【連載】社会学作家・秋嶋亮の「リアリティ・オブ・ジャパン」

連載ブログ/2:政治倫理審査会の欺瞞について 秋嶋亮(社会学作家)

秋嶋亮

裏金問題を巡り政治倫理審査会が開催されるが、これが茶番であることは言うまでもない。

元々この会は形式的なものであり、どのような事実が判明したところで罷免などの強制力はないのだ。つまり野党は質疑することで(与党の不正を正したという)体裁を繕い、与党は答弁することで(質疑に応じ説明責任を果たしたという)みそぎとし、互いに面子を立て合い幕引きするというシナリオなのだ。

ここで注意すべきことは巧妙に修辞が操作されていることである。

つまり本来であれば、この事件は脱税という刑法問題として扱わなくてはならないのだが、それを政治倫理という問題≒言葉にすり替えているわけだ。

別の言い方をすれば、<政治倫理>という疑似争点を用いることによって事件を矮小化させ、政治家の逮捕を求める世論が出来(しゅったい)しないよう図られているわけだ。

もっと踏み込んで語用論的に分析すれば<政治倫理>という言葉は「動機の語彙(行為を受容させ正当化するための鍵語)」なのである。

しかし我々はよりシニックに(努めて冷ややかな態度で)状況を概観しなければならない。

そもそも自民と立民は、国民投票法改正や軍需産業の国有化法の成立で一致協力し、ワクチン接種や汚染水の放出などでも協調している通り、今や不即不離なアフィニティ(親和関係)に在るのだ。

このような準備的考察からすれば、政治倫理審査会が事件の核心を脱税(刑法)から倫理にすり替え幕引きするためのメディア・パフォーマンスだと直感できるのだが、大衆は「ある程度のけじめが付いた」と納得し忘却するのだ。

つまり国民は「構造的内省性(社会の仕組みを洞察する知性)」の欠如と、”忘れやすい”という性向に付け込まれているわけだ。

現に総理大臣、国家公安委員長、与野党の幹部が統一協会から選挙や金銭の支援を受け、100数十名の現役国会議員が政策協定を結んでいたという超ド級の出来事すら失念されつつあるではないか。

それどころか教団が起草した原案通りに改憲が進められながら(しかもこの問題を取り上げる政党や政治家が皆無であるにもかかわらず)、国民の危機感はゼロなのだ。

そもそも政治倫理と言うのなら、真っ先に薬害問題を追及すべきだろう。

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秋嶋亮 秋嶋亮

☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。

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