【連載】知られざる真実/2024年3月 1日 (金) 政倫審プロレスの出来栄え
社会・経済2月27日付
ブログ記事「規正法抜本改正言質取らねば無意味」
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メルマガ記事「プロレス興行に見える国会審議」
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2月28日付
ブログ記事「岸田内閣懸命に支える立憲民主党」
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メルマガ記事「立憲民主党超絶不人気の理由」
に記述したように空前絶後の自民党違法裏金脱税事件が明らかになりながら、この犯罪行為に対する適正な問題処理が行われていない。
重要なことは違法行為を行った者の責任を厳正に問うことと、
抜本的な法改正を実現すること。
しかし、いずれも行われていない。
「政倫審」が開催されたが「政倫審」で何かが解決されたのか。
無意味な「政倫審」を大そうな代物に見せかけて学芸会が演じられただけ。
政倫審で重要事実が明らかにされたか。
政倫審を受けて証人喚問が決定されたか。
政倫審の内容を踏まえて予算審議が止められたか。
事前に予算案が衆議院を予定通りに通過するように日程が組まれていた。
これを了承したのは野党だ。
岸田首相が政倫審で出てこようが出てこなかろうが何の変化もない。
与野党癒着によるプロレス興行が行われただけ。
自民党の行為は法律違反。
犯罪行為。
しかし、この国では犯罪を実行しても立場によって罪を問われない。
他方、この国では、犯罪を一切実行していなくても、権力者に睨まれれば、犯罪者に仕立て上げられる。
刑事司法が完全に腐敗しているからだ。
このような国は海外にも存在する。
そのような国を「暗黒国家」と呼ぶが、日本も立派な「暗黒国家」だ。
3700万円のお金を不正に受領し、政治資金収支報告書に記載せず、収めるべき税を脱税をしても無罪放免にされる者がいる。
与党の国会議員は犯罪を実行しても罪を問われない。
政治資金規正法は
「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるように
収支の公開並びに政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより
政治活動の公明と公正を確保し、
もつて民主政治の健全な発達に寄与すること」
を目的に制定されたものだが、完全なザル法である。
国会議員が法律条文を改変して完全なザル法にした。
この欠陥を正さなければ「政治とカネ」の問題は何も解決しない。
やるべきことははっきりしている。
第一に同法21条の2の2項を削除すること。
現行法では、政党および政党支部から議員個人への寄附が例外として認められている。
この例外を規定しているのが21条の2の2項。
自民党幹事長に50億円もの資金が流されて、その使途が一切明らかにされていない。
21条の2の2項を削除することが出発点。
第二に政治家の多数の政治団体、資金管理団体を総括する総括収支報告書の提出を義務付けること。
第三に連座制を導入すること。
この三つを実現すれば事態は一変する。
さらに、警察・検察が裁量で犯罪者を無罪放免にすることを禁止する必要がある。
警察・検察が腐敗していれば、犯罪は横行し続ける。
政倫審を開いたところで、これらの法改正についての確約を与党から取り付けなければ何の意味もない。
要するに、野党に事態を改善する意思がないということではないか。
「政治とカネ」の問題を解決することを野党が望んでいない。
多くの主権者が退屈な政倫審中継を見て、このように感じたと思われる
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050