【連載】知られざる真実/2024年3月 6日 (水) トランプの共和党指名獲得が確実
社会・経済米国大統領選の候補者指名が佳境を迎えている。
民主、共和両党の候補者選出は2月5日の「スーパーチューズデー」が最大のヤマ場になる。
米国主要メディアはトランプ前大統領が15州のうち、これまでに12の州で勝利を確実にしたと伝えている。
候補者指名選からの撤退していないミッキー・ヘイリーはバーモント州で勝利を確実にしたと伝えられた。
トランプ前大統領はフロリダ州の邸宅に集まった支持者からの大歓声に包まれて、支持者に感謝の言葉を述べたうえで「驚くべき夜だ」と勝利を宣言した。
トランプは大統領本選の11月5日について「我が国の歴史で最も重要な日として語り継がれるだろう」と述べ、大統領への返り咲きに自信を示した。
スーパーチューズデーの勝利によってトランプが共和党指名を獲得するのは確実な情勢。
ヘイリーは大統領選からの撤退を迫られることになる。
他方、民主党ではバイデン大統領が再選への意欲を示し、現状ではバイデンが民主党の指名を獲得するのが確実な情勢だ。
バイデン大統領は現在81歳。
11月20日には82歳になる。
他方、トランプ前大統領は現在77歳で6月に78歳になる。
バイデンはすでに米国史上最高齢の大統領である。
この点が最大の懸念材料である。
バイデンの認知能力の衰えが指摘されている。
バイデンと比較するとトランプの現状ははるかに優れていると判断される。
バイデンについては仮に大統領に再選されても、2025年からの任期4年を全うすることが困難であるとの見解が米国民に保持されている。
現時点の世論において、すでにトランプ支持がバイデン支持を上回っている。
トランプ前大統領は多くの訴訟を抱え、民事訴訟においても多額の賠償金支払いを命じる判決を受けている。
この状況下で、逆風を跳ね飛ばして大統領再選に向けて活動を続けてきたトランプの精神力は並大抵のものでない。
バイデン大統領はウクライナ戦乱に関してウクライナへの軍事支援を推進。
ウクライナ戦乱の長期化と拡大に尽力してきたと言える。
ウクライナ戦乱を後追いするように発生したイスラエル・パレスチナの戦乱においてもイスラエルの国際法違反と言える対パレスチナ大虐殺行為を容認・肯定してきた。
米国内においても反ユダヤ感情が勃興しているが、バイデン大統領はイスラエル支持姿勢を崩さない。
このこともバイデン大統領への批判を招く原因になっている。
このまま、バイデンVSトランプの戦いとなる場合、トランプが大統領に返り咲く可能性は高いと言えるだろう。
ただし、第三の候補者が大統領選で影響力を発揮する可能性がある。
ロバート・ケネディ・Jrが出馬する場合だ。
ケネディは民主党の指名獲得を断念して無所属で出馬する意向を示している。
ケネディは伯父のジョン・F・ケネディ元大統領をはじめとする名門一族の出身。
2月には全米が注目するフットボールゲームの「スーパーボウル」放送の合間にケネディ陣営が制作した選挙用CMが放映されて波紋を呼んだ。
レトロな印象のCMは1960年代の大統領選で伯父のケネディ元大統領が作ったものとそっくりのものだった。
ケネディは巨大資本による米国支配に異を唱える主張を展開している。
ケネディが大統領に選出されることは、現時点では困難と見られているが、ケネディが出馬した場合に、バイデン票とトランプ票のどちらを減少させる効果を発揮するのかが焦点となる。
バイデンはウクライナで政権転覆が実行された2014年に副大統領の地位にあった。
国務省のヴィクトリア・ヌーランドが現地でウクライナ政権転覆を地下工作したと見られているが、この工作の最高責任者がバイデンだった。
バイデンが2020年に大統領に選出されたことでウクライナの行動が激変したと見られる。
2022年のウクライナ戦乱勃発はバイデンが仕組んだものと評価することができる。
バイデンが退場すればウクライナでの戦乱は終結する可能性が高い。
この意味でバイデン退場がもたらす意味は大きいと言える。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050