーナリスト、著述家 イタリア
21 ジョン・フェファー フォーリン・ポリシー・イン・フォーカス ディレクター 米国
22 ノーマ・フィールド シカゴ大学 東アジア言語と文明 名誉教授 米国
23 マーガレット・フラワーズ ポピュラー・レジスタンス ディレクター 米国
24 タカシ・フジタニ トロント大学教授 カナダ
25 ブルース・ギャグノン 「宇宙の兵器と原子力に反対するグローバル・ネットワーク」コーディネーター 米国
26 ジョセフ・ガーソン 「平和、軍縮と共通の安全保障」キャンペーン代表 米国
27 アーロン・グッド 政治学者および歴史学者 米国
28 デイビッド・ハーツォー サンフランシスコ・フレンズ・ミーティング 米国
29 クリス・ヘッジズ ピュリッツァー賞受賞ジャーナリスト、著述家 米国
30 ローラ・ハイン ノースウェスタン大学歴史学教授 米国
31 マーサ・ヘネシー カソリック・ワーカー 米国
32 ミホ・ヒキ 幼児教育従事者 日本
33 ユンシン・ホン 沖縄大学助教授 日本
34 ピーター・ハルム 『グローバル・インサイツ』副編集長 スイス
35 マサミチ(マロ)・イノウエ ケンタッキー大学教授 米国
36 アケミ・ジョンソン 著述家 米国
37 エリン・ジョーンズ 翻訳家・研究者 米国
38 ジャン・ユンカーマン ドキュメンタリー映画監督 日本
39 マリコ・カゲ リルイット・フレンドシップセンター カナダ
40 カイル・カジヒロ ハワイ大学マノア校助教授 ハワイ
41 クリスティン・カーチ インターナショナル「NATOにノー」 ドイツ
42 ローズマリー・キーン マサチューセッツ・ピース・アクション 人種的正義ワーキング・グループ 米国
43 クラウディア・ジョンヒュン・キム 香港市立大学 香港
44 ヨンファン・キム 民族問題研究会 韓国
45 ウラ・クロッツァー ウィメン・フォー・ピース フィンランド フィンランド
46 ジョイ・コガワ 著述家 カナダ
47 リュウコ・クボタ ブリティッシュコロンビア大学 カナダ
48 ジェレミー・カズマロフ 『コバートアクション・マガジン』編集長 米国
49 ピーター・カズニック アメリカン大学歴史学教授 米国
50 ヒョクテ・クォン 聖公会大学 韓国
51 ジュディス・ラング サンゴ礁研究者(退職) 米国
52 ドナルド・ラスロップ 平和と正義のためのバークシャー市民 米国
53 ニディア・リーフ 退職教員 米国
54 アンドレア・ルブラン 平和な明日のための911ファミリーズ 米国
55 スティーブン・リーパー ピース・カルチャー・ビレッジ 日本
56 ジョン・レットマン フリージャーナリスト 米国
57 マデリン・ルイス アーティスト 米国
58 チャールズ・ダグラス・ラミス 津田塾大学元教授、ベテラン・フォー・ピース琉球沖縄支部国際(VFP-ROCK) 日本
59 キャサリン・ルッツ ブラウン大学 米国
60 キョー・マクレアー 作家、インストラクター カナダ
61 キャシー・マリー=モリソン ボストン大学名誉教授、マサチューセッツ・ピースアクション会員 米国
62 カズミ・マーシエンセン アーティスト カナダ
63 アビー・マーティン 『ザ・エンパイア・ファイルズ』ジャーナリスト 米国
64 ケビン・マーティン ピースアクション代表 米国
65 ウェンディ・マツムラ カリフォルニア大学サンディエゴ校准教授 米国
66 ガバン・マコーマック オーストラリア国立大学名誉教授 オーストラリア
67 マイレード・マグワイア ノーベル平和賞受賞者、ピース・ピープル・アイルランド共同創立者 北アイルランド
68 ニッキ・メイス 動物学者、自然保護論者、環境ライター、編集者、デザイナー スイス
69 マーティン・メルコニアン 経済学教授 米国
70 スーザン・マースキー ニュートン・ダイアログ・オン・ピース・アンド・ウォー 米国
71 ユキ・ミヤモト デポール大学教授 米国
72 ハルコ・モリタキ 核兵器廃絶を目指す広島の会(HANWA) 日本
73 テッサ・モリス=スズキ オーストラリア国立大学名誉教授 オーストラリア
74 キャサリン・ミュージック 海洋生物学者/著述家 米国
75 クリストファー・ネルソン ノースキャロライナ大学チャペルヒル校 米国
76 ケイジェイ・ノー ピボット・フォー・ピース 米国
77 リチャード・オクス メリーランド・ピースアクション理事 米国
78 ミドリ・オガサワラ ビクトリア大学社会学部助教授 カナダ
79 サトコ・オカ・ノリマツ ピース・フィロフィーセンター代表 カナダ/日本
80 ナツ・オノダ・パワー ジョージタウン大学 米国
81 アキノ・オーシロ エアランゲン=ニュルンベルク大学 韓国
82 ショーコ・オーシロ 大学講師 沖縄
83 ヒデコ・オータケ スタンド・ウィズ・オキナワNYコーディネーター 米国
84 シナコ・オヤカワ 琉球民族独立総合研究学会 琉球
85 ノリコ・オーヤマ 沖縄ピースアピール、VFP Rock 米国
86 ローズマリー・ペース パックス・クリスティ 米国
87 クーハン・パク=マンダー 著述家 米国
88 トニー・パロンバ ウォータータウン平和、正義、環境のための市民実行委員会 米国
89 テア・パネス アーリントン正義と平和のための連合(MA) 米国
90 マシュー・ペニー コンコーディア大学准教授 カナダ
91 マーガレット・パワー 平和と民主主義のための歴史学者共同代表 米国
92 ジョン・プライス ビクトリア大学グローバル・スタディーズセンター研究員 カナダ
93 マジン・クムシア パレスチナ生物多様性と持続可能性のための研究所教授およびディレクター パレスチナ
94 スティーブ・ラブソン ブラウン大学 米国
95 ジョン・ラビー ピースアクションメイン支部共同代表 米国
96 ウィリアム・ラムジー 著述家 米国
97 ワイアット・リード 『ザ・グレイゾーン』編集長 米国
98 ジョン・ラインチ 著述家 米国
99 デニス・リッチズ 成城大学教授 日本
100 ジュン・ササモト 弁護士 日本
101 スーザン・シュノール ベテラン・フォー・ピース理事長 米国
102 マーク・セルダン コーネル大学 米国
103 ティム・ショロック フリージャーナリスト 米国
104 スティーブン・スレイナー マサチューセッツ・ピースアクションサポート 米国
105 スティーブン・スター ミズーリ大学助教授 米国
106 ビッキー・スタイニッツ マサチューセッツ大学ボストン校退職教員 米国
107 オリバー・ストーン 映画監督 米国
108 ダグ・ストラブル 学習テクノロジー技術者 日本
109 デイビッド・スワンソン ワールド・ビヨンド・ウォー事務局長 米国
110 ヒロコ・タカハシ 奈良大学歴史学教授 日本
111 ロイ・タマシロ ウェブスター大学名誉教授 米国
112 ユキ・タナカ 歴史家 オーストラリア
113 カイア・ベレイデ 平和の海のための島々の連帯行動 済州委員会 韓国/米国
114 パキ・ウィーランド コードピンク 米国
115 シャーメイン・ウィリス スキッドモア大学客員助教授 米国
116 ローレンス・ウィットナー ニューヨーク大学アルバニー校歴史学名誉教授 米国
117 エレン・ウッズワース WILPFカナダ共同代表・元バンクーバー市議会議員など カナダ
118 アン・ライト 元米陸軍大佐・元米国外交官/ベテランズ・フォー・ピース 米国
119 ショー・ヤマグスク 著述家 カナダ
120 リサ・ヨネヤマ トロント大学教授 カナダ
121 ヒデキ・ヨシカワ 沖縄環境正義プロジェクト代表 日本
122 アヤカ・ヨシミズ ブリティッシュコロンビア大学ティーチング助教授 カナダ
123 ジェフリー・ヤング 米国上院議員候補 米国

 

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –

ISF主催公開シンポジウム:鳩山政権の誕生と崩壊 ~政権交代で何を目指したのか~

ISF主催トーク茶話会:斎藤貴男さんを囲んでのトーク茶話会のご案内

※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
ISF会員登録のご案内

「独立言論フォーラム(ISF)ご支援のお願い」

 

乗松聡子 乗松聡子

東京出身、1997年以来カナダ・バンクーバー在住。戦争記憶・歴史的正義・脱植 民地化・反レイシズム等の分野で執筆・講演・教育活動をする「ピース・フィロ ソフィーセンター」(peacephilosophy.com)主宰。「アジア太平洋ジャーナル :ジャパンフォーカス」(apjjf.com)エディター、「平和のための博物館国際ネッ トワーク」(museumsforpeace.org)共同代表。編著書は『沖縄は孤立していない  世界から沖縄への声、声、声』(金曜日、2018年)、Resistant Islands: Okinawa Confronts Japan and the United States (Rowman & Littlefield, 2012/2018)など。

ご支援ください。

ISFは市民による独立メディアです。広告に頼らずにすべて市民からの寄付金によって運営されています。皆さまからのご支援をよろしくお願いします!

Most Popular

Recommend

Recommend Movie

columnist

執筆者

一覧へ