【視点】民意の積み上げが国策を転換させた=乗松聡子氏 自衛隊の訓練場建設の「白紙撤回」 2024年4月24日, 21:20 (更新: 2024年4月24日, 21:39)

乗松聡子

自衛隊【アーカイブ】 – Sputnik 日本, 1920, 24.04.2024
© AP Photo / Akio Kon/Pool Bloomberg
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沖縄県うるま市のゴルフ場跡地に陸上自衛隊訓練場を建設する計画をめぐり、防衛省が地元の反発を背景に白紙撤回を表明したことについて、スプートニクは、カナダを拠点に活動する「ピース・フィロソフィー・センター」の代表である乗松聡子氏から、文書でコメントを得た。
「4月11日、木原防衛大臣が『白紙撤回』を表明したというニュースを聞いたとき、私は当然だとは思いながらも驚きを禁じえませんでした。いままで、沖縄県では米軍基地建設や自衛隊配備に反対する動きが起きても政府は一顧だにせず強行するパターンが続いていたからです。

軍事的に言っても『普天間基地代替施設』が沖縄にある必要はないことは明白であるにもかかわらず、沖縄県外の案が出ると地元の強い反対が出てそれが理由になって中止になるが、沖縄県内の計画の場合は市民がいくら反対しても、保革にまたがった『オール沖縄』勢力が選挙に勝っても中止になることはなかったのです。

住宅地や教育施設に近いということは言われていますがそれを言ったら宮古島で作られてしまった弾薬庫は集落に近接しています。石垣島では住民の権利である住民投票さえ、必要な署名を十分集めたにもかかわらず実施を阻止されています。

今回の『異例の国策転換』には6月の県議会選挙を見越した考慮もあったとは言われていますが、米日が琉球列島でエスカレートさせている対中国戦争準備に反対する者たちが勇気づけられる結果となったと思います」

一方、政府が県内で他の候補地選びを行なうと明言していることを受け、「油断はできない状況」と指摘。うるま市では3月にも、「自衛隊勝連分屯地に地対艦ミサイル部隊の配備が、地元住民の反対をよそに強行された」と強調した。
また、乗松氏は岸田首相の訪米にも触れた。
「岸田首相が先日国賓として米国に招かれ、発表した共同声明では『日米同盟は前例のない高みに到達した』とし、中国、ロシア、朝鮮民主主義人民共和国など米国が敵視する国々への敵視政策の継続を強調しました。

ガザでは世界の面前でイスラエルによるあらゆる国際法を無視したパレスチナ人の『民族浄化』、『ジェノサイド』が半年以上続けられ、10月7日以降4万人にもせまるパレスチナ人が殺されているにもかかわらず、『国際法に従って自国及び自国民を守るイスラエルの権利を改めて確認する』と言っています。

日本は拡大NATOの一員として、言うことを聞かない国々に対する侵略戦争、内政介入と制裁を続ける米国に、日本市民の利益に優先して付き従い、ジェノサイドに加担していく宣言をしたように見えて、暗澹たる思いがします」

乗松氏は「状況は深刻」としながらも、「今回のように、民意の積み上げが国策を転換させた例にならい、沖縄の軍事植民地化を止めさせようとする国際的運動を盛り上げていかなければならないと思う。抑圧された者たちに生存と正義と尊厳をもたらす、正しい道に一歩でも近づく努力をしていきたいと思っています」と締めくくった。

※この記事は、スプートニクの2024年4月24日, 21:20 (更新: 2024年4月24日, 21:39)
https://sputniknews.jp/20240424/18265363.html からの転載です。

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乗松聡子 乗松聡子

東京出身、1997年以来カナダ・バンクーバー在住。戦争記憶・歴史的正義・脱植 民地化・反レイシズム等の分野で執筆・講演・教育活動をする「ピース・フィロ ソフィーセンター」(peacephilosophy.com)主宰。「アジア太平洋ジャーナル :ジャパンフォーカス」(apjjf.com)エディター、「平和のための博物館国際ネッ トワーク」(museumsforpeace.org)共同代表。編著書は『沖縄は孤立していない  世界から沖縄への声、声、声』(金曜日、2018年)、Resistant Islands: Okinawa Confronts Japan and the United States (Rowman & Littlefield, 2012/2018)など。

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