【連載】紙の爆弾

「議員も記者も排除」で答弁拒否率76% 小池百合子暴かれた〝女帝〞の虚像 取材・文◉横田一(紙の爆弾2024年6月号掲載)

横田一

#学歴詐称 #衆院東京15区補選 #東京都知事選挙 #萩生田光一 #八王子市長選 #目黒区長選

変転する〝小池劇場〞の行方

 女性初の総理大臣への道が再び見えてきた瞬間、学歴詐称疑惑を報じた“文春砲”が直撃、知事3選すら危うくなった――。目まぐるしく展開する“小池劇場”が再び開幕していた。

過去最低の内閣支持率にあえぐ岸田文雄首相と入れ替わるかのように、小池百合子都知事のメディア露出度が急増。
国会議員でもないのに上川陽子・外務大臣と並ぶ「女性初の総理大臣候補」と持ち上げられ、電撃辞任して衆院東京15区補選(4月28日投開票)に出馬が取り沙汰されるなど、国政復帰の可能性も囁かれた。
「絵空事ではなさそうだ」と印象づける朝日新聞の記事が出たのが3月12日。
八王子市長選(1月21日投開票)から間もない夜に自民党都連会長の萩生田光一氏と小池知事が会食し、「小池氏に対し、今夏の都知事選で3選を目指す場合は支援、また古巣の自民党に復党を望めば、後押しする考えも示したという」という関係者のコメントを報じたのだ。

八王子市が選挙区(衆院東京24区)の萩生田氏が小池知事に感謝したくなる心情は、市長選を取材した記者ならすぐにわかる。
本来なら陣頭指揮をとる役割を担っている地元選出の衆院議員で、しかも自民党幹部なのに、裏金事件で表に出ることを控えざるを得なかったからだ。

今回の市長選は三期務めた現職から新人への継承という一戦にもかかわらず、萩生田氏は候補者と街宣車に乗ることは一度もなく、室内に支援者を集め支持をひっそりと訴えるだけだった。
ただし高市早苗大臣を応援弁士として呼んだ1月16日の個人演説会では、冒頭で挨拶。東京地検に対してこんな“勝利宣言”を発していた。

「ワイドショーを観ていると、だんだん私が(裏金事件の)真ん中にいる(聴衆から笑い)。
『大丈夫か』と街の中で皆が話していたのだろうと思いますが、そういう問題ではなくて、『修正をきちんとする』ということになっておりますので、東京地検に連れて行かれることはございません」

それでも世間の批判を気にしてか、街頭演説で同じような訴えを堂々とすることはなかった。
そうした萩生田氏の代役を務めたのが小池知事だった。
投開票日の2日前に現地入り、街宣車上で自公推薦の新人・初宿和夫候補と並んで支持を呼びかけた。
世論調査では、元都民ファ都議の滝田泰彦候補(立民・共産・社民などが支持)にリードを許していたが、最終盤で初宿氏の逆転勝利を呼び込む原動力となったのだ。

政治とカネの問題で逆風にさらされる自民党に小池知事が助け舟を出したのは、

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横田一 横田一

1957年山口県生まれ。選挙取材に定評をもつ。著書に『亡国の首相安倍晋三』(七つ森書館)他。最新刊『岸田政権の正体』(緑風出版)。

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