「明治天皇すり替え」説の概要
政治「明治天皇すり替え」説とは、明治天皇は幕末最後の天皇・孝明天皇の子とされていますが、実は大室寅之介という、長州出身の少年がそれにすり替わり明治天皇として即位した、という説です。
孝明天皇
明治天皇(15歳)
上の肖像写真を見比べてみてください。親子とは思えません。
すなわち、長州下級武士は幕府に不満を持ち、頑迷に公武合体に固執する孝明天皇を暗殺、その子睦仁親王も殺し、高杉晋作の作った「奇兵隊」のメンバーである大室寅之介をそれにすり替え、明治天皇として即位させそれを「錦の御旗」として維新戦争に勝利した、というもの。
大室寅之介は南朝の末裔(これには家系図以外の証拠はない)という触れ込みで、同じ南朝菊池氏の流れを汲む西郷隆盛とこの点でも一致し薩長同盟が作られ、倒幕戦争に勝利した、というのがストーリーです。
すり替えである一番の証拠は、睦仁は女官に囲まれお遊戯ばかりしているバカ息子で、禁門(蛤御門)の変で御所に大砲が打ち込まれて気絶したほどの弱々しい少年でした。母親の中山慶子(よしこ)さんが「乱世にこんな子供が天皇になって大丈夫かしら心配でたまらない」という趣旨の日記を残しているくらい。それに引き換え、登場した明治天皇は90kgの大男、字は上手で歌も作る、相撲も乗馬も得意といったまるで違う人物。母親の中山慶子さんと殆ど面会していないし、また、皇族は豊島ヶ丘墓地にある中山慶子の墓参りも殆どしないそうです。
この時、北朝を打倒して南朝政権を作るということにすれば、スッキリするのですが、「すり替わる」という陰険な詐欺的方法を取った――これは孝明天皇を病死に見せかけ殺してしまったためそれを隠すことが優先されたからと思われる――がために明治国家の正当=正統性を主張できなくなってしまいました。
天皇を「神聖にして侵すべからず」と神秘化し、廃仏毀釈を強制して国家神道を捏造し、それで国民を洗脳したのも、この「オレオレ天皇」詐欺の真相から国民の目を逸らすためにほかなりません。
こうして明治以降の政府の政策決定には理性的議論の素地は失われ、その延長線上に薩長軍閥政権による対米戦争への無謀な突入と無残な破局があったと考えられます。この点はヨーロッパの単純なファシズムとは異なる特殊日本的なところで戦後もアメリカの日本支配に利用されているわけです。
「オレオレ天皇」詐欺には多くの不自然なことが今でも露呈しています。
「王制復古」といいつつ首都を京都から江戸に移したのもすり替えがバレ騒がれることを恐れたためで、また江戸城大奥に女官たちを住まわせ明治天皇のお相手をさせるのにも好都合であったと思われます。
明治政府は南朝を正統と結論付け(1911年)、皇居前広場には忠君楠木正成の銅像が今でもあります。なし崩しの歴史偽造です。
「明治天皇すり替え」説にたたないと、「明治天皇は北朝の血統。しかし、南朝正統の世論は変えられず、帝国議会までもが紛糾、事態を憂慮した明治天皇は内心「正統は北朝だよ」と思いつつ「南朝を正統とする」を決定、という可笑しな理解になります。
明治天皇の后である昭憲を皇太后と呼ぶのもおかしな話です。皇太后は母の事。これは公式の后である昭憲は自らがそれに成り代わった睦仁親王(恐らく暗殺された)の妻で、彼女を明治天皇は妻と扱わなかったことを意味します。
明治以降の貨幣に天皇を肖像として採用しなかったのも不可解です。
登場しているのは伊藤博文、岩倉具視、板垣退助、高橋是清、新渡戸稲造ら明治政府の重鎮。文化人としては福沢諭吉、二宮尊徳、紫式部、樋口一葉、野口英世、夏目漱石ら。
天皇に近い歴史上の人物として、武内宿禰、菅原道真、和気清麻呂、藤原鎌足。皇室関係では神功皇后、日本武尊、聖徳太子です。これが全てです。
なぜ天皇が登場しないの?と聞くと、天皇は恐れ多くて日常使う紙幣には載せられなかったのだろう、という人がいます。
しかし、日本で本格的な肖像入り紙幣が発行されたのは1881(明治14)年ですが、それに登場したのは神功皇后(170~269未詳)です。
彼女は、開化天皇の子孫にあたり、仲哀天皇の皇后です。急死した天皇に代わり三韓征伐をした英雄として記紀に登場する人物で実在性は不明ですが、明治政府の意にかなったので採用されたのでしょう。ただし描いたのはイタリア人でなんと洋装です。
アメリカの1ドル札は初代ワシントン大統領、5ドル札にはリンカーン大統領。イギリスではエリザベス女王、インドではガンジー、中国では毛沢東の肖像などが使われています。
260年に渡る鎖国を解き颯爽と世界に現れた大日本帝国が最初に発行した紙幣をなぜ若き君主明治天皇の肖像が飾らなかったのか?なぜ1700年も前の実在性のあやふやな神功皇后なのか?
納得できる説明を聞きたいものです。
これは、孝明と明治、親子の顔が似ていないことが理由だと思います。
現在、安倍政権を支える日本会議が改憲に向かって猛威を振るっています。「明治維新で作られた天皇中心の国家の復興」がその中心イデオロギーです。その天皇制の本質は世襲にあります。ある人物が天皇であるのは、彼が天皇の長子であるからでそれ以外ではありません。
日本会議が担ぐ「天皇の国」は、明治になって作り出されたフィクションに過ぎない、いわば「オレオレ天皇詐欺」であるということを明らかにすれば、改憲を進めている日本会議のイデオロギーの根底が崩れる、というのが僕の思いです。
ここで強調しておきますが、「明治天皇すりかえ」説はイデオロギーとは直接には関係のない、歴史的事実の検証・確定の問題です。歴史学界を含めて、ぜひ研究がされるよう望んでいます。
現実には明治天皇すりかえ」説はまともに取り上げられません。歴史関係者に聞くと、「陰謀論。荒唐無稽」と一蹴されるのが現状です。残念なことです。
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