【高橋清隆の文書館】ニュー山王ホテル前に左右市民が集結、「分断洗脳工作超え、日本の主権取り戻せ」 5/23日米合同委員会廃止要求デモ

高橋清隆

日米合同委員会の廃止などを求める「#みちばた」主催の第4回集会が23日、東京・南麻布のニューサンノー米軍センター(通称・ニュー山王ホテル)前で開かれ、市民約30人が集まった。愛国団体「一水会」の木村三浩代表も初参加し、左右の立場から「分断・洗脳工作を乗り越え、日本の主権を取り戻そう」との意見が相次いだ。

手紙を受け取ろうとしないニュー山王ホテル。白シャツの男性は(左から)甲斐さんと川口さん(2024.5.23筆者撮影)

第1回集会で示した3つの要求項目への返答を求める手紙を手渡そうとしたが、またも受け取りを拒否された。

一連の集会は2月1日に第1回が開かれ、日米合同委員会米側代表の在日米軍副司令官、ジョージ.B.ラウル4世准将宛ての要求文書の手渡しが試みられている。
文書の内容は①日米合同委員会の廃止②過去行われた同委員会の全議事録の公開③同委員会で取り決められた全密約の白紙撤回――を求めるもの。
受け取りは拒否されたが、半月後に福生市内の郵便局でラウル氏本人に受け取られたことが確認されている。

第3回目は事前告知なしで開催。道路使用許可を警察にもらいに行くと、必ずホテルと反対側での活動しか許されないからだ。このため、参加者も10人ほどにとどまった。

今回は第2回同様、3つの要求に対する返答を求める新たな手紙を作成。
ラウル氏本人に手渡すことを目指すとともに、これを国民運動にするため立場を超えた幅広い市民の集結を呼び掛けた。
初回から参加の「主権者国民平和独立会議」代表の金野奉晴さんに加え、「一水会」の木村代表や流山市議の宇田桜子(うた・さくらこ)さんも姿を見せ、左右論客が集まる多彩な顔ぶれの集会となった。

集会は午前10時半から12時40分まで開かれた。
制服・私服の警察官の姿は初回から倍増した。
朝から六本木ヘリポート(米側は「赤坂プレスセンター」と呼ぶ)に米陸軍のブラックホークが盛んに発着しているのが筆者に確認できた。

初めに主催者を代表して、甲斐正康さんがあいさつ。「本日この米軍センターで合同委員会が行われているかもしれない。ということは、2月1日に提出した手紙を受け取ったジョージ.B.ラウル氏がいるかもしれない」と報告した。

返答を求める手紙を手にする甲斐さん(2024.5.23筆者撮影)

「近隣の皆さま、毎月うるさいと思われるのは当然と思うが、日本にとってとてもとても大事な抗議街宣。私たちはこの国の真の主権を求め行動している。無名の市民・国民こそ本気で動き、日本の主権を取り戻しましょう。本日は右翼の方、左翼の方、たくさんおられます。政治的思想の違いは一旦横に置いて、真の主権を取り戻した後に、政治的思想の違いを乗り越えた皆さまで、そのときはけんかしましょう」と促した。

「#みちばた」のNao Lionさんが作った『CIA音頭』を口ずさみ、参加者が唱和。
今回は1番だけでなく、2番と甲斐さんが創作した3番以降も披露した。

わざと撃たせたトンキン湾 マッチポンプいつものやり方で 平和を愛するふりをして 爆弾落として金もうけ
CIA CIA 日本の宝を 狙ってる
CIA CIA うっとおしいな
選挙に 関与する

原爆投下に朝鮮戦争 ベトナム戦争にイラク戦争 気に入らねえ国には爆弾落とす 逆らえばどうなるか分かってるな
CIA CIA 憲法改正早くしろ
CIA CIA 一緒によその国
爆撃 レッツゴー

ここはCIAの総本山 ホテルと名の付く米軍施設 大都会の一等地に治外法権 その名もニュー山王米軍センター
CIA CIA 異論反論は認めません
CIA CIA オスプレーに軍拡
やりたい 放題

マイクを渡された共同主催者の「YouTuber.JT3Reload」こと川口智也さんは、米国例外主義の問題を取り上げた。
1995年の沖縄米兵少女暴行事件でも犯人の米兵は当初、日米地位協定と日米合同委員会の規約によって日本の警察に引き渡されなかった例や、イラク戦争での女性や子供も容赦しない民間人への空爆、南米のコンドル作戦での拉致や拷問に言及。

米兵の差別意識を問う川口さん(中央、2024.5.23筆者撮影)

ホテルの方に向き、「もし米国人の命と同じ価値があるという認識があれば、こんなことは起こらない。私たち日本人や南米、中東の人たちと米国人の命の重さに、違いはあるのでしょうか」と問い掛けた。

甲斐さんは、持参した今回の要求文書を読み上げた。2月1日に示した要求3項目を改めて記し、引き続き返答を求めた上で、「我々は明らかに不平等な協定や、我が国の民主主義を無視した委員会への憤りを強く持っている」として、3つの例を挙げた。
すなわち、①ファントムが墜落して一般市民6人が死傷した1977年の横浜米軍機墜落事故②女児3人が拉致・強姦され負傷した1995年の沖縄米兵少女暴行事件③2016年に発覚した、嘉手納基地や横田基地からの有機フッ素化合物(PFAS・ピーファス)汚染――である。

これらの根本原因が日米地位協定と同25条に基づく秘密会議の日米合同委員会だとし、同委員会の廃止と同協定の改正または破棄、最終的には日米安保条約の解消を目指している立場を表明。
「親愛なる同盟国である在日米軍副司令官のジョージ.B.ラウル4世准将に要求文の返答を本日、聞きに伺った」と結んでいる。

続いて、希望参加者によるマイクリレーが行われた。

対米自立の闘いに50年間取り組んできた木村氏は、わが国に130もの米軍基地と7212もの関連施設が存在している異常な状況に言及。この是正を求める自分たちの訴えが国民に浸透していないとの認識を示すとともに、その原因は分断・洗脳工作にあると分析した。


対米自立への意識拡大策を提言する「一水会」木村代表(2024.5.23筆者撮影)

「米国が日本にいてくれることによって北朝鮮のミサイルが飛んで来ないかもしれないとか、中国の海軍が増強されて危ないとかいうようなメディアコントロールによって、人々の意識が完全に解体されている。そこをどう突破していくかを考えないと」と吐露。

「日本国内の分断に対して、国民の意識をどうやってわれわれと協調させていくかという闘いはもちろん重要だ」として、主婦ならば主婦の間で正しい情報を広げていくことや、米兵を説得して除隊させ運動の先頭に立ってもらうこと、官僚を改心させること、見込みのある国会議員との連携拡大などを提唱した。

その上で、「敗戦から1世紀となるあと20年以内に米軍の駐留なき安保を実現し、本当の意味での米国との対等な関係、そしてアジア近隣諸国との平和と共存を実践し、その理念を世界に広めていく。
そういう国家として進んでいかなければならない」と訴えた。

川崎市に住む佐久間吾一さんは、「日米合同委員会廃止!!」と書かれた自作ののぼりを携えて駆け付けた。マイクを渡されると、自身は保守の立場だが「左の方がやっていた」インターネット番組で知って来たことを明かした。

自作ののぼりを背に左右の垣根を超える必要性を説く佐久間さん(2024.5.23筆者撮影)

「日本国憲法は国民主権をうたっているので、われわれ国民は左右いろいろ議論して政策を決定していくのが本来のあり方。
しかし、安全保障にしても、日本国民から全く信任を受けてもいない外国の軍隊と委員会で話して決められているというのは憲法の国民主権に反している。
それを憲法学者も言わないし、地上波のマスコミでも出てこない」と批判。

「ここに集まって、こういう委員会はやめるんだという意思表示を定期的にどんどんしていけば、気付く人がいっぱい出てくると思う。グループや左右の垣根を越えて、主権は日本国民にあるんだということを訴え続けていくのが大事」と主張した。

宇田さんは冒頭、自身が中米エルサルバドル人の父親と日本人の母親を持つことを明かした。
「父はスペイン語を話します。マヤ語やピピル語が話されてましたが、キリスト教が入って来て植民地にされた。宗教というのはものすごいパワーを持っている」と指摘。

日中韓の連帯を訴える宇田さん(2024.5.23筆者撮影)

「日米合同委員会にも統一教会の人間が入っているし、自民党も統一教会と一緒にやっている。この教会は日本人がサタンであり、韓国人が良いという教義で、キリスト教の流れをくむ。このような宗教が行政や政治の中にどんどん入ってきて、日本の政治の根幹を揺るがしてきた」と提起した。

環太平洋連携協定(TPP)を結ばされて農家がつぶれ、食料自給率がさらに下がる一方で、米軍が日本を守ってくれているとか、米軍が撤退すれば中国が攻めてくるなどの錯覚を持たされたり、韓国で従軍慰安婦の教育をする一方で、日本の本当の歴史がGHQによって隠蔽(いんぺい)されてきた実態を挙げ、教育・マスコミによる洗脳と分断工作を糾弾。

「日本と中国、韓国は本当に頭のいい人種で、連帯したら大変なことになる。だから、田中角栄のように日中国交回復したら、ロッキード事件が起きた。米国が日本を守っているという幻想に、早くみんな気付いてもらいたい」と訴えた。

金野さんは、「日本人に尊厳があるのか」と挑発した上で、「日本人の尊厳のなさは、吉田茂から始まっている」と主張。
旧日米安保条約を一人で勝手に署名した史実を説明し、「戦後の国賊館を建てたいのが私の夢」と皮肉った。

憲法での理論武装を提唱する金野さん(2024.5.23筆者撮影)

戦後日本人が抱かされている錯覚を、金野さんも糾弾。「在日米軍は日本のためにいるとか、中国に攻められたらどうするんだと質問されることがある。それに答えるには、日本国憲法を知っていないと駄目」と諭し、自作の小冊子を示した。

それによれば、在日米軍は憲法第9条の「その他の戦力」に該当するので違憲。中国から攻められる事態は、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて………」と続く憲法前文に違反すると指摘。「外国から攻められたらどうするんだという前に、平和外交努力をすべき。それをやらずに、日本に再軍備させるのが米国の狙い」と一蹴した。

戦争を画策する主体は軍産複合体に諜報(ちょうほう)機関であるCIAを加えた「UMIC」(U.S Military Industrial CIA)であると指摘。世界に駐留する米軍のうち、5万3000人を擁する在日米軍は断然世界一であると指摘。

「日本がいかに弱腰外交、命乞い外交をやっているか。私たちがそのまねをしては駄目。勉強して説明できるようになりましょう」と促した。

8人のマイクリレーが終わった時点で、参加者を代表して甲斐さんと川口さんが新たな手紙を手渡しにホテルの正面玄関に向かった。ジャーナリストは警察によって同行を許された。今回はIWJに加え、サルサ岩淵さんが運営するTTBジャーナルと、毎日新聞が取材に来た。


ホテルへ手紙の手渡しを試みる甲斐さんと川口さん(2024.5.23筆者撮影)

信号を渡りホテルの前で手紙を渡そうとする。今回は前回までいた日本人の顔をした警備員の姿はなく、白人と黒人の屈強な警備員2人が立つ。しかし、甲斐さんと川口さんに歩み寄ろうともしない。
警備員の右腰には、黒革の拳銃のホルスターが提げられている。

「受け取る意思があるのかどうか」「ここに手紙を置いていっていいのか」と甲斐さんが大きな声で問い掛け、川口さんが英語に通訳するが、警備員2人は全く取り合おうとしない。

時折、反対側の歩道から「甲斐さん頑張れ、甲斐さん頑張れ」のコールが聞こえる。12分超粘るも結局、無視されたまま退散を余儀なくした。

「応援団」の元に戻った甲斐さんはやり取りを報告。手紙を郵送することに加え、次回6月は外務省前で集会を開くことを発表した。
「外務省の人たちは日本人。私たちの敵ではないと思っている。私たちの熱意が伝われば必ず、日米合同委員会廃止に向け、行動を共にしてくれると信じている。外務省を味方にしましょう」。
日にちは後日、SNS(交流サービス)で伝えるという。

ホテル正面玄関前は警察が待ち構え、演説を許さない(2024.5.23筆者撮影)

※この記事は、「高橋清隆の文書館」(2024年05月24日)からの転載です。
原文は、コチラ→高橋清隆の文書館 :ニュー山王ホテル前に左右市民が集結、「分断洗脳工作超え、日本の主権取り戻せ」 5/23日米合同委員会廃止要求デモ(livedoor.jp)

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高橋清隆 高橋清隆

反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。元ローカル新聞記者。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&K プレス)、『山本太郎がほえる~野良犬の闘いが始まった』(Amazon O.D.)など。翻訳にデーヴィッド・アイク『答え』第1巻[コロナ詐欺編](ヒカルランド)。2022年3月、メディア廃棄運動を開始。 ブログ『高橋清隆の文書館』http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/

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