【連載】社会学作家・秋嶋亮の「リアリティ・オブ・ジャパン」

連載ブログ/1:ウクライナ復興会議の欺瞞について 秋嶋亮(社会学作家)

秋嶋亮

「日ウクライナ経済復興推進会議」が東京で開催されたが、200社を超える多国籍企業がこれに参加したことをご存知だろうか。

官民一体でウクライナの再生に取り組むという建前だが、要するにNATO国が自国の企業に復興事業を入札させ公共事業化するための会合なのである。

これはウクライナ戦争が勃発した当時から指摘していたことだが(アメリカのゼネコン株の急騰を引証し、復興事業までを策定した公共事業戦争だと分析したが)、イラクの侵攻作戦と同じ手法が用いられているわけだ。

つまりイラクに戦争を仕掛け、インフラを破壊し、資源を奪い(油田をシェブロンを始めとする欧米企業の傘下に組み込み)、復興事業をベクテルやハリバートンなどの米国企業に独占受注させたように、ウクライナ戦争でも同じ方法論が実践されているのだ。

別の言い方をすれば、これはインフルエンス・オペレーション(相手国を軍事によって全面的に支配する作戦)による計画経済なのである。

ウクライナは債務が開戦前の4倍近くとなるほど財政が逼迫しており、戦費を調達するため(アメリカに武器代金を支払うため)すでに穀倉地帯の8割以上を欧米のアグリ企業に売却している。

しかしそれでも(戦争支出に国家収入が追いつかず)世界銀行からの借り入れを余儀なくされ、日本が保証国となったことは再三述べた通りだ。むしろ最初から日本を保証国としウクライナに兵器を供給することが計画されていたと見るべきだろう。要するにウクライナ戦争が計画された段階で、ウクライナの戦費を日本に肩代わりさせることが決まっていたわけだ。

どういうことかと言うと、NATOが偽装クーデターによって親露派のヤヌコヴィチ政権を解体し、ゼレンスキーという

傀儡を打ち立て、ネオナチを組織化して軍隊に組み入れ、ドンバスのロシア系住民を虐殺し、生物兵器ラボを作るなどしてロシアを挑発し、戦争が勃発したところで兵器を供給し、戦争終結後は欧米企業が復興事業を受注し、その代金の多くを日本から回収することがシナリオ化されていた、というのが「ホリスティック・パラダイム(全体の構造を俯瞰する認識枠組み)」なのである。

ウクライナの復興には50兆円の予算を要するが、復興会議のホスト国である日本が、このうちの多くの負担を求められることは間違いないだろう。つまり仮に円借款という形が取られるとしても、後に債権放棄となり返済されない可能性が高いのだ。

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秋嶋亮 秋嶋亮

☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。

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