【連載】知られざる真実/2024年6月1日 (土) 話にならない自公維規正法改正案
政治「政治とカネ」問題で自民党は野党転落の危機に直面している。
自民党支持率、内閣支持率が地に堕ちて、重要選挙で自民党の敗北が続いている。
自民党に事態を立て直す意思があるなら「政治とカネ」問題に真摯に向き合う必要がある。
ところが、岸田自民にその意思は存在しない。
自民案に同調する公明と維新も完全に同じ穴のムジナ。
このことが鮮明になった。
こうもりのような対応を示す国民民主党は自公が弱体化しつつあるために、今度は立憲民主にすり寄る気配を示すが、信用できない存在だ。
政治資金規正法改正での最大のポイントは政策活動費。
同法21条の2の2項を削除して、政党から政治家個人への寄附を禁止すればよい。
政策活動費の制度そのものを廃止するべきだ。
これが議論の出発点。
これを呑み難いとの声から代替案が示されている。
制度を温存する代わりに使途を領収書添付で完全公開する。
政策活動費に上限を設定する。
いくつかの案が提示されてきた。
百万歩の妥協でギリギリのラインが
「上限を5000万円に設定し、使途を領収書添付で完全公開する」
だ。
しかし、自民案は上限を5000万円として、領収書添付を10年後に行うことを
「検討する」
である。
まったく話にならない。
公明と維新がこの案に賛成するなら、完全に自民党と同じ穴のムジナ。
自民が公明、維新の賛同を得て、もぬけのからの政治資金規正法改正を強行するなら、これらの金権腐敗勢力を必ず打倒しなければならない。
野党は総選挙公約の第一に政治資金規正法抜本改正を明示する必要がある。
企業団体献金・政治資金パーティー全面禁止
政策活動費廃止
連座制導入
を総選挙公約に明示すべきだ。
政権交代を実現したら、直ちに政治資金規正法改正を実行する。
「ねじれ問題」を解消するには2025年参院選を待つ必要が生じる可能性があるが、ねじれを解消して必ず政治資金規正法改正を実現する。
政治にかけるお金を制限することが肝要だ。
政治にかける資金に上限を設定する。
「お金をかけない政治」を実現する。
政治献金そのものを廃止することを検討するべきだ。
政治にかかる費用は国民が負担する。
政党交付金で政治を実行させる。
新規の政治勢力は議員を誕生させた際に受け取ることのできる政党交付金による資金計画を策定するべきである。
議員を確保する前段階でのみ、個人からの政治献金を認める手はある。
岸田首相は事態の深刻さをまったく理解していない。
この期に及んで、抜本法改正の意思をまったく保持していない。
このような人物に対して主権者は、現実の選挙で重い判断を示すしかない。
当面の最大の焦点は7月7日東京都知事選。
自民党が支援する候補者がまだ確定しない。
小池百合子氏は逆風の強さを認識して敵前逃亡を図る可能性がある。
都知事選で自民党支援候補が敗れることが次の衆院総選挙への重要なステップになる。
次の総選挙で必ず政権交代を実現させる必要がある。
この道筋が次第に明確になりつつある。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050