【連載】知られざる真実/新年日本を襲った巨大地震
社会・経済みなさま新年あけましておめでとうございます。
本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。
本年がみなさまにとりまして素晴らしい1年になりますことをお祈り申し上げます。
何かと暗いことが多い世の中ではありますが、
「面白きこともなき世をおもしろく
すみなすものは心なりけり」
の歌もあります。
前を向き、明るく楽しく、この世を生きて参りたく思います。
引き続きブログ、メルマガをご高覧賜りますよう謹んでお願い申し上げます。
新年の日本列島を大きな地震が襲った。
その影響で新年の第1号発行が1月2日になってしまったことをお詫び申し上げたい。
2024年1月1日16時10分、石川県能登地方(輪島の東北東30km付近)の深さ16km(暫定値)を震源とするマグニチュード7.6(暫定値)の地震が発生した。
発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型(速報)と発表されている。
最大震度は石川県の志賀町(しかまち)で観測した震度7。
北海道から九州地方にかけて震度6強~1を観測した。
1月2日午前9時時点で、1日16時以降、震度1以上を観測した地震が147回(震度7:1回 震度5強:3回 震度5弱:5回 震度4:20回 震度3:57回 震度2:61回)発生している。
今後1週間程度の間に最大震度7程度の余震が発生する可能性が指摘されている。
すでに多くの家屋倒壊、死亡、負傷、道路損壊、ライフライン寸断などの影響が発生している。
一刻も早い被害者の救出が求められる。
また、亡くなられた方のご冥福をお祈りしたい。
地震発生で懸念されるのが原発である。
最大震度7を記録した地点は石川県志賀町である。
実はこの志賀町に北陸電力志賀原子力発電所が存在する。
幸い、志賀原発は運転停止中だったが、志賀原発が稼働中にこの地震に見舞われたなら、どのような事態に移行したか、想像するだけで恐ろしい。
能登半島での地震発生と志賀原発との関連についてブログ記事、メルマガ記事を掲載してきた。
2023年5月6日付
ブログ記事「地震で廃炉避けられぬ志賀原発」
メルマガ記事「1892年に志賀原発至近で大地震」
2023年5月11日付
ブログ記事「原発稼働は人道に対する罪」
メルマガ記事「プレート笑う者はプレートに泣く」
同記事を改めて通読賜りたく思う。
石川県珠洲市は2020年から群発地震に見舞われている。
2023年5月5日には震度6強の地震に見舞われた。
この地震について京都大学の西村卓也教授が地震発生のメカニズムについて解説した。
西村教授は能登半島で「前例のないような地殻変動が起きている」と指摘。
西村教授は、国土地理院が全国約1300ヵ所に設置したGPS定点観測データで地盤の動きをとらえ地震を予測する研究を行っている。
珠洲市の観測点では2020年11月から2023年4月までに7センチの隆起が確認されているとのことだった。
地面の隆起は火山帯で多く見られるが、火山のない地域でこのような隆起が起こるのは25年間のGPSデータの中で前例がないとする。
2020年12月ごろから能登半島の地下10数キロに「流体」=地下の深部から上昇してきた水が溜まるという現象が観測され、流体が周りの岩盤を押し広げたりして断層に浸透することで地盤や地面の隆起が発生しているとのこと。
現在も「流体」が溜まっており、周りの岩盤や断層に浸透しているため、活発な地震活動は続くと考えられるとの見解を示していた。
西村教授は能登半島に活断層が多数存在し、そもそも地震がおこりやすい地域であると指摘していた。
活断層は過去に地震が起こったことを示す化石みたいな存在だが、活断層以外のところでも地震が起こる可能性がある。
日本全国で活断層の調査は進んでおり、最近起こった地震のうち、活断層で起こったものが約半分。
しかし、残りの半分の地震がノーマークの場所で発生したとの研究がある。
今回の地震で震度7が記録された志賀町に北陸電力志賀原発が所在する。
原発敷地内に活断層があれば原発の稼働は認められない。
2016年の有識者会合の評価書は志賀原発敷地内の一部の断層を活断層と解釈するのが「合理的」としたが、この判断が昨年覆された。
原子力規制委員会が2023年3月15日の定例会合で、志賀原発2号機直下を走る複数の断層が「活断層ではない」とする審査チーム結論を了承したのである。
稼働は困難と見られていた志賀原発の稼働が強行される恐れが生じている。
しかし、今回の地震はこの暴挙を完全に否定するもの。
原発敷地内でどの程度の揺れが観測されたかが公表されねばならない。
能登半島地震と志賀原発稼働問題を直ちに論じる必要がある。
※なお、本記事は、植草一秀の『知られざる真実』2023年1月2日(火)
新年日本を襲った巨大地震: 植草一秀の『知られざる真実』からの転載であることをお断りします。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050