【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

百々峰だより(2024/04/17): 『翻訳NEWS』素材情報 ―― 世界の世論から孤立しつつあるネタニヤフ首相とバイデン大統領

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生の百々峰だより国際教育(2024/04/17)
国際教育(2024/04/16)
 イスラエルの「ガザ殲滅作戦」「民族浄化(GENOCIDE)作戦」
 プーチン大統領いわく「嘘の帝国(The Empire of Lies)アメリカ」
 イスラム原理主義勢力ISISは、アメリカがつくりあげた「アルカイダ」の末裔(まつえい)
 「アルカイダ」の原義は「データベース」、すなわちCIAの「イスラム原理主義集団の名簿」
 「外国大使館」は一種の聖域であり、それをミサイルで攻撃するのは「戦争犯罪」「国際法違反」

ガザ攻撃に抗議してアメリカに広まる納税拒否運動
ガザ攻撃に抗議してアメリカに広まる納税拒否運動

Tax Resistance Movement Grows in Response to U.S. Support for Gaza Genocide


 先日、4月11日(木)に「池田としえチャンネル」から講演依頼があり、その準備と終わった後の疲れで、今まで「翻訳グループ」の皆さんに『翻訳NEWS』素材情報を送る作業ができず、ついに今日に至ってしまいました。
 一昨日まで溜まっていた素材情報を日付順に並べ直し、それに短い日本語のコメントを付ける仕事で昨日いっぱいかかってしまい、それを「翻訳グループ」の皆さんに送信する作業が昨日中に終わらないうちに力尽きてしまいました。
 80歳を目前にしているので、老体が言うことを聞かなくなっているようです。


 それはともかく、ウクライナ軍の敗北が誰の眼にも明らかになってきているので世界の眼をウクライナから逸らすためでしょうか、バイデン政権はモスクワ郊外でテロ事件を起こしたり、イスラエルのネタニヤフ政権がガザ殲滅作戦を起こすことに「GOサイン」を出したりしたようですが、この戦術も成功したようには見えません。
 というのは、イスラエルの「ガザ殲滅作戦」があまりにもむごたらしいので、欧米以外の世界はこの作戦にたいして一斉に「NOの声」を上げ始めたからです。ユダヤ人がアウシュビッツで大虐殺された歴史を知っているので、今まではイスラエルの行動に遠慮して、欧米以外の世界の世論は、それに抗議の声を上げることに躊躇してきたわけですが、今度ばかりは堪忍袋の緒が切れたようです。
 南ア政府が勇気をふるってイスラエルの蛮行をICJ(国際司法裁判所)に提訴し、ICJも世界の世論に押されて、イスラエルの蛮行を「民族浄化(GENOCIDE)」という判決を出さざるを得なくなったことも、このような流れを加速しました。南アの民衆も「アパルトヘイト」という痛々しい黒人差別の歴史を背負ってきているので、このような南ア政府の行動を支持してきました。


 こうしたネタニヤフ首相とバイデン大統領の「人権と民主主義をあからさまに踏みにじる行動」は、彼らが今までに自らが掲げてきた理念がいかに嘘に満ちたものであったかを世界中に曝(さら)すことになりました。プーチン大統領がアメリカを「嘘の帝国(The Empire of Lies)」と読んできたことが、イスラエルの行動で証明されたことにもなりました。
 ロシアの大統領選挙でプーチン大統領が「87.3%の支持率」で圧勝したことは、ロシア民衆が欧米の掲げる理念の偽善性に愛想を尽かし始めていることを世界にハッキリと示すことにもなりました。プーチン政権を倒すために欧米が一斉に経済制裁に乗り出しても、「ブーメラン効果」で逆にEU経済を痛めつけることになりました。
 このような流れを少しでも食い止めようと密かに画されたのがモスクワ近郊「クロッカス・シティ・ホール」の大テロ事件だったわけです。
 なぜなら、140人を超える死者を出したテロ攻撃にたいしてISISと言われるイスラム原理主義勢力は即座に犯行声明を出しましたが、本来のイスラム原理主義勢力は「金をもらって行動しない」「大義のためには自爆しても最後まで闘うジハード」を旨としているのですが、今回の実行犯は「金をもらっていたこと」「ウクライナを脱走路としていたこと」が明らかになっているからです。
 そもそもISISなる勢力は、アメリカがつくり出した「アルカイダ」なるイスラム原理主義集団の末裔であり、シリアのアサド政権やリビアのカダフィ政権を倒すためにつくられたイスラム原理主義集団であることは、よく知られた事実ですから、「また同じ戦術か」と思ったひとは少なくなかったはずです。こうしてキエフ政権がCIAと一緒に画策したと疑われる戦術もプーチン政権を揺るがすことに成功しませんでした。


 他方、イスラエルの「ガザ殲滅作戦」も世界中の世論を敵に回すことになり、必ずしも成功していません。それどころかイエメンの「フーシ派」と言われる勢力までもネタニヤフ政権の「民族浄化作戦に抗議する」と言って、紅海を航海するイスラエルとの貿易船を攻撃し始めたのですから、ネタニヤフ首相も次の手を考えなくてはなりません。
 イエメンの「フーシ派」は、今までアメリカが支援するサウジアラビアの攻撃でさんざん痛めつけられてきた経過がありますから、アメリカの支援と黙認で許されてきたイスラエルによるパレスチナ人への虐待と悲しみが痛いほど分かっていたからでしょう。
 そして、この「フーシ派」の攻撃はイスラエル経済に少なからぬマイナス効果をもたらし始めました。
 そこで考え出されたのが、シリアのイラク大使館をミサイル攻撃してイランを戦争に引っ張り出し、それを口実にバイデン政権を自分たちの戦争に加担させようとする作戦でした。しかし、この作戦も成功しませんでした。というのは「外国大使館」というのは一種の聖域ですから、それを攻撃するのは「戦争犯罪」になります。だから、バイデン氏も乗り気ではないようです。
 かくして、このネタニヤフ首相の作戦もいち頓挫した観があります。
 このように世界の動きは、今までのアメリカが支配してきた一極構造を分解しつつあります。ますます世界の動きから目を離せなくなり困っています。これでは、いつまで経っても念願のブログ「自然療法」「自然医食」にたどりつけません。


 以上のようなことを考えながら集めてきたのが以下の『翻訳NEWS』素材情報です。「翻訳グループ」の皆さんは、例によって食指の動くものから挑戦ください。
 いつものことで申し訳ないのですが、すでに掲載済みや下訳済み・校正済みのものが混ざっているかも知れません。その節は、どうかお許しください。
 皆さんにとっては迷惑でしょうか、この素材情報は、私が今まで皆さんにお送りした情報の記録も兼ねていますので、御理解いただければ幸いです。

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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