【連載】社会学作家・秋嶋亮の「リアリティ・オブ・ジャパン」

特別寄稿:薬害と世界ファシズム 秋嶋 亮(社会学作家)

秋嶋亮

巷は裏金問題で一色だが、この騒動の裏で、コロナワクチンの健康被害給付金が当初予算の100倍以上(380億円規模)に達していたことが、ひっそりと報道されたのだ。
もっともこの制度自体が余り知られておらず、(マスコミが薬害問題を報じないため)体調不良と接種の因果関係を特定できない人々が大多数であることなどからすれば、潜在的な被害給付金の需要はこの100倍以上に達するだろう。
今やコロナワクチンによる薬害はグローバルイシュー(世界人類共通の問題)なのである。

WHOは「2050年に癌患者数は2022年と比較し77%増加する」と声明し、その原因として喫煙、飲酒、肥満、大気汚染などを挙げている。しかし癌の激増がワクチンによる免疫不全や遺伝子の転写エラーによることは明らかであり、これはそのコノテーション(言外に悟らせる行為)だと捉えるべきだろう。

タイでも死者数の推移グラフが公開されているが、それによるとワクチン接種が開始された2021年から毎年50万人以上の死亡が生じている。そのようなことから2万3千人が補償を申請し、1万9千人が認定され、日本円で約100億円が支払われたという。
日本でも薬害申請は1万件を突破しており、人口が半分の韓国のそれが10万件を超えていることからすれば(薬害の実態が可視化されるにつれ)最終的には20万件を優に超えるのではないだろうか。

このところ戦後最小の出生率が取り沙汰されているが、そもそもVAERS(ワクチン有害事象報告)がコロナワクチン接種後から17ヵ月目の時点で4000人以上の胎児が死亡したと(2年も前に)報告しており、こうなることは全く予想通りなのである。

これがどういうことかと言うと、日本人という群像は(これほどの破滅的な事態が生じていながら)未だコロナワクチンの「リスクとベネフィットの貸借」が不明、ということなのだ。

平和学の提唱者であるJ・ガルトゥングは、戦時下でないにもかかわらず夥しい死者が生じる現象を「ピースレスネス(非平和状況)」という言葉で表したが、今の日本はその真っ只中にある、と言えるだろう。

このようなことから、とうとう厚労省は申請件数を公表しないよう自治体に通達しており、今後マスコミが発表する(薬害にかかわる)諸数字も全て改竄されると考えるべきだ。

かくして途方もなく巨大な「セマンティックギャップ(社会的な認識と統計データから割り出された客観的な事実が乖離する状態)」が生じ、虚構と現実の境界は益々曖昧化するのだ。

もっと踏み込んで言えば、”製薬産業がメディアを通じ政策的な思考の枠組みを設定する”のであり、象徴的現実(マスコミが作る虚構)が現実に取って代わるのである。
ところで先日EMA(欧州医薬品庁)がARCT-154という予防ワクチンを認可したのだが、これは明治製菓などが日本で販売予定の自己増殖型(レプリコン)mRNAワクチンと全く同じタイプだという。

新しい技術が持ちうる倫理的・法的・社会的な問題を「ELSI(Ethical, Legal and Social Issues)」と言うが、この概念はコロナ禍を機に世界規模で抹消されつつあるのだ。

そしてこの渦中で、フランス政府はmRNAワクチンに対する批判を犯罪と見なし、3年の懲役や最高45,000 ユーロの罰金を科す法律を可決した、というトンデモなニュースが飛び込んできたのだ。

これはmRNAワクチンの危険性だけでなく、行政の瑕疵や責任所在に言及することも違法とする弾圧法である。つまりこれは製薬会社とそのステークホルダー(利害関係者)のための「ファイザー条項」であり、情報を禁圧するナチ社会が再来するのだ。
「人権宣言」を発した国が団体独裁(利権者の団体が政治を支配する体制)を推進することに戦慄するのだが、これはもはやグローバル・ファシズムという世界潮流なのである。

カナダ、ニュージーランド、オーストラリアでは、ワクチン反対デモに参加したり、接種を拒否した者に対し、口座の凍結や年金停止などの制裁的な措置が取られていた。ブラジルでは生後6カ月児にCOVID-19の予防接種を義務付ける法案が提出されているし、アメリカでも5歳未満の子どもの接種が開始される予定だ。

そして日本では(これほど薬害が深刻化しながら)追加接種に次ぐ追加接種であり、挙げ句に厚労省が莫大な補助金を与えてワクチン工場を建設させ、その司令塔としてCDC(米国疾病予防管理センター)を迎えることは繰り返し述べた通りだ。

こうした事実から、改憲や緊急事態条項の加憲もグローバル・ファシズムという同じ枠組みの中で推進されていることが分かるだろう。

かくして越境的な資本の権力によって「人権文化(社会の諸側面で人権が重視される状況)」が解体寸前であり、我々は生政治が死政治へと転じるこの次元において、実存(どのような哲学を持ち行為する者であるか)を激しく問われているのだ。

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秋嶋亮 秋嶋亮

☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。

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